東京工業大学附属図書館(大岡山図書館、すずかけ台図書館)では、本学の学生が図書館サポーターとして活動し図書館の活動を支えています。図書館サポーターは昨年から動画制作に取り組み、図書館の新たな魅力を発信しています。今年、大岡山図書館が開館10周年を迎えるにあたり記念動画の制作に挑戦しました。
図書館サポーターの活動とは
図書館サポーターは、図書館業務に学生の意見や発想を取り入れることで図書館サービスの充実を図るとともに、学生が大学や図書館についての理解を深めることを目的として、2010年に活動を始めました。日常的には、資料にバーコードなどのラベルを貼る作業、本棚の整理、テーマに基づいておすすめの本を展示する際の推薦POPの作成などを主に行っています。昨年はコロナ禍で新規メンバーの募集を見送りましたが、今年は8名が加わり、学士過程から博士後期課程までの学生計23名が大岡山図書館とすずかけ台図書館で活動しています。
オープンキャンパスやホームカミングデイなどで開催していた見学ツアーでは、ガイドとして学生の視点から図書館の見どころを説明し好評を得ていましたが、コロナ禍によって2020年度以降実施できておりません。
コロナ禍で始めた動画制作
昨年、図書館サポーターの活動も制限されている中、見学に来られない高校生や図書館を利用できない新入生に向けて、図書館の中の様子を紹介する動画制作の企画が持ち上がり、図書館サポーターに参加を呼びかけました。有志が集まっておのおのテーマを考え、互いに撮影をしたり編集作業で協力したりしながら、バーチャルツアーをイメージした作品や、おすすめポイントを紹介した作品など6本の動画を完成させました。それらは東工大公式YouTubeチャンネルでも公開され、オンラインオープンキャンパスなどを通して多くの視聴がありました。
今年3月には隣接するHisao & Hiroko Taki Plazaと地下通路でつながったことから、新たな入館経路を紹介する動画も制作しました。今年度も引き続きさまざまな切り口で動画制作を行い、図書館の新たな魅力を発信しています。
大岡山図書館10周年記念動画の制作
大岡山図書館は、正門からウッドデッキへつながる大岡山キャンパスの中心に位置し、多くの学生や教職員が日々通行する場所にあります。約63万冊の蔵書を収めた地下部分と、学習スペースの地上部という図書館としては珍しい構造が特徴です。地上部は三角形のガラス張りとなっており、その外観から学生たちの間ではチーズケーキの愛称で親しまれています。環境・社会理工学院 建築学系の安田幸一教授が設計を行い、開館した2011年にはグッドデザイン賞を受賞しました。
今年は開館10周年という節目を迎えたことから記念の動画制作を図書館サポーターに相談したところ、環境・社会理工学院 土木・環境工学系の渡邊春菜さん(博士後期課程2年)から自身の専門である「ランドスケープデザインや空間づくりと図書館」に着目したコンテンツの企画が提案され、設計者の安田教授へのインタビューが実現しました。なぜ図書館は地下化されたのか、地上部を三角形にするアイディアはどうやって生まれたのかなどインタビューで語られた誕生秘話や裏話と共に、館内のおすすめスポットの紹介も盛り込んだ約9分の動画が完成しました。
10周年記念動画を制作した図書館サポーター渡邊春菜さんからのコメント
インタビューを通して、大岡山図書館は「情報収集」という機能だけでなく、様々な過ごし方を利用者自らが選べる空間づくりがされていることがわかりました。「今日は集中したいから書架奥の机に行こう」、「リフレッシュしたいから外を眺めながら小説を読もう」などそれぞれの場面で心地よく利用できるのは、柱の少ない構造、自然光と間接照明の取り入れ方、書架の高さ、インテリア、シンプルなサインといった利用者への細かな配慮があるからです。こうした建物を見る「視点」を意識して動画を見ていただけたら嬉しいです。
大岡山図書館10周年記念動画は東工大公式Youtubeチャンネルからご視聴いただけます。ぜひご覧ください。