12月13日、学生のための国際交流拠点Hisao & Hiroko Taki Plaza(ヒサオ・アンド・ヒロコ・タキ・プラザ 以下、Taki Plaza)にて、東京工業大学の学生が主体となり、第3回TECHクッキングスタジオ~日本全国のお雑煮~が開催されました。講師にお雑煮研究家の粕谷浩子氏を迎えてお雑煮についての講演と実演調理が行われ、留学生と日本人学生からなる参加者たちが楽しい時間を過ごしました。
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郷土の食文化が詰まったお雑煮について講演する粕谷氏
本イベントは、本学卒業生の株式会社ぐるなび取締役会長・創業者の滝久雄氏の支援で立ち上げた、Taki Plazaを拠点として活動する東工大生を応援するプロジェクト「未来人材応援プロジェクト」の一環として企画され、本学学生と学生支援センター未来人材育成部門、学務部学生支援課支援企画グループ、一般社団法人蔵前工業会の協力を得て開催されました。
イベント前半:日本各地のお雑煮の話と実演調理(Taki Plaza地下2階)
イベント前半の司会進行役はプロジェクトの学生運営メンバーである柳瀬梨紗子さんと橋本輝さんが務め、英語と日本語で開会を宣言しました。
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司会進行役の柳瀬さん(左)と橋本さん(右)
お雑煮にまつわる粕谷氏の講演では、日本各地のお雑煮のだしや具材の話、お雑煮に使われる材料の由来についての解説がありました。また、1~2年ごとに住まいを移動して各地のお雑煮を調べて気がついた、お餅の形が丸餅(西)から角餅(東)に変わる境界線の話など、粕谷氏のさまざまな知識、体験からの興味深く魅力あふれる講演となりました。
また、粕谷氏から提供された資料を学生運営メンバーが英語に訳してスクリーンに映すなどの工夫とともに、学生支援センター未来人材育成部門の三木学修コンシェルジュの同時通訳もあり、留学生にはなじみのない単語や日本語特有の細かなニュアンスも分かりやすく、留学生、日本人学生を問わずお雑煮に関する知識が深まりました。
講演の後は、地域によって異なる具材の切り方が実演されました。さらに、輪切りには家庭円満・物事が丸く収まるという意味があるなど、それぞれの切り方が持つ意味についての説明もありました。お雑煮の作り方の実演では粕谷氏の故郷である香川県の「白みそ あん餅雑煮」が作られ、あんこ餅を初めて見る学生も多く、調理する粕谷氏の手元に視線が集中しました。また、試食できるのは2人限定であることがアナウンスされると、関西圏特有の白みそを使用した甘いお雑煮に興味津々の参加者たちの間で、白熱したじゃんけんが行われました。
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同時通訳する三木学修コンシェルジュ(左)
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具材の切り方の実演
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あん餅の説明を受ける参加者
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限定2人の試食争奪じゃんけん
イベント後半:試食タイム(第二食堂)
イベント後半は第二食堂に移動し、東工大生協の協力で関東風お雑煮の試食が行われました。お椀に入った焼きたてのお餅の上に、あらかじめ用意された小松菜・ニンジン・かまぼこの具材を各自でのせ、鶏肉の入ったすまし汁をかけてできあがったお雑煮は留学生にも大人気で、お替わりをする列が途絶えませんでした。また、じゃんけんに勝ち、甘塩っぱい味のする「白みそ あん餅雑煮」を試食した留学生は、出身地であるインドネシアの甘いスープに入った鶏肉の料理を思い出したと感想を述べました。参加者同士の交流と談笑する姿が印象的な試食タイムとなりました。
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関東風お雑煮を試食する参加者たち
お雑煮は正月の家庭料理で、ほとんどの場合それぞれの「イエ」で作られるため、留学生が目にする機会は少なく、日本人学生も自分の家以外で食べることはあまりありません。そのため今回のイベントは、留学生にとっては日本の正月料理に触れる貴重な機会となり、日本人学生にとっては普段は知ることのない他地域の特色や味を知る良い機会となりました。今後もより多くの人たちが交流できる場となるよう「TECHクッキングスタジオ」を継続的に開催していく予定です。
参加者のコメント
日本の伝統を学ぶことができる、おいしい料理でした。
お雑煮の違いについてわかりやすい説明だったと思いました。そして、お雑煮がとてもおいしかったです。
これまでお正月料理というものを食べたことがなく、故郷にもこのようなものはなかったのでとても新鮮でした。
日本人でも知らないことが多くて面白かった。
未来人材応援プロジェクト 学生運営メンバーのコメント
