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「アトキンス物理化学」の著者 ピーター・アトキンス教授が講演

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東京工業大学で進行中の教育改革の端緒として「国際フロンティア理工学教育プログラム」が始まりました。本年度その試行として、類ごとに国際的に著名な科学者・技術者を招聘して学部1年次学生向けの特別講義を実施することとなりました。

ピーター・アトキンス教授

ピーター・アトキンス教授

3類では授業の教科書の原著者による直接の講義が、学生の学習の動機付けに最も効果的ではないかということで、3類1年生向け講義の「化学第2」など、物理化学関係科目の共通教科書である「アトキンス物理化学」の著者を招聘者候補に挙げました。「アトキンス物理化学」はすでに10版を重ね、この科目の世界的定番の教科書です。著者のピーター・アトキンス教授は長年オックスフォード大学の教授であり、現在は退職されているものの、教育者としては現役であり、化学分野の教科書および一般向け科学啓蒙書を毎年のように出版されています。その著書総数は70冊にのぼり、日本語訳も多数あります。幸いアトキンス教授に日本での講義に興味を持っていただいたようで、本学訪問を快諾いただき、幸運にも招聘講義(2回の90分講義)が実現しました。

11月19日は実際に「アトキンス物理化学」(日本語訳)で物理化学を学習中の3類1年生130名向けに、熱力学の学習のポイントとヒントを講義いただきました。エンタルピーから化学ポテンシャルまで、熱力学の基本概念がビジュアル的な多数のスライドで説明されました。特に基本量の定義の部分が確認・強調されました。

11月17日は一般学生・教職員向けに、近著 "Physical Chemistry: A Very Short Introduction" (訳書「物理化学入門」、東京化学同人)の内容を講演いただきました。ご自身専門の量子化学の概念から出発して、物質の状態、相変化、化学反応のとらえ方が説明されました。こちらの講義ではなるべく数式を使わずに物理化学の概念を伝えたい、というお考えから、イラストを基本としたスライドで説明がなされ、聴講者は240名にのぼりました。

学長表敬訪問

学長表敬訪問

「謦咳(けいがい)に接する」という言葉がありますが、やはり著者ご本人の講義は説得力が大きいものです。聴講学生の英語力が心配されましたが、わかりやすいスライドと教授の明瞭な英語(ゆっくり話していただきました)により、学生はよく内容が理解できたようです。聴講学生も十分集中して受講しており、やはり著者から直接講義を受けることは教育効果が大きいようです。アトキンス教授自身がおっしゃっているように、"Igniting the fire and spreading the flame"(教育は学生の意欲に点火し、それが燃えるのを助けること)というまたとない機会となりました。

集合写真

本講義・講演は「国際フロンティア理工学教育プログラム」の一環として行われました。ものつくり立国を牽引するグローバル理工人を育成するため、大学に入学した初年次学生に対していち早く先端技術を経験させ、科学的・工学的思考の展開能力を身につけさせることを各類毎に実施することを目的としています。


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