東京工業大学 科学技術創成研究院 先進エネルギー国際研究センター(AESセンター)は、11月7日、大岡山キャンパス東工大蔵前会館で「地域創成を加速する脱炭素化イノベーション」と題した第12回シンポジウムを開催しました。AESセンター設立10周年を記念して、この間に得られた成果を振り返りつつ、2050年に向けた脱炭素化※の実現方策について官・公・産のリーダー達による講演や議論が行われました。シンポジウムには自治体のほか企業、大学、一般の参加者を含む約250名の参加者が集まりました。
冒頭に、益一哉学長が「目指すべき大学の姿はTechnology Oriented(技術志向)でなく、社会、産業界と協業し、社会科学的観点を前面に出してエネルギー問題に立ち向かうことである」と基調講演しました。
つぎに、招待講演として、経済産業省 産業技術環境局の渡邊昇治審議官がエネルギー環境政策の動向のほか、産官学のエネルギー共同研究拠点を計画していることを話しました。さらに、産官学の「学」の立場による講演として、AESセンターの浅野浩志特任教授が再生可能エネルギーの出力変動に対応した調整力や予測手法の研究動向を紹介し、同センターの小山堅特任教授が国際エネルギー情勢では経済・環境・安全保障のエネルギートリレンマが世界共通の課題であると話しました。
後半のパネルディスカッションでは、東京ガス株式会社の穴水孝代表取締役副社長執行役員、株式会社東芝の斉藤史郎執行役専務、株式会社NTTファシリティーズの正代尊久スマートエネルギー部長、JXTGエネルギー株式会社の藤山優一郎執行役員、三菱商事株式会社の真壁恒裕環境事業本部長、株式会社日立製作所戦略事業本部の山田竜也本部長がパネリストとして登壇しました。各社が取り組む脱炭素化に向けた事業紹介の後、水素社会への課題や、脱炭素化に向けて加速すべき産学官連携のあり方について、さまざまな議論が行われました。
最後にAESセンター長の柏木孝夫特命教授が、登壇者や参加者への謝辞と本日のシンポジウムを総括し、閉会しました。
地球温暖化の原因となっている温室効果ガスの排出量ゼロを目指すこと。近年では再生可能エネルギーの活用を進めることで、将来的に化石燃料に頼らない社会を実現しようという考え方が世界各国で広がっている。
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