「夏の電脳甲子園」として、高校生・高専生が4日間をかけて難題を解くプログラムを作成し、その性能を競う「スーパーコンピューティングコンテストSuperCon(スーパーコン)2016」(以下、スーパーコン)の本選が、8月22日から8月26日にかけて東京工業大学学術国際情報センターで開催されました。
東京工業大学学術国際情報センター、大阪大学サイバーメディアセンターが主催するスーパーコンは、高等学校もしくは高等専門学校の高校相当学年の学生からなる2~3人のチームが、TSUBAME2.5等、主催校のスーパーコンピュータを駆使して難問を解くプログラミングコンテストです。今回は、35チームの応募があり、その中から予選により20チーム(東日本8チーム、西日本12チーム)が選抜されました。本学の会場には東日本8チームが、大阪大学サイバーメディアセンターの会場には西日本12チームが集まり、本選を戦いました。なお、本コンテストの開催にあたり、東京工業大学基金からの支援を受けております。
今年の本選課題
今年の本選課題は「でっかい小さなグラフ設計問題」です。
現代のスーパーコンピュータ(スパコン)の多くは、非常に多数の演算装置(計算ノードという)が並列に動くことで高速化を達成しています。こうした計算ノード群は高速にデータ交換をしなければなりません。そのため、計算ノードは高速ネットワークでつながれています。しかし、各計算ノードから出すことができる線(つまり次数)の数は限られています。すべての計算ノードは他の計算ノードを中継して、目的の計算ノードにデータを送ることができますが、そうした転送距離は短い方が望ましいわけです。その設計に、小さいグラフ、つまり、総最短経路長が小さいグラフが必要となってくるのです。
課題は次のように与えられました。
問題(小さなグラフの構成問題)
入力として与えられる以下のグラフの条件パラメータ※に対し、総最短経路長(ASPL)が最小となる単純正則無向グラフを求めよ。
- ※
- 上記の「グラフの条件パラメータ」など、詳しい解説はスーパーコンウェブサイトに掲載しています。
これまでのスーパーコンでは、各チームにプログラムを提出してもらい、事前に用意した入力データを用いた場合の正解数や総実行時間などを計測して、順位を決定していました。しかし、今年はこれまでとは異なり、各チームが参加してリアルタイム対戦を行い、その結果により順位を決定しました。制限時間内に9個の問題に挑戦してもらい、時間内に最も多くの得点をチームが優勝するという方式です。
このリアルタイム対戦は8月25日13時から15時までより良い解の作成を競うべく、東京会場(本学)と大阪会場(大阪大学)とをインターネットを介してスーパーコンピュータTSUBAME2.5上で行われました。
この対戦結果は、対戦中はチームにはわからないようになっており、最終結果は発表会・表彰式において公表されました。
発表会・表彰式
発表会・表彰式は8月26日に、東工大蔵前会館手島精一郎記念会議室(東京会場)、大阪大学サイバーメディアセンター豊中教育研究等7階会議室(大阪会場)において、テレビ会議システムを用いた中継のもと、開催されました。本学 学術国際情報センター長の山田功教授(工学院 教授)の開会の挨拶に始まり、本学 岡田清理事・副学長(企画・人事・広報担当)からの主催校挨拶(東京会場)、大阪大学サイバーメディアセンターの森原一郎副センター長からの主催校挨拶(大阪会場)、情報処理学会情報処理教育委員会の萩谷昌己委員長の来賓挨拶に続いて、参加チームの紹介や本選課題・審査方法の説明等を本学 情報理工学院の渡辺治学院長(情報理工学院 教授)、実施委員会の権藤克彦委員長が行いました。
本選結果
上記発表会・表彰式において、1位から3位までのチームにメダルと賞状が、岡田清理事・副学長(企画・人事・広報担当)から贈呈されました。
また優れたアルゴリズムやプログラムを作成したチームに贈られる学会奨励賞(電子情報通信学会通信・システムソサイエティスーパーコンピューティング奨励賞、情報処理学会若手奨励賞)は2位のチーム「KISS」が受賞しました。
順位 |
チーム名 |
学校名 |
得点 |
---|---|---|---|
1 |
GhostDiv |
久留米工業高等専門学校 |
175 |
2 |
KISS |
慶應義塾高等学校 |
135 |
3 |
kingyo |
奈良工業高等専門学校 |
119 |
対戦中の状況(動画)は、YouTubeにおいて公開されています。
なお、本コンテストの入賞は東京工業大学 第1類の推薦入試の実績として評価されます。
来年も「夏の電脳甲子園」の熱戦を期待しています。
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