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望ましい未来社会を“技術”の視点から議論する―広域塾、DLab共催ワークショップ― 若手研究者によるワークショップ開催報告

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人々が望む未来社会とは、どのようなものでしょうか。

未来社会DESIGN機構(以下、DLab)では、東京工業大学と社会が一緒になって、ワークショップなどを行いながら、その姿をデザインすることを目指しています。10月23日には大岡山キャンパス百年記念館において、科学技術創成研究院基礎研究機構の広域基礎研究塾(以下、広域塾)とDLabの共催で、若手研究者が未来社会のあり方について考えるワークショップを実施しました。参加者それぞれの専門知識を活かしながら、活発な議論が行われた当日の模様をレポートします。

若手研究者が「未来社会を実現するために必要な技術」を検討

人々が「こうありたい」と望む豊かな未来社会像を社会と共に描き、必要となる技術や政策を検討し、それを社会と共有しながら実現に向け共に活動を行うことで社会に貢献していく——。こうしたDLabの目的を実現するためには、未来社会像の検討を、広く、深く、さまざまな視点から進めていく必要があります。

10月23日、今回で2回目となる広域塾とDLab共催の「未来社会と自身の研究との繋がりを考えるワークショップ」では、その一環として、「未来社会を実現するために必要な技術」に焦点を当てながら、若手研究者による検討が進められました。

「広域塾」は、若手研究者が自由な発想で新たな課題に挑戦する場として、科学技術創成研究院内に創設された「基礎研究機構」の一組織です。その目的は若手研究者の人材育成で、今回のワークショップにはこの広域塾から13名が参加しました。

はじめに渡辺治理事・副学長(研究担当)が「今回のワークショップを新たな気づきの機会にしてほしい」と挨拶。続いて広域塾の塾長でありDLabの副機構長も務める科学技術創成研究院の大竹尚登副研究院長が「変化の速い時代に、その先を行く研究で社会に貢献するには、自分一人だけではなく社会と共に考えていくことが重要」とその日の課題の趣旨を説明した後、ワークショップがスタートしました。

挨拶する渡辺理事・副学長
挨拶する渡辺理事・副学長

この日の課題を説明する大竹副機構長
この日の課題を説明する大竹副機構長

他者の感覚を共有できたら、どんな商品・サービスが生まれるか

DLabでは今までに、学内構成員や各界有識者、一般の方から出されたアイデアをもとに、20を超える未来のシナリオを作成しました。当日はそのうちの1つである「五感を自在に着脱することで、深い共感体験が可能になる」というシナリオが実現した場合、どんな商品・サービスを提供できるかを4〜5人のグループに分かれて検討していきました。DLabでは、9月26日にも同様のテーマでワークショップを行いましたが、今回は「そこで必要になる技術」にフォーカスしたことがポイントです。

議論に先立ち、東工大研究・産学連携本部の新田元リサーチ・アドミニストレーター(URA)から、今回のワークショップで使う手法として、現在の延長線上にない未来の姿を捉えるための「未来洞察」や、ありたい未来像を基点に必要な技術を考える「バックキャスティング」などの手法について解説があった後、いよいよ具体的な作業に入ります。

まずは先のシナリオが実現して「他の人や動植物、静物などの感覚が共有できる」という未来が訪れた場合、自分がどんな体験をしたいかを参加者各自で考えます。次に各グループがベンチャー企業になったという設定で、所属メンバーの案をもとに、独自の体験を提供する「商品・サービス」を開発。「どんな層をメインターゲットに、どんな体験によって、どんな価値を提供するのか」までを検討した上で、この日のハイライトである「実現にはどんな技術が必要になるか」まで話を進めていきました。

「未来洞察」や「バックキャスティング」を説明する新田URA
「未来洞察」や「バックキャスティング」を説明する新田URA

グループワークの様子
グループワークの様子

東工大らしさが表れたディスカッションが展開

今、世の中にない商品・サービスを形にするには、新しいアイデアと技術が必要です。ワークショップでは、まずそのために必要な技術の全体像を把握した上で、細部を詰めていく形を取りました。例えば「スポーツ選手の能力を追体験できる」という製品を考えたグループでは、「選手が体験したことのデータは、脳波から取るのか、映像から取るのか」「体験を顧客に提供する際には、脳内でその感覚を疑似体験するのか、実際に身体を動かすのか」といった点を議論しながら、必要な技術を検討していきました。

工学・バイオテクノロジー・情報技術など、さまざまな専門分野の研究に取り組む参加者が、各分野の最新知識をシェアしながら熱心に意見を交わしたこのステップは、理工系総合大学である東工大らしさがもっとも良く表れた場面だと言えるでしょう。そして技術だけでなく、商品・サービスの提供にあたって必要となる政策や解決すべき社会的課題についてもあわせて検討した上で、全体への発表を行い、ワークショップは終了となりました。

参加した若手研究者からは、「未来が予想以上のスピードで近づいていることが実感できた」「他の分野を専門とする先生との意見交換が刺激になった」などの声が聞かれました。DLabでは自由な視点から検討した未来社会像を、実現性と説得力のある形で社会に提示したいと考えています。今後は2020年1月20日に、未来のシナリオを実現可能かと思われる年代順に並べた「東京工業大学未来年表」と、いくつかのシナリオをもとに描いたDLabとして最初の「未来社会像」を発表します。

全体発表の様子
全体発表の様子

参加者全員での集合写真
参加者全員での集合写真

DLabイベント情報

1月20日(月)17:00から渋谷スクランブルスクエア15階 渋谷キューズにて、DLabとして最初の「未来社会像」と「東京工業大学未来年表」を発表します。
DLabメンバーによるトークセッションと、みなさんと未来を考えるワークショップも行いますので、ぜひご体験ください。

3月7日(土)に共創ワークショップを開催します。詳細は後日、TwitterouterFacebookouterなどでお知らせします。

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お問い合わせ先

未来社会DESIGN機構事務局

E-mail : lab4design@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-3619


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