東京工業大学の未来社会DESIGN機構(以下、DLab)は6月16日、大岡山キャンパス西9号館において第2回「未来のシナリオを考えるワークショップ」を開催しました。5月18日のワークショップに続く第2弾で、前回作成した「未来のシナリオ」をより精緻なものにすることと、新たなシナリオの追加が狙いです。前回同様に東工大の教職員、学生、卒業生のほか学外の方もあわせ計31名が参加しました。
前回のシナリオを再検討
はじめに、前回作成した20個のシナリオをホワイトボード一面に貼り、参加者全員で前回の議論を振り返りました。シナリオの作成に至った経緯を説明し、それに対し意見を出し合うなど、シナリオ一つ一つを丁寧に検討していき、情報を共有しました。たとえば「1億総なりきりエンターテナー時代」のシナリオに対しては、「『1億総・・・』という表現に違和感をおぼえる」や、「エンターテナーの定義があいまいでよく分からない」などの意見が出ました。厳しい指摘もあった中、活発な議論が行われ、あっという間に午前中の予定が終了しました。
4チームに分かれシナリオを追加
午後は前回のシナリオをより精緻なものとすべく、4つのチームに分かれて検討を行いました。午前中に行ったシナリオの共有で活発な議論が交わされたこともあり、各チームで熱のこもった話し合いとなりました。教職員、学生、卒業生、外部からの参加者が、互いの立場を超えて自由に意見を交わし、積極的な雰囲気で議論が進みました。参加者は自分の意見を話すだけでなく、他者の意見に耳を傾け、時にはメンバーの意見を踏まえて自分の視点を加えるなど、様々な方向からシナリオの精緻化に取り組みました。
精緻化の後、前回作成したシナリオでは得られなかったテーマに焦点を合わせ、新たなシナリオを追加することになりました。具体的には「貧困・格差」「極限(宇宙・地底・原子etc.)」「若者」「コミュニティ・共感」の4つのテーマです。テーマ毎にチームに分かれ、前回同様に未来を考えるヒントとなるカードを見ながら意見を交換し、新しいアイデアや意見をふせん紙に書いてカードに貼っていきました。次にKJ法(ケージェイ法。多様な情報を整理し、新たなアイデアの創出や本質的な問題の特定を行う手法)を用いてカードを整理し、新たな仮説を組み立てました。その結果、いくつかのシナリオが新たに作成されました。
新しいシナリオへ精緻化
精緻化とシナリオの追加を終え、最後に午前中と同様にシナリオをホワイトボードに貼り付け、発表を行いました。例えば、前回のワークショップで2070年頃に訪れると想定された「老いる・老いないを選択できる社会」は、「死ぬということを前提とした社会のうえで老いる・老いないを選択できる」に書き換えられました。その他にも多くのシナリオを新しいシナリオへと精緻化しました。
今回も尽きることなく意見が交わされ、終了予定時刻をオーバーするほど、充実したワークショップとなりました。
キックオフイベントと2回のワークショップを経て、未来のシナリオの原案は完成しました。これから「東工大未来年表(仮称)」の作成、さらに未来社会像の作成に進みます。年明けには、東工大の考える豊かな未来社会像を社会に向けて発信する予定です。
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