10月31日、東京工業大学CBEC(チーム志向越境型アントレプレナー育成)プログラムによる第3回CBECシンポジウムを東工大蔵前会館くらまえホールにて開催しました。
CBEC(シーベック)とは
CBECとは、Cross Border Entrepreneur Cultivationの頭文字を取ったものです。文部科学省グローバルアントレプレナー育成促進事業(EDGEプログラム)※の採択を受けているCBECは、様々なステークホルダーとの間の自律的な協力関係を保ちながら、専門の違い、文化の違い、ジェンダーの違いなどの境界を乗り越え、多様な価値観を許容し、互いに協力しながらチームとして活動することのできる人材の育成を目的としたカリキュラムを開発し、2014年から活動してきました。
- ※
- EDGEプログラム
- 専門性を持った大学院生や若手研究者を中心とした受講者が、起業家マインド、事業化ノウハウ、課題発見・解決能力および広い視野等を身につけることを目指し、受講者の主体性を活かした実践的な人材育成の取組みへの支援を行うプログラムです。特に、短期的な人材育成プログラムへの支援のみではなく、ベンチャー関係機関、海外機関、民間企業との連携を行うことで関係者間の人的・組織的ネットワークを構築する取組みを重点的に支援し、持続的なイノベーション・エコシステム(イノベーション創出のための生態系)の形成を目指します。
CBEC2.0に向けて
第3回目となる今回、「CBEC2.0に向けて:アントレプレナー育成とそのエコシステムの展開」をテーマにこれまでの活動を振り返るとともに、海外の先進事例を通して、CBECの今後のあるべき姿について議論しました。当日は、学生や企業からの参加者を含め70名近い参加があり、東工大のアントレプレナー教育とイノベーション教育の未来に対して、高い関心があることが伺えました。
主催者を代表して、CBECプログラム代表である飯島淳一教授(本学工学院)が挨拶した後、文部科学省の松尾泰樹審議官が、日本のアントレプレナー教育の現状と将来展望について、三島良直学長が東工大の大学改革で目指している未来についてそれぞれスピーチを行いました。
続いて、4名の講演がありました。まず、東工大からは工学院の妹尾大准教授が、エンジニアリングデザインプロジェクトでの成果を中心に、CBEC教育の成果報告を行ました。続いて、南洋理工大学(シンガポール)のフウィ教授が、シンガポールが国家戦略として取り組んでいるアントレプレナー教育への取り組みと、同大学の教育哲学を紹介し、シャルマーズ工科大学(スウェーデン)のファクスヘデン准教授が、同大学で20年以上の実績があるイノベーション教育について話し、修士課程にベンチャー創造のコースがあること、実際にビジネスが始動するまでをサポートしていること等を紹介しました。最後に、アールト大学(ドイツ)のエクマン教授から、芸術と経営をエンジニアリングが繋いだことを言及し、「PBL」は通常“Project-based learning(プロジェクト型学習)”または“Problem-based learning(問題発見解決型学習)”を指すが、アールト大学の「PBL」は“Passion-based learning(情熱型学習)”だという話が特に印象的でした。
4名の講演のあとは、パネルディスカッションが行われました。会場からもたくさんの質問があり、非常に活発で熱気を感じる討論会となりました。
また、シンポジウムのプログラム終了後に続いて行われた懇親会でも、パネルディスカッションの熱気が引き継がれ、アントレプレナー教育についての熱心な議論が行われました。最後は、三島学長を中心に本日の登壇者、CBEC担当教員で円陣を組んで「ヤー」と発声し、イノベーション創出の未来への思いを一つにしました。
プログラム
(敬称略)
14:00 |
開会 |
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14:00 |
主催者からの挨拶 CBECプログラム統括 飯島淳一 |
14:05 |
来賓挨拶 文部科学省 審議官(科学技術・学術政策局)松尾泰樹 |
14:20 |
学長挨拶 三島良直 |
14:45 |
講演
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16:10 |
パネルディスカッション |