東京工業大学の鈴木啓介栄誉教授が2020年の第61回藤原賞を受賞し、贈呈式が8月27日、学士会館(東京都千代田区)で行われました。
公益財団法人藤原科学財団によると、藤原賞は「わが国科学技術の発展に卓越した貢献をした科学者」を顕彰します。藤原科学財団は、旧王子製紙株式会社(現王子ホールディングス株式会社、日本製紙株式会社)社長で製紙王と呼ばれた藤原銀次郎が1959年に設立しました。1975年から藤原賞を年2件、贈呈しています。
受賞した研究項目
高次構造天然有機化合物の全合成に関する研究
鈴木啓介栄誉教授のコメント
この度の第61回藤原賞受賞は、幾重もの光栄、喜び、感謝に堪えません。
この春、定年となり、24年間にわたる大岡山での有機合成研究、特に天然物合成の研究をご評価頂いたことに、苦楽を共にしたスタッフ、学生諸君に感謝です。
恩師(故)向山光昭先生(本学栄誉教授)には、東大の卒業研究時代以来ご指導を頂きましたが、四半世紀前には“東工大で頑張ってみろや”と肩を押して頂きました。残念ながら一昨年末ご逝去になり、直にご報告は叶いませんでしたが、お喜び下さっていると信じています。ちなみに、向山先生が東大を定年退官された1987年にこの藤原賞(第28回)を受けられた奇縁にも、末弟として望外の誉れを感じています。
最後は、藤原銀次郎先生のことです。小生の前任地は慶応大学でしたが、博士取得後に助手として赴任した日から13年間、毎日、矢上台キャンパスの入口にある藤原先生の銅像の前を通いました。慶応大工学部の前身は藤原工業大学、まさに藤原先生の御寄付によって設立された、という御縁からも大変な光栄です。先生の銅像の前には小さな池があり、毎春お花見の時には(現代では信じられないほど野蛮な)飲み会があり、昂じて池に飛び込む、銅像によじ登る等はまだしも、行方不明?と皆が心配する中、自慢のキラっと光る白い前歯をなくし、闇からヨロヨロ這い出してきたヤツとか!
とにかく元気な若者(自分も含め)が切磋琢磨した時代を思い出し、またまた感謝でした。
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