9月29日から10月1日の3日間、東京国際交流館(お台場)にて、第5回生命医薬情報学連合大会(IIBMP 2016)が開催されました。
最終日に行われた一般講演では、「ヒト、菌、そして環境」をキーワードにバイオインフォマティクス(生命情報)がどのように生命科学の広い領域を支えているか、さらに、身近な社会にバイオインフォマティクスがどのように繋がっているのかについて広く一般の方に向けて講演が行われました。
講演の後は、公開討論形式で未来のバイオインフォマティクスについて、講演者と高校生が議論を交わしました。
荒川和晴 (慶應義塾大学 特任准教授)
「超高機能構造タンパク質による素材産業革命に向けたクモ類網羅的シーケンシング」荻島創一 (東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 准教授)
「あなたのゲノム、あなたの医療」黒川顕 (国立遺伝学研究所 ゲノム進化研究室 教授)
「バイオインフォマティクスと未来社会」
公開討論 |
「バイオインフォマティクスと30年後の研究」 |
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司会・進行 |
奥田修二郎(新潟大学 准教授)、山田拓司(東京工業大学 准教授) |
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パネリスト |
荒川和晴(慶應義塾大学 特任准教授) 荻島創一(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 准教授) 黒川顕(国立遺伝学研究所 ゲノム進化研究室 教授) お茶の水女子大学附属高等学校 生徒7名 東京学芸大学附属高等学校 生徒6名 東京工業大学附属科学技術高等学校 生徒6名 |
今回の一般講演を企画するにあたり、高校生を中心とした未来を担う若い世代にもバイオインフォマティクスという研究分野を広く知ってもらおうと高校にも広く参加を呼びかけました。後半に行われた公開討論に各校を代表してパネリストとして参加した高校生は、事前にテーマについて議論を重ねた上で今回の発表に臨みました。生徒たちは緊張した様子でしたが、各校とも新鮮で大胆なプレゼンテーションを披露し、他のパネリストや聴講者も興味深く聴き入っていました。研究者や企業関係者に加え、高校生や学士課程の学生らも参加して会場はほぼ満席となりました。
参加した高校生の意見をご紹介します。
- 「バイオインフォマティクスの基礎的な知識や応用について、生物分野のなかでもものすごく具体的なフィールドの研究に関する展望を知ることができ、高校の先のみならず、大学の先も見ることができた。」
- 「(バイオインフォマティクス研究は)自分たちの提案が予想以上に様々な方向につながって、また進展していく可能性がある。」
- 「高校で学んでいることがまだまだ理系の入口にも入れていないようなちっぽけなものだと思った。」
大学受験という目前の大きな関門を控えている高校生ですが、最先端の研究を行っている研究者との交流をとおしてその先の目標を見据え、視野を広げる良い機会になったようです。
そして司会・進行を務めた本学 生命理工学院の山田拓司准教授は、今回の試みが若い世代により深くバイオインフォマティクスという研究分野を知ってもらう良い企画になったと述べ、成功の手応えを感じたようです。
本学では、今後も積極的に同様の活動を展開していきます。