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「アートが媒介する多文化理解」の成果発表会を開催 問いかけと対話を作品に込めて

東京工業大学は、1月28日に第4クォータ開講科目「アートが媒介する多文化理解 (Multicultural Understanding Through Art)」の成果発表会を開催しました。この催しは、履修者13名が4つのチームに分かれて制作する作品を履修者以外の人と共有し、学内関係者を招く形で企画されたものです。当日は新型コロナ感染急拡大の影響により、急きょ対面実施からZoomでの発表に切り替わったため、会場に集まった講師と見学者は、スクリーン上に映し出されるZoom画面で作品を鑑賞しました。学生たちは、アートとは何か、それを多文化理解にどう繋げるかを問い続けた成果を各チーム15分間にまとめ、披露しました。

各チームの発表作品

チームConfused:曼荼羅をヒントに身体表現、音楽、画像を融合したパフォーマンス

手で描いた曼荼羅のフォルムを動画として流しながら、参加者も加わって手拍子を添え、映像とリズムを共有しました。

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チームConfusedの作品

チームConfusedの作品

チームNoisy:視覚、聴覚、触覚との接点に関する考察

知覚(Perception)に焦点を当て、「静か」あるいは「うるさい」といった感覚がどのように作られているかを、紙とピンポン玉と石を題材として参加者に質問し、Zoomチャットに寄せられる回答から考察しました。

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チームNoisyの作品

チームNoisyの作品

チームBvaya:異なる言語の単語の音を書き取る連想ゲーム

自分が知らない言語の単語の音をチームメンバーから聞き取り、聞こえた音をそのままボードに書き止め、意味を推測して次の人に伝えるゲームを行いました。そして、そのボードがアート作品に成り得るか問いかけ、講師や他チームのメンバーと意見を交わしました。

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チームBvayaの作品

チームBvayaの作品

チームAIS:参加者協働型のコラージュの作成

オンラインアプリケーションで視聴者全員がコラージュ制作に参加し、協働作業によって1つの身体を作り上げました。

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チームAISの作品

チームAISの作品

来場した見学者からは、「各チームそれぞれユニークな発表だった」、「次回はぜひ対面形式で開催してほしい」、「作品に至るまでのプロセスを知っていれば見学者はもっと楽しめただろう」、といった意見が寄せられました。アート作品を通して、制作した学生同士のみならず、制作者と鑑賞者の間にも豊かな対話が生まれました。

学生のコメント

飯干成美さん(環境・社会理工学院 学士課程1年)

今回の授業ではグループワークや発表など、英語を使う機会がたくさんありました。特にグループワークではお互いに第一言語ではない英語での話し合いだったこともあり、なかなか思うように発言することもできず、悔しい思いもしました。最終発表がオンラインで実施されるなど、思うようにいかないところもありましたが、グループのメンバーと協力して対応することができたのは良い経験となりました。短い期間でしたが、今回の授業を取らなければ関わる機会のなかったような講師の先生や、留学生との交流ができ、とても楽しい授業でした。ありがとうございました。

藤崎真生子さん(環境・社会理工学院 融合理工学系 学士課程2年)

間違いなく充実した授業でした。前半の各々がテーマに合わせて選んだ写真を発表するセッションでは、みんなの取り組み方が予想以上に多様であると実感しました。それを踏まえた後半の発表では、3人の多様性をただ融合させるのではなく全く新しいものを作り出して欲しいという講師からのアドバイスに四苦八苦しながらも、なんとか1つの作品を作り上げました。留学生と密にコミュニケーションを取りながら、古来のマンダラがもし現在も祈りの手段としてポピュラーだったら、という新たなアートを作り上げられた達成感はひとしおでした。

イレーン・タスニム(IREEN TASNIM)さん(環境・社会理工学院 学士課程1年)

STEM(科学・技術・工学・数学)に属する者は、アートの世界との接点を失いがちと言わざるを得ませんが、この科目は、そのギャップを埋めるための革新的な試みだと感じています。私たち自身について、アートとは何かについて、そしてアートがどのように他者に貢献し得るかについて何時間も話し合った後、最終プレゼンテーションを行うことが求められました。4つのグループは非常にすばらしいパフォーマンスを披露しました。それは講師の方々が、常に既成概念にとらわれないようにと私たちを励ましてくれたからに他なりません。

担当講師のコメント

河合政之氏(ヴィデオ・アーティスト/理論家)

思い切ってやってみてください。目を開けて、見えないものを見てみてください。(無意識的に)声をあげて、言えないことを言ってみてください。(直感的に)手を動かして、作れないものを作ってみてください。ひらめきを信じ、習ったことを疑ってください。めったに成功せず、ほとんど失敗するでしょう。あなたにはたくさんの問題があり、解決策はほとんどありません。今こそ、境界を超えていくときです!開いて、つながって、動いて、またやってみてください。チャンスを試し続けてください。

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ヴィデオ・アーティストで理論家の河合氏の作品デモンストレーション

ヴィデオ・アーティストで理論家の河合氏の作品デモンストレーション

説田礼子氏(エルメス財団 キュレーター)

アートに触れながら交流を深めるという授業において、それぞれの参加者のバックグラウンドやアートに対する思い、考えなどを共有し、ディスカッションを経て個性豊かなグループワークの協働へ進むことができました。一人一人の文章や写真、発言、表情などの断片を振り返ってみると、手探りで話し合っているときの戸惑い、課題へと突き進み始めたときの疾走感、最後の解決力の高さなどが印象に残っております。
アートには様々な側面がありますが、それは個人の感情に結びつき人の心を揺るがす特別なエネルギーであり、それ故、権力や政治学とも結びついていました。だからこそ、歴史の中で、人間の尊厳を問い、存在を確認する抵抗の手段にもなり、時を経て、誰にでも開かれたものであるべきであると再定義されてきました。今、アートをめぐる開かれた対話が求められ、東工大の様々な国籍の人々と繰り広げることができるのはそんな歴史があったから、ということを記憶しておいてほしいと思っています。

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講師は大岡山キャンパスのレクチャーシアターから学内見学者と共に参加

講師は大岡山キャンパスのレクチャーシアターから学内見学者と共に参加

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グループワークで意見を出し合う学生たち

グループワークで意見を出し合う学生たち

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各チーム発表後の集合写真

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お問い合わせ先

留学生交流課

E-mail : ryu.kor3@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2984


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