7月12日と19日、東京工業大学学生支援センター未来人材育成部門と学務部学生支援課支援企画グループは、一般社団法人蔵前工業会の協力の下、運営の主体を本学学生として「第4回Taki Plaza講演会 MOVIES IN TAKI~夏休み前の冒険~」を開催しました。
本講演会は、本学卒業生の株式会社ぐるなび取締役会長・創業者の滝久雄氏の支援により立ち上げられた、Hisao & Hiroko Taki Plaza(以下、Taki Plaza)を拠点として活動する「未来人材応援プロジェクト」の一環で、毎回、学生の運営メンバーによって企画されます。
上映プログラム
7月12日:『インセプション』ワーナー・ブラザース
7月19日:『スタンド・バイ・ミー』コロンビア・ピクチャーズ
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すべて音声:英語、字幕:日本語で上映
今年度は「Adventure for Summer~夏休み前の冒険~」をテーマとした映画を運営メンバーが選定し、両日で延べ90人が映像と音楽を楽しみました。上映された映画は国際的に高い評価を得ているクリストファー・ノーラン監督の『インセプション』(2010年公開)と、青春映画の名作と言われる『スタンド・バイ・ミー』(1986年公開)の2本で、参加者はTaki Plaza地下2階の大画面モニターに映し出される迫力あるシーンと、ノスタルジックな音色に包まれて、非現実世界を旅するようなひとときを楽しみました。またポップコーンと冷たいドリンクのプレゼント(先着順)も大好評でした。
講演会は運営メンバーの橋本輝さんとキム・ナムギョンさんが日本語と英語の2言語でユーモアを交えながら司会を務め、和やかに進行しました。リベラルアーツ研究教育院 小泉勇人准教授による、映画をより楽しむための解説は「MOVIES IN TAKI」の醍醐味の一つで、作品の解釈や見どころ、社会的背景などの説明に新たな発見をする有意義な時間となりました。また、鑑賞後に設けられたクイズタイムでは参加者同士が意見を交換するなど、インタラクティブなイベントとなるプログラム構成でした。
未来人材応援プロジェクトでは、今後も学生たちに交流の場を提供するために、さまざまなTaki Plaza講演会を実施していきます。
小泉准教授の作品解説
上映前には作品と監督の紹介、鑑賞後は作品のテーマやストーリーの細部について説明がありました。作品の背景知識や製作過程でのエピソード、他の作品との比較などの詳しい解説に、参加者は真剣に聴き入りました。
『インセプション』の解説
登場人物それぞれがストーリーの中で果たす役割が、とても重要になっている作品です。解説中には「ノーラン監督の演出手法には役者を一つの駒のように機能的に扱う傾向があるのでは」といった議論もなされました。そういった側面もまた作品の構成に欠かせないものとなっていて、その構成を認識することが作品を理解する上で重要な視点となります。
『スタンド・バイ・ミー』の解説
原作小説のタイトルは『The Body(死体)』でしたが、映画の上映・興行に合わせて『Stand by Me(スタンド・バイ・ミー)』に変更されました。「死体を探しに行く」というストーリーのモダンホラー作品で、登場人物の誰かが過去を回想し終えて幕を閉じるという“枠物語”のスタイルです。関連要素を備えた日本映画として、他者への印象を巡る『桐島、部活やめるってよ』(2012)や、過去の振り返りが重要な意味を持つ藤本タツキ原作のアニメ映画『ルック・バック』(イベントと同時期に公開)が紹介されました。
「未来人材応援プロジェクト」学生運営メンバーのコメント
橋本輝さん(環境・社会理工学院 融合理工学系 修士課程2年)
MOVIES IN TAKIの企画に携わることができ、大変うれしく思います。イベントの企画段階では参加者が集まるか不安な気持ちもありましたが、当日はたくさんの方々に楽しんでいただけたので、科学とは少し離れた「映画」をテーマとしたイベントでしたが、開催できてよかったです。また小泉先生に上映映画の解説をしていただき、ただ映画を観るだけではなく、学問や映画評論の視点から映画を学べたことは、大学の勉強にもつながると感じます。
最後に、本イベントに参加された皆さま、小泉先生、伊東先生をはじめとして開催のサポートしてくださいました教職員の皆さま、本当にありがとうございました。これからもさまざまな企画を行っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
上原綾太さん(物質理工学院 材料系 修士課程2年)
「夏休み前の冒険」というテーマで、多くの東工大生および教職員の方々とTaki Plazaで映画を鑑賞する事ができ、とてもうれしく思います。普段の研究活動においても海外の方と関わる機会が多くあったのですが、共に映画を観るという経験をしたことがなかったため、多くの留学生の方々と同じ時間に同じ映画を観るというイベントができたことは有意義だったと思います。今後、海外の方々と円滑に交流するための貴重な経験となりました。
今回のMOVIES IN TAKIでは、夏休みの前に、冒険している気分を東工大の学生に味わってもらおうという思いもあり、記憶の中を冒険する『インセプション』と、小学生が線路沿いを歩いて冒険する『スタンド・バイ・ミー』の2つの映画を上映しました。
1日目の『インセプション』では、クリストファー・ノーラン監督が手掛けたSF映画であったため、科学技術を専門とする多くの東工大生に参加していただくことができました。2日目の『スタンド・バイ・ミー』は科学技術と直接的に関係しない映画であったことから、当初はあまり人が来てくれないのではないかという不安もありました。しかし、上映当日には事前予約を行っていない学生も数多く参加するなど、自分たちの予想よりも多くの方に参加していただけました。上映中も終始映画に没頭するように鑑賞しており、多くの人が楽しめる企画になったと確信しています。
また、鑑賞した学生から「小泉先生による解説をもっと聴きたい」という意見が出るほど、小泉先生の映画解説によって今回のイベントはより味わい深いものとなりました。今後も、多くの東工大生にとって良いイベントを企画できるように頑張りたいと思います。
キム・ナムギョンさん(物質理工学院 材料系 課程4年)
本イベントは「夏休み前の冒険」をテーマとして企画しました。『インセプション』も『スタンド・バイ・ミー』も、夢見ていた冒険に近い話で、鑑賞を通し自分も新たなものに挑みたいと思いました。材料の勉強をしている立場から、夢のようなものを映画として実現するには、どのようなものが必要なのかを想像する時間にもなり、学修のモチベーションにもなりました。また映画の解説から、監督や俳優に関わる話や上映された映画と関連のある他の映画など、さまざまなものについて知ることができました。
私を含め学生スタッフは映画の選定だけでなく、映画に関するクイズを作り、最後に皆さんの答えを共有する工夫をしました。映画を見ることで終わりではなく、解説を聴き、クイズを通して他の人の意見を知る拡張的な映画鑑賞ができたかと思います。それによる多角的な視点から物事を捉える力が養われたことで、将来的な研究やプレゼンテーションの場で応用できると感じています。
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