東京工業大学 オープンイノベーション機構(以下、OI機構)と研究・産学連携本部イノベーションデザイン機構(以下、Id機構)は、10月4日、5日に「Tokyo Tech OPen innovation(TTOP)2023」を大岡山キャンパスの東工大蔵前会館で開催しました。
TTOPは、次世代型の産学連携プラットフォームの在り方について考える、東工大最大級の産学連携イベントです。今年度のテーマは「Diversity 3.0」で、2日間で延べ500人超が参加しました。
イベント開催レポート
Session 1
開会あいさつ&対談
本学 渡辺治理事・副学長(研究担当)・OI機構長の開会あいさつに続き、文部科学省 科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課 池田一郎課長より来賓のあいさつがありました。その後、本学 益一哉学長と東京医科歯科大学 田中雄二郎学長が「東京科学大学(仮称)におけるオープンイノベーションへの期待」をテーマとして、両大学の現状認識から未来のオープンイノベーションについて対談を行いました。
Session 2
基調講演/オープンイノベーションのためのダイバーシティ&インクルージョン(D&I)
基調講演として、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(以下、農研機構)の久間和生理事長より、「農業・食品分野のSociety 5.0実現に向けたイノベーション戦略」と題し、日本の農業・食品分野の現状分析に基づき、食糧安全保障、産官学連携・オープンイノベーション、スマート農業/フードチェーンなどの観点から、農研機構が目指すイノベーション創出戦略についてお話がありました。
続いて招待講演として、イノベーションのためのD&Iについて、国、地域でのイノベーションエコシステムやオープンイノベーションの特色ある取り組みについての次の3事例を紹介しました。
フードバレーの事例をもとに、オランダでのイノベーションはどの様にダイバーシティを組み込んでいるか
オランダ王国大使館 デニーズ・ルッツ農務参事官、髙橋園子イノベーション・アドバイザー世界トップのイノベーション大国・スイスとのオープンイノベーションの可能性
スイス大使館 松田俊宏スイスビジネスハブ 投資促進部長BRIDG and NeoCity "The Power of Partnerships"
BRIDG(米国・フロリダネオシティ)ジム・ヴァンドヴィラ(Jim Vandevere)代表
Session 3
オープンイノベーションのためのD&Iのケーススタディ
国、大学、領域におけるD&Iの理解や取り組みについて6講演がありました。
東工大におけるD&Iの現在と未来
本学 桑田薫理事・副学長(ダイバーシティ推進担当)医療イノベーション創出におけるD&I
東京医科歯科大学 飯田香緒里副理事(統合イノベーション機構 教授・オープンイノベーションセンター長)コンバージェンスサイエンスと多様性
本学 渡辺治理事・副学長(研究担当)・オープンイノベーション機構 機構長D&I for open innovation
本学 大嶋洋一副学長(産学官連携担当)・オープンイノベーション機構 副機構長D&I in US Universities
スタンフォード大学 アジア太平洋研究センター副所長 筒井清輝教授日本とヨーロッパの教育システムと研究手法の比較—トリノ工科大学ジャパンハブの挑戦—
トリノ工科大学ジャパンハブ 拠点長 ジュゼッペ・ペッツォッティ教授
Session 4
Diversity 3.0「世界を変える、アカデミアの役割」
本学 ID機構の辻本将晴機構長から「スタートアップエコシステムにおける、D&I」と題してあいさつがありました。続いて沖縄科学技術大学院大学(OIST)カリン・マルキデス学長より「D&Iによるイノベーションエコシステムの変革、アカデミアの重要な役割」と題するキーノートスピーチがあり、アカデミアがイノベーションエコシステムにおいて重要な役割を果たすことや、日本がイノベーション・グローバルリーダーとなっていくことへの期待を話しました。
これを受けて、本学 大嶋洋一副学長(産学官連携担当)・IO機構 副機構長をモデレーター、インキュベイトファンド株式会社 村田祐介代表パートナー、KDDI株式会社 中馬和彦事業創造本部 副本部長、株式会社Logomix 石倉大樹代表取締役CEO、メタジェンセラピューティクス株式会社 中原拓代表取締役社長CEOをパネラーとして、「世界を変えるテックスタートアップの成功の要諦~D&Iと大企業との連携~変革と成長~」をテーマとしたインタビューセッションが行われ、活発な議論が交わされました。
