東京工業大学は科学技術創成研究院の鈴木啓介特命教授(3月31日まで理学院教授)に栄誉教授の称号を授与することを決め、3月31日、大岡山キャンパスで、益一哉学長が栄誉教授の称号記を鈴木特命教授に贈りました。
栄誉教授の称号は、本学教授、退職者、卒業・修了生のうち、ノーベル賞や文化勲章、文化功労者、日本学士院賞など教育研究活動の功績をたたえる賞もしくは顕彰を受けた者に対して授与されるものです。
鈴木特命教授は、生理活性天然有機化合物の全合成、および、基礎的な合成反応の開発研究を行いました。自然界の生理活性化合物の中には、入手源などの制約から稀少なものもあります。その場合、有機合成による供給が期待されますが、複雑な構造を持つ化合物の場合には容易ではありません。鈴木特命教授は、従来困難であった多くの不斉中心や官能基を持つ化合物の合成を、新たな合成反応の開発や合成経路の設計により実現してきました。反応開発では高反応性化学種を活用し、斬新で有用な分子構築法や立体制御法の開発につなげた一方、合成研究では糖質やテルペン、ポリケチドなどの生合成の異なる構造が複合化した標的に関し、数々の全合成を実現しました。
これらの業績により、鈴木特命教授は、2010年に紫綬褒章、2015年に日本学士院賞を受賞するとともに、2016年に日本化学会名誉会員、2018年には日本学士院会員にも選出されています。
今回、これまでの研究業績や受賞に対して、栄誉教授の称号が授与されました。
称号記授与式終了後、益学長、渡辺治理事・副学長(研究担当)らを交えて、鈴木特命教授を囲んで懇談し、和やかな雰囲気のうちに閉会しました。
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