「グローカルスプリングスクール 2019」が、3月3日~5日にかけて大岡山キャンパス北2号館(EEI棟)多目的ホールにて開催されました。
グローカルスプリングスクールは、博士後期課程学生、修士課程学生、専門職学位課程学生、本学留学生、社会人、他大学学生が参加できる集中開講科目の新しい試みです。今回は、「Design for Humanity(ひとによりそうを形にする)」をテーマに開催しました。博士後期課程学生は博士文系教養科目1単位が取得できます。
本プログラムは、2016年から博士文系教養科目の学生プロデュース科目を担当している教員チームが準備と実施を行っています。今回は、リベラルアーツ研究教育院の猪原健弘教授が責任者となり、金子宏直准教授がスケジュール・講演設定、原田大介准教授がグループ分けと相互理解、栗山直子助教がワークショップ設計・準備、畑中健二助教がグループワーク方法論を担当しました。
特別講演者
3月3日(日) |
講演:島影圭佑氏 起業家、研究者、デザイナー。 株式会社オトングラス代表取締役。 筑波大学落合陽一研究室助教。 JST CREST xDiversity。 慶應義塾大学博士課程。 専門はデザインリサーチ、インクルーシブデザイン、スペキュラティヴデザイン、ファブ、HCI |
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3月5日(火) |
ワークショップ:土佐信道氏 明和電機紹介:土佐信道プロデュースによる芸術ユニット。青い作業服を着用し作品を「製品」、ライブを「製品デモンストレーション」と呼ぶなど、日本の高度経済成長を支えた中小企業のスタイルで、様々なナンセンスマシーンを開発しライブや展覧会など、国内のみならず広く海外でも発表。音符の形の電子楽器「オタマトーン」などの商品開発も行う。2016年1月には中国上海の美術館McaMで、初の大規模展覧会を成功させた。デビュー25周年となる2018年は大分、長崎での個展を開催。 |
来賓・審査
水本哲弥理事・副学長(教育担当)
井村順一副学長(教育運営担当)
関口秀俊副学長(国際連携担当)
第1日目
開会式では、井村順一副学長(教育運営担当)が挨拶をし、本プログラム責任者の猪原教授がプログラムの目的と概要について説明しました。
第一講演では、島影圭佑氏(株式会社オトングラス代表取締役、筑波大学 落合陽一研究室 助教)が、メガネ型の視覚拡張機器オトングラス開発について話をしました。現在福祉機器として地方自治体に導入されています。
オトングラスの実演では、メガネをチラシにかざすだけで、読み上げ翻訳ができる機能が体験できました。その後、プログラムテーマである「Design for Humanity(ひとによりそうを形にする)」に関連して、デジタル・ファブリケーションが大量生産品とは異なるデザインの可能性を開くこと、トースター・プロジェクトの紹介、自身の新しいビオトープ作り等の取組みについて講演をしました。
ウェルカム・ランチにおいて、参加者全員の自己紹介ポスターによる交流をするとともに、島影氏を囲んで意見交換を行いました。
午後は、原田准教授の指導により、博士後期課程、修士課程、他大学の5名から6名の混成チームの合計9グループに分かれ、チームワークの始めにグループ名を決めてメンバーの紹介を行いました。
その後、金子准教授の指導により、人間の身体について理解するためのリサーチワークの方法を学習し、調査で得られた情報でカードを作成しました。そして、情報共有のためのカードゲームをグループ対抗で行いました。
第2日目
猪原教授による、研究者倫理のレクチャーの後、教授開発の研究者倫理カードを活用して理解を深めるグループワークを行いました。
その後、畑中助教がブレインストーミングとKJ(ケージェー)法を中心にディスカッションの方法論についてのレクチャーを行いました。ディスカッションの方法論を利用して、ヒューマニティーについてのグループディスカッションを行い、グループによるプレゼンテーションを行いました。
午後は、金子准教授の指導により、グループごとに本プログラムの最終プレゼンテーションで扱う社会的課題についてグループディスカッションを行い、テーマを決定しました。
今回のプログラムでは、最終プレゼンテーションの説明のために立体的なモデルを作成する必要がありました。そのため、栗山助教の指導により、モデルの作り方(スクラッチアンドビルド)のワークショップを行いました。
理工系の学生は、最終プレゼンテーションのアイデアをディスカッションするともに、アイデアを形にするために、工作道具、マイコン、レゴなどを組み合わせてモデルを作る作業に時間を忘れて熱心に取り組んでいました。多くの学生がプログラム終了後も作業を続けていました。
第3日目
前日の作業の続きをするため、朝から学生が会場に来て、モデルづくりを行っていました。
午前中は、世界的なアートユニット、明和電機の土佐信道代表取締役社長が、世界でのアートユニットとしての活動の紹介、明和電機のアート作品、ヒット製品のオタマトーンを例に製品制作についての講演を行いました。続けて、異なるものを組み合わせて全く新しいアイデアを生み出す、明和電機の発想法ワークショップを参加者全員と行いました。ワークショップを通じて、学生の考えたナンセンスマシーンのアイデアの紹介も行い、会場は楽しい雰囲気でした。
また、明和電機の柔軟な発想法、ブランディング戦略は学生たちにも共感をもたれました。
午後は、いよいよ、最終プレゼンテーションのポスター作成とモデルの完成作業が続けられ、プレゼンテーションまでの緊張した時間が続きました。
最終プレゼンテーションは、各グループが10分間の短い時間で、グループメンバー全員が交代でアイデアを発表しました。
最終プレゼンテーションには、井村副学長、関口秀俊副学長(国際連携担当)が審判になり、表彰グループを決定しました。水本哲弥理事・副学長(教育担当)とリベラルアーツ研究教育院の上田紀行研究教育院長が参観しました。
今回、優れたプレゼンテーションを行った2つのグループが表彰されました。井村副学長からグローカル賞が、食品ロスを減らすためのアイデアを提案したグループへ授与され、関口副学長からイノベーティブ賞が、孤独の問題に取り組むアイデアを提案したグループに授与されました。
水本理事・副学長から本プログラムの総括が述べられた後、参加者の代表として、一橋大学からの参加者に修了証が授与されました。
プログラムの終了前に、参加者全員で全員あくしゅ会を行い退場して、散会しました。
各グループでは将来の共同研究を約束するなど、本プログラムの終了を惜しむ様子もみられました。
また、期間中、中村聡副学長(国際広報担当)、本学教職員の参観、企業からの参観、報道機関の取材等がありました。
本プログラムは、国際教育プログラムの促進支援(2018年9月以降実施分、実施代表 猪原健弘)を受けて実施を行いました。
お問い合わせ先
リベラルアーツ研究教育院 文系教養事務
Tel : 03-5734-3776