環境・社会理工学院は、7月26日、「インドネシア―日本共同セミナー ―近未来の鉄道と都市開発―」を、東京工業大学大岡山キャンパスで開催しました。
急速な経済成長により、近年のインドネシアは交通を起因とする環境問題に直面しており、ジャカルタ・バンドン・スラバヤのような大都市での交通渋滞解消が、喫緊の課題となっています。
この課題に対し、インドネシア政府は、LRT(次世代型路面電車システム)や地下鉄などの公共交通の導入による慢性的な交通渋滞の緩和を検討しています。また、本学でもバンドン工科大学のナショナル・センター・フォー・サステイナブル・トランスポーテーション・テクノロジー(以下、NCSTT)と共に、インドネシアを対象とした、先進的な鉄道技術・計画と都市開発についての共同研究を計画しています。
本セミナーは、インドネシアと日本両国の強固な産学連携のネットワークによる、インドネシアの鉄道開発と都市開発の推進を目的に開催されました。
屋井鉄雄副学長(産学官連携担当)のオープニングスピーチで始まり、本セミナーがインドネシアの鉄道開発の重要なマイルストーンになること、さらに東工大とバンドン工科大学との連携がさらに深まることが強調されました。
続いて、インドネシア大使館のアリンダ・ザイン教育担当アタッシェから開会の挨拶があり、インドネシア政府が、交通の技術開発に関してバンドン工科大学に設置されたNCSTTへ、多くの研究資金を分配していることに言及しました。
開会の挨拶に続き、バンドン工科大学のサントーサ・シギット教授、NCSTT所長による基調講演「インドネシアにおける鉄道の技術革新と公共交通産業」が行われました。
サントーサ教授は、「インドネシアは、同じ間違いを繰り返さないためにも、成功事例から多くを学ぶだけでなく、失敗事例からも学ぶべきである」と、日本の鉄道・都市システムから多くの事例を吸収したい、と述べました。
環境・社会理工学院融合理工学系の花岡伸也准教授は「アジアの都市交通と開発の推移」について、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)パリ事務所の中島康成代表からは、「過去から現在までのJR東日本の取り組み」についての講演がありました。
本セミナーには多くの日本企業の参加があり、参加者のアンケートからは、インドネシアでの市場拡大に関心があり、東工大とバンドン工科大学の共同研究に参画し、インドネシア市場に関する重要な情報を得たい、との回答もありました。
環境・社会理工学院の岸本喜久雄学院長による参加者とのオープン・ディスカッションが行われ、東工大とバンドン工科大学の共同研究に関する説明がありました。共同研究をどのように開始するのかなど、熱心な意見交換がなされ、地政学的見地による鉄道安全技術の開発、公共交通指向型開発、およびその事業化戦略、鉄道産業政策に関する研究など、いくつかのトピックが共同研究の最初のステップとして提案されました。
最後に、バンドン工科大学を代表し、サントーサ教授から東工大とセミナー参加者に対して謝意が述べられ、本セミナーは終了しました。
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