8月4日に大岡山キャンパスにおいて「大学教員のためのFD研修会 〜アクティブラーニング実現に向けて〜」を開催しました。
東京工業大学では、目下、教育改革を推進しており、2016年4月開始に向け、アクティブラーニングを積極的に取り入れた教育・学習環境整備を進めています。具体的には、南3号館322及び323号室の改修、耐震工事が終了した南5号館110及び111号室の整備が進められています。工事は2015年1月には終了し、AV機器が整備された講義室として完成する予定です。
このようにハード面(箱)は整いつつありますが、アクティブラーニング、反転授業、MOOCsなど、ハードを活用するためのソフト、すなわち最近の先端教育手法の知識も必要となります。そのため、整備の一環として FD (Faculty Development) 研修会を継続実施しています。研修内容はAV機器の使用方法ではありません。今回の研修会では、参加教員がアクティブラーニング形式での研修を体験することで、自身の授業の振り返り、および、他学科の教員との情報共有を通じて、今後の授業改善に結びつけることを目的としており、全学科から教員約30名が参加しました。
研修会では、日本教育工学会FD特別委員会の協力の下、「大学授業デザインの方法―1コマの授業からシラバスまで―」をテーマに、参加者それぞれが授業実践事例を持ち寄ったワークショップ形式で行なわれました。授業のデザインに関する問題意識の明確化、情報・課題の共有など議論を進め、「何を誰に教えようとしているのか」、「どんな方法で教えるのか」、「続けたい点・変えたい点は何か」などグループ内で活発な議論が交わされました。
研修会後の参加者アンケートでは、「シラバスの目標設定の重要さに気づいたことは大きな収穫であり、学生の集中・興味を保つ方策のヒントを得られた」、「理論に基づき自分の授業改善について考えることができた。また、アクティブラーニングを体験しながら学べた」、「他学科の先生方と話す機会が持てて、いろいろヒントをいただいた。」等々の感想が寄せられており、参加者は手ごたえを得たようでした。
今回の研修を主催した創造性育成科目実施委員会の山田明委員長(大学院理工学研究科電子物理工学専攻 教授)は、以下のようにコメントしています。
大学教員として講義を行い、かれこれ20年以上経ちますが、初めて講義方法に関して系統的に聞くことができました。講義を通して学生が身につけるべき目標設定がシラバスで明らかになっているか、一発の期末試験ではなく単元毎にテストを行い、複数回の達成度チェックにより学生の評価を行った方が良いなど大変参考になる情報を得ることができました。
例えば以下の線形回路の演習問題などは「回路の電圧伝送比を求めよ。」と聞いてしまいますが、グループを作り、
- 1.
- 電圧伝送比を求める。
- 2.
- 横軸を周波数、縦軸を伝送比の絶対値としてグラフを描く。
- 3.
- 回路の役割をグループ全体で考えさせる。
- 4.
- 結果をグループ毎に発表、全体で議論する。
などひとつの問題に対して時間はかかりますが、学生の興味を引くやり方を工夫することが可能だと気がつきました。また、シラバスには15回分の講義内容が書いてありますが、各講義内容の連関を図で示すことによって学生の理解度が増すかもしれないと感じました。
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