東京工業大学物質・情報卓越教育院(TAC-MI)は6月30日に、博士後期課程学生の成果発表会を、オンラインで開催しました。2019年4月に大学院教育プログラムとして本格的に始動してから3年目となる今回の成果発表会には、本プログラムの連携協力機関である企業関係者や本教育院のプログラム担当者、協力教員、学生など、学内外から約140名が参加しました。
当日のプログラム
9:00~14:37<第1部> |
博士後期課程1年の学生による成果発表会 |
---|---|
14:37~14:55<第2部> |
博士後期課程2年の学生による自主設定論文進捗発表会 |
15:10~16:40<第3部> |
企業メンターと学生との面談 |
16:50~17:50<第4部> |
企業アドバイザー連絡会 |
17:50~18:50<第5部> |
意見交換会 |
第1部 博士後期課程1年の学生による成果発表会
第1部の開会式では、物質・情報卓越教育院のプログラム責任者である須佐匡裕物質理工学院長および物質・情報卓越教育院の山口猛央教育院長が開会の挨拶を行いました。開会挨拶の中で、須佐学院長は、多くの企業の育成に係わり、社会公共事業や民間外交にも尽力した渋沢栄一氏の話に触れ、学生に向けて「今後の研究の幅を広げてほしい。第2の渋沢栄一のようなイノベーターが生まれてほしい」と期待の言葉を述べました。
続いて、博士後期課程2年の学生による司会進行により、博士後期課程1年の登録学生21名がこれまでの研究成果と今後の物質と情報を融合させた研究への発展等について発表を行いました。1人あたりプレゼンテーション6分、質疑応答4分の持ち時間で進められました。企業関係者や教員、先輩学生より活発な質疑があり、学生にとって自身の研究をアピールする良い機会となりました。様々な研究分野の参加者が集まるこの発表会は、異分野の方に対し、自身の研究の伝え方を考え、工夫する良い機会となりました。
第2部 博士後期課程2年の学生による自主設定論文進捗発表会
第2部では、物質・情報卓越教育院の松下雄一郎特任准教授の進行により、博士後期課程2年の登録学生1名が自主設定論文に関する進捗の発表を行いました。
自主設定論文では、自らの博士論文研究とは異なる課題を自主的に設定して研究します。自身の専門と異なる研究室に2週間程度滞在し研究を行う「ラボ・ローテーション」や海外インターンシップなど、TAC-MIで得た学修成果を活用します。専門分野の枠を超え、物質と情報を用いた複素的な新しい考え方を持つ独創的な研究を自立的に行う能力を身につけることが目的です。登録学生は、博士後期課程2年の6月の成果発表会もしくは12月の国際フォーラムにて、研究の進歩状況を英語で発表した上で、博士後期課程修了時までに、実施した研究結果を報告します。今回は今年度発表を行う予定の博士後期課程2年生のうち1名が発表を行いました。
企業メンターとの面談
研究発表が終わった後、博士後期課程の学生と企業メンターとの面談を行いました。本教育院では1人の学生に対して、1人の企業メンターがつき、教育院登録当初から修了まで継続的に見守っていきます。学生は面談を通して、自身の強み弱みを把握するだけでなく、研究や発表、キャリアパスなど様々なアドバイスを受けました。
企業メンターとの面談実施も今回で4回目となります。今回は博士後期課程の学生44名が企業メンターと面談を実施しました。博士後期課程3年生の学生にとっては最後の面談となりました。企業メンターを担当した方からは、博士後期課程1年生から博士後期課程3年生までの面談を通じて成長を感じたという意見を多くいただきました。
面談を通して企業の方からいただいたアドバイスが、学生たちの研究やプレゼンテーション力、キャリア形成に活かされています。
連携する企業関係者の感想
発表会後のフィードバックシートでは、発表を聞いた教員や企業関係者から発表学生へ多くの意見や感想、アドバイスなどが寄せられました。企業関係者から寄せられた感想を紹介します。
- 社会実装やSDGsを意識した研究もあり、とても良い成果発表会と感じました。
- 限られた時間の中で研究内容を端的かつ専門外の人にも分かるよう工夫されていたと思います。自分自身のオリジナリティがどこにあるかを意識している方も多く、昨年度までの成果発表会に比べても大きな改善が見られ、感銘を受けました。
- 物質系の学生は情報系の研究室で、情報系の学生は物質系の研究室で学ぶことができるという非常に恵まれた環境下でよく鍛えられており、博士後期課程1年の学生としてはレベルが高いと感じました。また博士後期課程2年の学生の運営もスムーズで感心しました。
今年度も昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、オンライン開催となりましたが、多くの企業関係者、教員、学生の協力により、有意義な発表会を開催することができました。また本イベントの最後には、企業の方と学生が交流を深めるため意見交換会を開催しました。意見交換会は、5つのブレイクアウトセッションルームに分かれ、各ルームでの交流を深めました。面談や意見交換会、発表後のフィードバックシートを通じて、企業の方からアドバイスを受ける機会は、学生にとって貴重な経験となりました。
今後も物質・情報卓越教育院では、イベントを通して、社会サービスの実装を見据え、地球規模の視野を持った、産業界が期待する卓越した人材を育成していきます。
「物質×情報=複素人材」を育成する卓越した博士教育
物質・情報卓越教育院(TAC-MI)は、本学から申請した2018年度卓越大学院プログラム『「物質×情報=複素人材」育成を通じた持続可能社会の創造』が文部科学省に採択されたことにより、2019年1月に設立されました。
本教育院では、複眼的・俯瞰的視点から発想し、新社会サービスを見据え、情報科学を駆使して独創的な物質・情報研究を進める「複素人材」を産業界とともに育成します。
- 物質・情報卓越教育院
- 物質・情報卓越教育院が2020年度国際フォーラムを開催|東工大ニュース
- 物質・情報卓越教育院 2020年度未来社会サービス創出ワークショップを開催|東工大ニュース
- 物質・情報卓越教育院 修士課程学生による成果発表会および産学交流イベントを開催|東工大ニュース
- 物質・情報卓越教育院 博士後期課程学生の2020年度成果発表会を開催|東工大ニュース