またサプライズとして、本学 リベラルアーツ研究教育院 池上彰特命教授から研究を通して将来の産学連携・オープンイノベーションを担う学生に向けたビデオメッセージが披露されました。
Session 5
東工大発スタートアップセッション
株式会社Synspective 新井元行代表取締役CEOによる「グローバルD&Iで成功する、ディープテックスタートアップ」と題した基調講演の後に、東工大発ベンチャー企業(11社)によるピッチイベントを行い、本学の技術、人材を活用したさまざまなベンチャー企業を幅広く紹介しました。
ピッチ終了後、視聴者からの投票結果と会場の審査員による審査をもとに、以下の企業を表彰しました。
東工大発ベンチャー大賞:株式会社ダッシュマテリアルズ
審査員総評:岡島博司氏(トヨタ自動車株式会社 先進技術開発カンパニー 先進技術統括部 主査)
PCR検査はDNAの複製増幅により少量の検体から高感度にウイルスを検出しますが、高コストで専門技術と検査時間を必要とします。ダッシュマテリアルズは独自技術として核酸材料の人工代謝再生成技術を持っており、応用により抗原検査並みの簡便さ低コストで高精度な迅速検査が可能となります。食の安全や・鳥インフルなどの畜産養殖など医療分野以外でも病原体検査はますます重要性を増しており、社会全体の安全安心に大きな貢献が期待されます。
受賞者コメント:浜田省吾氏(株式会社ダッシュマテリアルズ 取締役CTO)
このたびは栄えある東工大発ベンチャー大賞にご選出いただきましたこと、審査員の先生方、観客の皆さま、そして今回のイベントを企画してくださった皆さまに心より御礼申し上げます。分子ロボティクスや分子コンピューティングにおける基礎研究の成果を応用することで、我々の核酸その場検出法は実現しました。このような新分野での取り組みに興味を持っていただき、誠にありがとうございます。まだまだ走り出したばかりではございますが、一日でも早く皆さまに製品をお届けできるよう、今後も鋭意研究開発を進めてまいります。
特別賞:株式会社Logomix
審査員総評: 川上登福氏(株式会社先端技術共創機構 代表取締役 )
医療から食品、環境問題まで、Logomixのソリューションには、大きな可能性を感じます。既にいくつもの案件を進めており、また、今後のグローバルでの事業展開を見据え、多様なバックグランドを持った体制作りも進めており、素晴らしいと思います。日本初、東工大発のグローバルスタートアップとして、大きく世界に羽ばたいていって欲しいと思います。
受賞者コメント:石倉大樹氏(株式会社Logomix 代表取締役CEO)
特別賞をいただきまして大変光栄に存じます。今後も、独自のゲノム大規模改変技術を軸に、さまざまな微生物・細胞の高機能化をテイラーメイドに実現し、バイオものづくり、医療、食品・農業だけに留まらず、さまざまな領域で合成生物ソリューションを提供してまいります。賞をいただいたことを励みに、今後もチーム一丸となって精進してまいりたく、引き続きご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
ピッチイベントに参加した東工大発ベンチャー企業(登壇順)
- vivola株式会社 代表取締役CEO 角田夕香里氏
- 株式会社digzyme 代表取締役CEO 渡来直生氏
- 株式会社FerroptoCure 代表取締役 大槻雄士氏
- 株式会社アクセルベックス 代表取締役 石井保之氏
- ファスタイド株式会社 代表取締役社長 神谷紀一郎氏
- 株式会社ダッシュマテリアルズ 取締役CTO 浜田省吾氏
- 株式会社Logomix 代表取締役CEO 石倉大樹氏
- Inspired Micro Crystals株式会社 代表取締役 森肇氏
- iPEACE223株式会社 代表取締役 樋口量一氏
- 株式会社elleThermo 代表取締役 生方祥子氏
- 株式会社スパイスエンジン 代表取締役 神宮司明良氏
ブース出展
会場には協賛機関、協力機関である各企業、自治体、東工大発ベンチャー等、他種多数のブースが出展され、来場者と交流を行い、双方にとって実りあるイベントとなりました。
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