12月3日大岡山キャンパス西8号館10階大会議室にて、日本経済団体連合会(経団連)社会広報本部副本部長長谷川知子氏を招き、「Japanese Corporate Efforts to Nurture “Global Talents”(グローバル人材育成に向けた日本企業の取り組み)」と題した英語による講演会が開催されました。この講演会は、東工大の学生交流プログラムYSEP (Young Scientist Exchange Program)が主催したものです。
講演会
当日の参加者は約100名で、正規課程・非正規課程の留学生や、留学予定の在学生のほか、教職員も参加しました。講演会冒頭には、三島学長から開会の挨拶がありました。
講演会では、まず経団連の概要と日本企業がグローバル人材を求める背景が紹介されました。経団連が実施したアンケート結果に基づく、企業が求める人材の素質や、留学生・海外留学経験者の採用状況、企業が大学に期待する取り組みについてです。この内、企業が求める人材の素質では、「既製概念にとらわれずチャレンジ精神を持ち続けること」「外国語によるコミュニケーション能力」「海外との文化、価値観の差に興味・関心を持ち柔軟に対応する」が最上位にありました。企業が大学に期待する取り組みでは、「主要科目を外国語(英語)で教えること」「グローバル企業のリーダーから直接グローバルビジネスを学べるカリキュラム」に関する要望が最も多いことが示されました。
また、経団連が策定した政策提言「世界を舞台に活躍出来る人づくりのために」(2013)では、英語や国際理解教育の抜本的拡充(初等中等教育)、高大接続の改善と入試改革の実現、教養教育の拡充、大学の国際化のさらなる加速(高等教育)などが提言されています。経団連自身、グローバル人材の育成を促進するため、2012年に日本人の海外留学生のための奨学金を創設したり、留学帰国生向けの合同就職説明会・面接会「経団連グローバル・キャリア・ミーティング」を開催したり、企業と連携したモデルカリキュラムを上智大学で実施していることが紹介されました。さらに経団連は、女性の役員・管理職への登用を推進し、会員企業に対して、女性や外国人などのダイバーシティ・マネージメント・セミナーを定期的に開催しています。
講演後は、参加した学生から、日本企業の一斉採用の慣行の背景、大学の入試改革や秋入学が容易に実現しない要因、高齢化社会を迎え、介護ニーズが高い日本において女性が企業で働くことの是非などについて質問が出され、長谷川氏から丁寧な回答がありました。
YSEP学生交流会
本講演会の後、西9号館コラボレーション・ルームにおいて、YSEPの派遣・受け入れ留学生の交流会が開催されました。長谷川氏の講演を踏まえ、留学の目的、将来計画とそのために準備していること、将来どのように自分の能力を活かして社会に貢献していきたいか、などについて、活発なグループ・ディスカッションが行われました。手作りの名刺が交換され、継続したコンタクトを約束する風景が見られました。
講演会に対する学生の感想
近年、企業は留学生・外国人採用枠を積極的に拡大しており、世界経済のグローバル化は急速に進行しています。東工大での生活を通しても、特にアジアからの留学生の多さ及び積極性に、グローバル化の進行を感じています。しかし、海外留学する日本人学生は減少傾向であると説明がありました。長谷川氏の講演を聴講し、将来の日本経済の為にも、より多くの日本人学生が積極的に留学等にチャレンジすべきであると感じました。
若狭政啓 工学部電気電子工学科4年 (スウェーデン王立工科大学に留学予定)
The lecture given by HASEGAWA san impressed me a lot. Actually, I intended to work in Japan during the spring break and also some time in the future. However, I didn't know the basic working condition and information. By listening to this lecture, I got some ideas of the work life in Japan. The most significant impression I got is Japanese companies' efforts to nurture and recruit the international persons.
(訳:私は長谷川氏の講演に感銘を受けました。実は私は、春休みの間や、さらに将来どこかのタイミングに、日本で働きたいと思っていました。しかし、私は基本的な労働環境や状況について知りませんでした。今回の講演で、私は日本で働くことにイメージを持つことができました。最も有意義な情報だと私が感じたのは、日本の会社が外国人の採用と育成に努力しているということです。)
Xiang Ziheng 海外交流学生 (北京理工大学)