2015年4月25日、ネパールの首都カトマンズ北西77km地点を震源とするモーメントマグニチュード※17.8の巨大地震が発生しました。さらに5月12日にはネパール東部を震源としてモーメントマグニチュード7.3の余震が発生しています。これらの大地震によって8000人以上が死亡し、経済損失は100億ドルとも推定されています。ネパールでは過去にも巨大地震が発生しており、1934年にはリヒターマグニチュード※28.4の地震でカトマンズの人口の約30%が亡くなりました。
東京工業大学の学生チームは6月1日から一週間をかけてネパールを訪れ、今回の地震による被害状況を調査しました。このチームは土木工学専攻のアニール准教授の下に集った7人の学生から構成され、うち6人はネパール人留学生です。
- Samith Buddika
土木工学専攻、耐震構造・構造工学、博士課程2年 - Satish Bhagat
土木工学専攻、耐震構造・構造工学、博士課程1年 - Rohit Kumar Adhikari
土木工学専攻、耐震構造・構造工学、修士課程2年 - Anuja Shrestha
土木工学専攻、耐震構造・構造工学、修士課程2年 - Sanjeema Bajracharya
土木工学専攻、耐震構造・構造工学、修士課程1年 - Jenisha Singh
土木工学専攻、地盤地震工学、修士課程1年 - Rajali Maharjan
国際開発工学専攻、修士課程2年
ネパールは地震が多発する地域ですが、経済的な事情から多くの古い構造物が耐震性をほとんど考慮せずに建設されています。この調査の主目的は、今回の地震による被害の範囲と特徴について評価し、構造物の被害低減策を提案することです。特にカトマンズ・バレーとシンドパルチョーク地区について重点的に調査を実施しました。また、地すべり、地盤沈下、液状化といった地盤の被害についても調査しました。
この調査によって明らかになったのは、最新の耐震工学の知見に基づいて設計された建物にはほとんど損傷がなく、被害の大半は耐震設計基準が適用されていない構造物で発生したということです。甚大な被害を被った文化遺産では、適切なメンテナンスや補強工事がなされていませんでした。また、適切な地盤の調査や改良が建設前に行われていないといった問題も確認されました。
構造物や地盤の被害、救助活動や人道支援などを含む全般的な調査報告は、アニール研究室のウェブサイトで公開されています。