6月22日、東工大大岡山キャンパスにあるレクチャーシアターでリベラルアーツ研究教育院が主催する「池上彰先生に『いい質問』をする会2」が2時間にわたって開催されました。昨年12月に開催した会が好評だったことを受けて、再びリベラルアーツ研究教育院の池上彰特命教授と本学学生が対話する機会が設けられました。
「皆さんからの質問に『いい質問』『悪い質問』はありません。あるのは『いい答え』と『悪い答え』ですね」と池上特命教授は話し始めました。
第1部の「アジアと日本」をテーマとする池上特命教授のミニレクチャーは、史上初の米朝首脳会談を糸口とし、アジア各国における親日感情、反日感情の背景と現状を国別に対比するものでした。広範な内容がコンパクトに明確にまとめられ、講義何時間分にも相当する内容でした。
第2部は学生からのさまざまな質問に、池上特命教授が縦横無尽に回答していきました。レクチャー内容を掘り下げて、北朝鮮の核開発、米国による体制保証、戦後保証金とアジア各国の対日感情、「建国神話」の必要性、拉致問題、基地問題から、オウム真理教事件、サイバーテロに至るまで、その内容は多岐にわたりました。
また、質問は東工大の教育改革にも及び、学士課程1年目の必修科目「東工大立志プロジェクト」を履修した学生から「池上先生の『志』は何でしたか?」という質問も飛び出しました。「こういうのを『いい質問』と言うんだね」と苦笑しながらも「私の志は、日本の民主主義を強化することです」と池上特命教授は答えました。自分の頭で考え、それぞれが意思表示し、自分たちの代表を作り出し、そして世の中を良くしていく、それが民主主義であるとし、それを育てていくことを目指していると続けます。
また、そのためには、各自にとっての判断材料となる知識が必要であり、自分は大学とマスコミの両方から、できるだけ活字の形でそれを提供していきたいとも語りました。
そして、第3部は池上特命教授に代わり、「国際関係論」を担当しているリベラルアーツ研究教育院の川名晋史准教授が学生からの質問に答えました。川名准教授は、同じ対象を見ても、ジャーナリズム(報道的立場)とアカデミズム(学問的立場)ではそこから発せられるものは自ずから異なるとし、自身の発言は学者の立場からであることを明言した上で、国際情勢について答えていきました。
そこからは、研究者としてのものの捉え方や考え方、そしてその姿勢を明示したいという意志が伝わってきました。そして、最後に川名准教授は多様な視点からの歴史認識の重要性を述べ、会の締めくくりとしました。