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ジョージア工科大教員による「グローバルリーダーシップ実践」集中授業2021 オンラインによる双方向型授業の開講

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東京工業大学グローバル理工人育成コースでは修士課程学生向けに、協定校であるジョージア工科大学(米国ジョージア州アトランタ)の教員が教える「グローバルリーダーシップ実践-Global Leadership Practice」集中授業(100分×8回)を2018年度から毎年開講しています。コロナ禍で移動が制限される中、2021年度も2020年度に引き続き、アトランタと東京をオンラインで結びました。6月15日から25日まで行い、15名の学生が履修しました。履修生間での活発な交流を促進するための様々な取り組みをもとに、オンラインであっても成果をあげた授業の様子を紹介します。

グローバルリーダーシップ実践授業は、ワークショップや事例研究、ディスカッション、自己分析などを通じて、グローバルな環境で自身の価値や目的を実現するためのリーダーシップに必要な要素を学ぶことを目的としています。

2018年度と2019年度はジョージア工科大学の教員を日本に招き、対面での講義を実施しました。2020年度と2021年度は新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン開講となりましたが、授業スタイルはリアルタイムの双方向型で、テレビ会議システム「BlueJeans(ブルージーンズ)」や学習プラットフォーム「Pear Deck(ペア・デック)」、双方向型オンラインツール「Mentimeter(メンティメーター)」などのツールを活用しました。履修生は、講師、ティーチングアシスタント(TA)、クラスメートとグループワーク、ディスカッションを中心に積極的な交流を展開することができました。

なお、この授業は東工大グローバル理工人育成コース上級の選択必修科目ともなっています。

グローバル理工人育成コースは、世界の様々な分野で活躍できる人材を育成するために2013年度に開設した教育カリキュラムです。現在2,090名(上級51名)が履修しています。

オンラインでの双方向型授業

ジョージア工科大学があるアトランタと東京の間には13時間の時差があります。東工大生は朝8:00から授業に参加し、ジョージア工科大学の教員は夜19:00から授業を行う形で授業時間を設定しました。

ジョージア工科大学側の教員とTA、および日本側のグローバル理工人育成コースの教職員と留学生TAの間で2カ月前からオンラインで打ち合わせを重ねました。

過去の本科目の履修生の支援により開発したアプリを用いたり、授業を双方向型のものにするのに役立つツールを活用し、対面型で行っていたグループワークをオンラインでも効果的に実施する方法について検討を重ねました。また授業に対する自由なフィードバックを随時オンラインで受付け、授業毎にフィードバックを反映し履修生の希望を汲んだ形で授業を進めていく方法を取り入れました。

教員・履修生ともに新しい方法にチャレンジするという発想のもと、テクノロジーを活用して柔軟な思考力とタイムマネジメント力を発揮しました。コロナ禍で移動に大きな制限がある中でもリーダーシップを基盤とした国際協働、多文化理解について多様な文化背景をもつ参加者同士で話し合い、学びを深めることができました。

ジョージア工科大の教員による授業

ジョージア工科大の教員による授業

国際色豊かな履修生

履修生は日本10名、ブルガリア、インドネシア、ベトナム、台湾、モンゴル各1名で、様々な出身国からの計15名となりました。3名のTAはチリ、メキシコとバングラディシュ出身で、講師はアメリカ人、ゲストスピーカーはベトナム出身の本学卒業生です。日本人学生は、留学経験者や将来の留学を希望する学生が多く、グループワークやディスカッションに活発に取り組みました。

それぞれの出身国について紹介する参加者達

それぞれの出身国について紹介する参加者達

参加型の授業・アクティブラーニング

この授業は、ジョージア工科大学で実践されているリーダーシップの授業を基に、過去3回の履修生からのフィードバックを反映し、授業内容を発展させたものです。

アメリカ型の授業では、予習と復習をこなして、授業では積極的な発言が求められます。本授業も、授業開始以前から、リーダーシップに関する本を1冊読み、リーダーシップやチームワークに関するブログを合計6回投稿する課題が課されました。また、履修生には授業に先んじてオンラインでオリエンテーションを行い、計8回の授業内容のポイントや課題をまとめたマニュアルを配布しました。マニュアルを事前に読んでおくことで、日本人学生もグループワークとディスカッションに率先して参加できました。

授業はすべて英語です。履修生の参加を促す学習プラットフォーム「Pear Deck」で「今日の気分」や「今日一番学んだこと」を投稿し、クラス内で共有しました。また、過去の対面授業の際行われた「100枚のカードを用いて自身が重要だと思う価値観を選択する自己分析ツール」をプログラミングし、オンラインでも対面で行う活動と同様の効果を得ることができました。

