東京工業大学 情報理工学院の山村雅幸研究室は、東工大基金の支援を受け、「中学生・高校生向けオンライン科学教室『Raspberry Pi ゼロから始める冷蔵庫のIoT化』」を6月5日に開催しました。中学1年生から高校3年生まで38名が参加し、あらかじめ郵送されたキットを使用してIoT(Internet of Things)デバイスを作成しました。本イベントは2020年3月に対面形式での開催が予定されていましたが、感染症の拡大のため延期となっていました。今回、オンライン開催に変更したことで北海道や沖縄からの参加もありました。
近年、インターネット上で様々なオープンデータを入手できるようになり、データ分析や機械学習のための便利なツールも充実してきました。すでに取得・整形されたデータの利用を学ぶ機会は多いですが、データの「取得」に触れる機会は少ないです。本イベントは「自分でデバイスを作ってデータを取得すること」「身近なものをデータ化すること」をコンセプトに、Raspberry Pi(ラズベリーパイ)と開閉センサーを組み合わせて冷蔵庫の開閉記録を取得・可視化しました。講義ではIoTの概念、活用例、セキュリティリスク等を学びました。
参加者はRaspberry Piを各自のPCにつなぎ、プログラムを書いて送り込む他、無線LANやプログラムの自動実行などIoTに必須の設定を行いました。参加者は各自の進行度に応じた3つのブレイクアウトルームに分けられ、それぞれのルームで、画面共有しながらエラーを見せ合い、4人のTA(ティーチング・アシスタント)のサポートを受けました。「l(エル)と1(イチ)を見間違えた」「pingが通らない」「ファイルの書き込み権限がなかった」といったコマンド操作の洗礼を受けながら、当日中に約7割の参加者がデバイスを完成させ、残りの参加者も引き続きTAによるサポートを受けました。
完成したデバイスは各家庭の冷蔵庫に設置され、3ヵ月間に渡るデータ蓄積を開始しました。データ可視化のための特設サイトでは、各自の冷蔵庫の開閉ログが見られるだけでなく、時間帯別のヒートマップで他の参加者のデータと比較・分析することができます。
参加者へのアンケートには、「コードを打ち込んでネットワークにつながっているか確認する作業が面白かった」「main.py(メインパイ)を動かしてセンサーを近づけたり離したりしてopenとcloseが交互に表示されたところで感動した」などのコメントがありました。山村雅幸教授からは「蛍光灯一本一本にアドレスが割り当てられる時代が来ている。冷蔵庫だけでなくいろいろな家電に付けて横に広いデータを取得することでもっと面白くなる。今日の内容に満足せず、ぜひ自分で発展させていってほしい。」と参加者への激励がありました。
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