7月18日から20日の3日間にわたり、米国スタンフォード大学デザインスクール(d.school)の講師3名を招聘し、「デザイン思考」に関する講演会とワークショップを行いました。
「デザイン思考」とは、イノベーションを起こす人材を生み出すことを目的にして設立されたスタンフォード大学のd.school(Institute of Design at Stanford)が提唱している発想法です。論理性を超えた直感的な発想と、ユーザーのニーズを構成する要素の理解を軸にしています。数多くの有力ベンチャー企業を生み出しているシリコンバレーのエコシステムを背景に、社会に受け入れられてこその「イノベーション」を生み出す基本的なコンセプトとして注目を浴びています。
今回は、18日に学内外向けの講演会「LECTURE」、19・20日にグローバルリーダー教育院(AGL)中心の学生を対象としたワークショップ「DESIGN CHALLENGE」を行いました。
1.講演会「LECTURE」
本学の学生・教員、学外合わせて、約200名の参加があり、関心の高さを示していました。講師のThomas Both、Scott Wittouft、David Jankaからの「隣の人の好きな事を聞こう」との指示のもと、聴衆が互いの意見を言い合うアイスブレイクから、カジュアルな雰囲気でスタートしました。
デザイン思考の5つのステップ、すなわち、Empathize(相手の目線・立場にたった嗜好)/Define(嗜好に再定義)/Ideate(再定義に基づいた解の提案)/Prototype(解の可視化)/Test(ユーザーのフィードバック)について、d.schoolでの例を交えながら説明していきます。
後半の約1時間は、質疑応答の時間で活発な意見交換がなされ、あっという間の2時間でした。
2.ワークショップ「DESIGN CHALLENGE」
AGL所属の学生を中心に、学内、AGLに協力いただいている一橋大学、そして慶応大学の学生含め45名の学生を対象に、まるまる2日間の濃密なワークショップとなりました。
「自由が丘というコミュニティーを感じる仕組みをリ・デザインする」というテーマで、自由が丘を訪れる人々のニーズや思いを掘り起こし、新たな価値を提供するサービス・仕組み・機器を提案するワークショップです。「デザイン思考」の5つのステップを、3人の講師のアドバイスを受けながら、体験します。自由が丘を訪れる人々が意識している「問題点」をあぶり出し、その意味を解明し、解を提案して、可視化をしていきます。
「デザイン思考」は、新たな設計やサービスの提供、新規事業を起こす事だけでなく、研究、NGO/NPOの活動含めあらゆるイノベーテイブな活動の基本的な考え方と捉えることが可能です。そして、実際の活動をより創造性を持った活動にすることができます。人によっては「起業マインド:entrepreneurship」と言い換える人もいますが、それが実際にはどんな活動の事をさすのか、今回の講演会やワークショップを通して、ヒントになったのではないでしょうか。また、全編英語で行ったことで、スタンフォード大学での実際の進め方の一端を経験してもらうことができました。
グローバルリーダー教育院とは
グローバルリーダー教育院(AGL)は、2011年に設立された全学組織で、国際社会を牽引する博士リーダー人材の育成を目的にしており、現在、各専攻に所属しながら約35名の学生がAGLにも所属しています。AGLには、人文社会系道場と科学技術道場が各2つずつあり、所属生はそれぞれから1つずつ選択し、後期博士課程修了までの間所属します。各道場は、道場主と呼ばれる教員がいて、学生がリーダシップを自ら学ぶ場を提供します。
人文社会系道場の1つである山田道場では、「アントレプレナーシップ(起業マインド)」をリーダシップの根幹機能とし、それを支える基本的なコンセプトとして「デザイン思考」を位置づけています。さらに、「発想」の部分をメインにし10数年後の未来社会を設計する「未来洞察」や、「デザイン思考」のアドバンスコース的な位置づけで事業モデル開発を行う「Lean Launchpad」等のワークショップを実施しています。山田道場のカリキュラムは、これらのワークショップを中心にして、起業マインドの本質的な醸成を行っています。
お問い合わせ先
グローバルリーダー教育院
特任教授 山田圭介
Tel: 03-5734-2323
Email: yamada.k.be@m.titech.ac.jp