10月31日に、東京工業大学 柔道部とフランスのエコール・ポリテクニークの学生12名との交流稽古が大岡山キャンパスの体育館武道場で行われました。
エコール・ポリテクニークは1794年に創立された理工系の高等教育・研究機関で、これまでに数多くの著名な人材を産学界に輩出しています。そのような海外の名門校の柔道チームを受け入れることは、創部100年以上の歴史を誇る東工大柔道部にとっても記念すべき出来事となりました。本学からは現役部員7名の他、OBが数名稽古に参加しました。
稽古の始めには、本学柔道部の長谷川博師範の提案により、エコール・ポリテクニークの学生からフランスで普段行っている稽古内容を紹介してもらいました。その後は、両校の部員がペアを組んで本学柔道部の伝統稽古の一つ「れんま」(円の動きを利用した崩しの技術)の打込みを実践するなど、交流稽古に相応しい内容となりました。稽古後には、制服に身を包み颯爽とした様子のエコール・ポリテクニーク学生を連れて、ワグネル記念碑前で東工大の歴史を説明したり、本館中庭講義棟から時計塔(古賀逸策研究室跡)を臨んだりし、大岡山キャンパスの見所を案内しました。
生協第一食堂で夕方から行われた懇親会には、フランス大使館への表敬訪問のため稽古に参加できなかったエコール・ポリテクニーク学生11名が合流し、学生同士、柔道や互いの国の大学生活をめぐる話題に花を咲かせました。
また、交流した学生からサプライズでワインのプレゼントがありました。
参加学生のコメント
柔道部主将の小野篤輝さん(物質理工学院 応用化学系 学士課程3年)
私は現在、物質理工学院 応用化学系で、将来化学メーカーで働き社会に貢献することを目指して勉強しています。
今回のエコール・ポリテクニーク柔道部との合同練習は私たちにとってとても刺激的な体験でした。日本とフランスという距離的にも文化的にも隔てられた二国間の理工系大学の学生が柔道という武道を通して交流を深められて良かったです。懇親会でもエコポリの学生がフランスの歌(大学歌、ラ・マルセイエーズ、レ・シャンゼリゼ)を披露してくださったり、お互いに自分の国の文化などを話したりして親睦を深めることができました。また機会があれば是非ともこのような場を設けたいです。
部員の松井優樹さん(第3類 学士課程1年)
私は第3類に所属していて化学系の内容を学んでいます。海水の淡水化に興味があり将来はその研究をしたいと考えています。今回の交流では英語があまり得意ではないので単語を繋げたような会話と大振りなジェスチャーでしか意思疎通を図れなかったのですが、柔道を通じて技をかけ、他方でかけられることで言葉以上の何かで分かり合うことが出来たような気がします。その後の懇親会で印象に残ったことは共に歌を歌ったことです。シャンゼリゼの歌のサビ部分での盛り上がりはまさに一致団結といった様相でとても気持ち良かったです。もし次の機会があれば、今度は自分の方が武者修行でエコール・ポリテクニーク柔道部を訪れたいと思いました。
エコール・ポリテクニークとの国際交流は大成功のうちに終了しました。特に今回が初めての国際交流の経験となった学士課程1年の部員が無理なく交流を楽しむことができた背景には、国境や言葉の壁を越えた両国の共通文化としての柔道の存在があるものと思われます。そうした柔道のもつボーダーレスの理念を携えて柔道部員は今後、国際的に活躍する人材となることを目指して、学業と稽古の両方に精進していく心構えをあらたにしました。東工大柔道部は海外学生の受入だけでなく本学部員の海外派遣も視野に含めて、今後も海外の学生との交流稽古の機会を積極的に創出していきたいと思います。