柳瀬梨紗子さん(環境・社会理工学院 融合理工学系 修士課程1年)
本プロジェクトの企画の中でTech Cooking Studioとしては3回目でしたが、今回は初めてお菓子ではなく食事をテーマにした企画を行いました。日本で生まれ育った方には非常になじみのあるお雑煮ですが、留学生は触れる機会が少なく、また同じお雑煮でも地域差が大きく日本人にとっても興味深いだろうと考え、お雑煮をテーマに講義・実演および試食を行いました。
参加者は留学生が多く、口に合うか不安な部分が大きかったのですが、非常に人気を博していたことが印象的でした。試食時に2杯目を配膳する余裕があったためアナウンスをしたところ、多くの留学生が「おかわり」を求めて立ち上がったため、喜びと日本文化に対する誇りを感じました。また試食時に偶然同じテーブルに座った学生同士がイベント後も話し込んでおり、楽しそうにしていたことも印象に残っています。
また私は来年度留学を予定しています。本イベントで得たお雑煮の知識をより深め、日本文化を紹介する機会に役立てたいと考えています。
改めて、本イベントの企画・運営にあたりお力添えくださった教職員の皆さま、本当にありがとうございました。今後とも温かいご支援・ご協力お願いいたします。
上原綾太さん(物質理工学院 材料系 修士課程1年)
本イベントでは、日本各地のお雑煮文化について、お雑煮研究家の粕谷さまから興味深いお話をしていただきました。講演を通して地方独自のお雑煮文化だけでなく、ご自身が体験された実体験のエピソードも数多くあり、参加している方々も興味深そうにお話を聞いていました。講演の中には、自分も今まで知らなかったような話も数多くあったため、日本食に詳しくない留学生の方だけでなく日本人学生の方々にとっても実りの多いイベントだったと思います。食堂で行ったお雑煮の実食では、参加者の方々が楽しそうに話しながらお雑煮を食べていて、中には3杯おかわりをする人もいるなど、終始盛り上がっていたところがとても印象的でした。私としても、今までお雑煮に関する研究の存在を知らなかったので、研究活動について改めて考え直すきっかけになりました。この経験を活かして、研究者としての幅を広げたいと考えています。
本イベントを開催するにあたり多大なご支援を下さった教職員の方々皆さまに感謝申し上げます。今後も引き続き、ご支援のほどよろしくお願いいたします。
キム・ナムギョンさん(物質理工学院 材料系 学士課程3年)
留学生はお雑煮について学び、日本人学生は日本全国のお雑煮の違いについて知るイベントで多くの方々が楽しんでくれてうれしいです。元日にお雑煮を食べることは知っていましたが、家庭料理であるため私は食べる機会がなかったです。留学生もお雑煮を味わえるように試食も入ったイベントができて良かったです。日本人の学生も今回の講演を通じて自分のお雑煮とはまた違うお雑煮を知り興味深かったという意見をくださり、多様性を感じられる企画だと感じました。お雑煮を食べながら自分のお雑煮と他の人のお雑煮について語ったり、留学生は自分の国では年末年始に何を食べるのかについて語る良い時間になったと思います。
最後どのようにお雑煮を研究しているのかについて粕谷さんの話を聞きましたが、お雑煮の些細なことまで好奇心を持ち、直接フィールドワークをすることがとても印象的でした。自分の今後の研究活動に小さなことにも興味を持ち、自分で実験や調査を取り組むという姿勢を学ぶことができました。留学生の参加者が多く、日本人もわかりにくい食材や料理の意味をどう伝えるべきか悩みましたが、今回職員さんと学生スタッフのおかげで英語版スライドと同時通訳ができ非常に良かったです。
橋本輝さん(環境・社会理工学院 融合理工学系 修士課程1年)
私たち学生運営メンバーは、イベントの企画や宣伝に加え、当日の会場設営、司会進行、写真撮影などを行いました。英語落語に続き2週連続のイベント開催だったので大変だった部分もありますが、無事開催することができて本当に良かったです。また、イベント開催前はお雑煮との関わりはゼロ(お正月に食べる程度)だった私ですが、お雑煮にはたくさんの魅力が詰まっていることを実感しました。特に、私はお正月になると関西の祖母宅で丸餅入りのお雑煮をいただくのですが、関東のお雑煮には角餅が入っているなんて今まで想像もつきませんでした。またお雑煮の具に関して、山などの地理的な要因から隣町と異なっていたり、当時の将軍の命によりその地区だけ具が違っていたりと、大学での勉強と関連がありそうな部分が多々ありました。参加者の方々もとても興味深そうに粕谷さんの話に耳を傾けており、今回の企画を楽しんでいただけたかなと思います。最後に、お雑煮研究家の粕谷さま、また教職員の皆さま、今回の企画にご協力いただきありがとうございます。今後とも学生運営メンバーとして励んでいきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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お雑煮のポーズをとる粕谷氏(中央)と学生運営メンバー
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