2019年は、東京工業大学 科学技術創成研究院の化学生命科学研究所(化生研)の前身である資源化学研究所(資源研)が1939年に創立されて80年の節目にあたり、11月21、22日に記念式典とシンポジウムが開催されました。
資源研は、当時、建築材料研究所(現在のフロンティア材料研究所)の所長だった加藤与五郎教授がアルミナ製法の特許収入10万円を本学に寄付し、昭和天皇の勅令によって本学への附置が裁可された研究所です。
2016年に新しく開設された化生研が、11月21日に東京・神保町の如水会館で記念式典と祝賀会、22日には 本学すずかけ台キャンパス大学会館すずかけホールで記念シンポジウムを開きました。
記念式典
11月21日の記念式典は、文部科学省研究振興局学術機関課の西井知紀課長、資源研時代から5大学附置研アライアンス・共同研究拠点事業を共同で実施している東北大学多元物質化学研究所の村松淳司所長、同じく北海道大学電子化学研究所の中垣俊之所長が来賓として出席しました。本学の益一哉学長、資源研元所長の吉田賢右氏、辰巳敬氏のほか、名誉教授並びに研究所の元教員、化生研の現教員など、80名以上が参加して、盛大に行われました。久堀徹・化生研所長が、資源研の附置から現在に至る歴史を紹介し、益学長は本学の附置研究所を含む研究改革の紹介と化生研への期待を述べました。
文科省の西井課長は、2000年にノーベル化学賞を受賞した白川英樹博士が東工大で学び資源研助手としてノーベル賞につながる研究に取り組んだことを紹介し、資源研の我が国の学術研究への貢献と資源研・化生研が共同利用・共同研究拠点として果たしてきた役割に対して謝意を述べました。引き続き、村松東北大多元研所長からアライアンス・共同研究拠点事業の紹介があり、名誉教授の先生方からは、その時々で資源研の教員がどのように基礎科学研究をはじめとする研究活動に向き合ってきたかが紹介されました。
記念シンポジウム
11月22日は、場所をすずかけ台キャンパスに移して、資源研出身で現在国立大学教授として活躍しているOB教員を講師として招き、化生研の教員も加えて、全12題の記念講演が行われました。OB教員、本学教員、化生研に所属する学生・教職員など250名以上が参加しました。文部科学省研究振興局学術機関課の吉居真吾課長補佐は、祝辞とともに、資源研での日々の研究活動は優れた研究成果を創出し、若手人材の育成にもつながっていると述べました。続いて、桑田薫副学長(研究企画担当)が本学を代表して挨拶しました。シンポジウムでは、資源研OB教員の講師から、それぞれ資源研時代の研究をその後どのように展開して研究の発展につなげたかという興味深い講演があり、現教員の大きな励みになりました。また、学生にとっても、資源研・化生研が我が国の化学分野の研究でどのように研究水準を維持し、貢献してきたのかを知るよい機会となりました。
二日間の創立80年記念行事は、資源研から化生研に至る東工大での化学研究の歴史を振り返る機会になり、現在の化生研教員にとっては、今後の研究所の発展の方向を見定める重要な情報交換・意見交換の場ともなりました。