クイズ・投票・回答集約機能に優れたオンラインツール「Mentimeter」は、履修生の回答を即座にビジュアルにし、個々の価値観を共有するのに役立ちました。

Mentimeterで各々の価値観を共有しお互いを理解する
Mentimeterで各々の価値観を共有しお互いを理解する

異文化でのチームワークから学ぶ

次に、チームワークについて学習しました。このセッションでは目標実現のためにメンバーの長所や強みを生かし、協力して取り組むことが不可欠である、という前提を共有します。異文化および分野横断的な環境の中で協力し、課題を解決し調整する能力を身に付けます。各チームの代表が家の中にある10の素材を準備し、チームのアイデアをもとに「様々な問題を解決する画期的なシステム」を作ることに挑戦しました。歩きスマホでの事故防止のための「スマートグラス」、コロナ禍でも楽しく自宅で過ごせるようオンライン上で実際にハイタッチができる「マジックハンド」、どんな体勢でも使える「パソコンホルダー」、野菜の栄養を加えつつ温かいカップラーメンを作ることができる「加熱ミキサー」 などを協力して作り、共通のゴールを達成するために必要な方法を学びました。

歩きスマホ防止のためのスマートグラス
歩きスマホ防止のためのスマートグラス

オンライン上でハイタッチできるマジックハンド
オンライン上でハイタッチできるマジックハンド

どんな体勢でも使えるノートパソコンホルダー
どんな体勢でも使えるノートパソコンホルダー

野菜の栄養を取り入れカップラーメンを作れる加熱ミキサー
野菜の栄養を取り入れカップラーメンを作れる加熱ミキサー

また、各国のリーダーシップのスタイル(平等主義、階級主義)について、その国の歴史、文化、習慣を前提とした違いについても学びました。組織内での意思決定の方法は国によって大きく異なっており、各国のリーダーシップスタイルの特徴と、その中で起こりうる意識的あるいは無意識の偏見への対処法についても学びました。

チームビルディングのセッションでは、グーグルジャパンに勤務する本学卒業生のミン・グエン(Minh Nguyen)さんがゲストスピーカーとして参加しました。ミンさんの実体験に基づく日本企業とグローバル企業の比較や、様々な環境の中で自分の能力を活かし目標を実現するためのヒントを履修生は聞くことができました。

本学卒業生のミン氏(写真左上)
本学卒業生のミン氏(写真左上)

オンラインイベント

グローバルリーダーシップ実践では、毎年、履修生と教員、TAが懇親会を行い、親睦を深めます。今回、講師とTAは来日できなかったため、オンラインで懇親イベントの時間を持ちました。

お互いの国の文化を紹介するゲームや、お題に沿って物を持ってくるスカベンジャーゲームで遊び、それぞれの国の印象と良いところを語り合いました。

イベントパーティーで盛り上がる参加者達

イベントパーティーで盛り上がる参加者達

授業の休憩時間では、お互いのことをより知るために、お勧めの曲・映画・本を「AwesomeList(オーサムリスト)」で共有し、また授業に関するテーマについて、更に深くディスカッションをする機会も持ちました。これらの機会から、授業の中で履修生はお互いを信頼した上で自分の考えを自由に発言できるようになりました。

最終発表セッション

最終日には4グループが、それぞれ2名のリーダーについて事例研究を行い、リーダーシップに必要な要素を分析し、結果を発表しました。履修生の多様な国籍を活かし、日本の菅義偉総理、ドイツのアンゲラ・メルケル首相、プログラマーのリーナス・トーバルズ氏、宇宙ごみを排除するビジネスで起業したアストロスケールCEOの岡田光信氏、IKEA(イケア)創業者のイングヴァル・カンプラード氏、株式会社ニトリ創業者の似鳥昭雄氏、台湾の実業家でTSMC創業者のモリス・チャン氏、元サッカー女子日本代表の澤穂希氏といったリーダーを取り上げ、社会変革をもたらす方法を語り合いました。

履修生は最後に、学んだことを今後どのように自分の将来に適用していくかを具体的に示し、メンバーと共有しました。講師はこの集中授業が終わった後も履修生の成長、学びについて個別に、フィードバックします。

履修生にとって、全8回の授業は刺激的で成長できる2週間となったようです。多様な文化に属する参加者とオンラインで交流を深めることができ、場所を選ばない国際協働の方法を学びました。

履修生の感想

正木晴也さん(環境・社会理工学院 融合理工学系 修士課程1年)

島国の日本では、国際社会でリーダーシップを取れるリーダーが少ないように思います。
グローバル化が進む中で、異文化におけるリーダーシップを発揮できる人材が必要です。
新型コロナウィルスの影響は異文化でのリーダーシップの必要性を認識するよい機会でした。この講義で多くのことを学びました。来年から日本企業で働きますが、そこで、たくさんの行動を起こしたいと思います。将来的には、日本と世界を発展させられるリーダーになりたいと思います。

Uranulzii Batbayar(バトバヤル・ウランウルジ)さん(物質理工学院 材料系 修士課程1年)

とても充実しており、リーダーシップについて深く知るよい授業でした。リーダーシップについての5つの要素について学びました。私はこれまでのリーダーシップの経験の中で、これらの要素を実践していたと思うとともに、これらの要素を論理的に理解することができました。リーダーシップに関する自己分析は、自身を理解するためにとても役立ちました。

お問い合わせ先

グローバル人材育成推進支援室

E-mail : ghrd.info@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3520


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