本学では、教職員一同、研究費の適正な使用に対する意識の徹底、当該研究室以外の者による全品検収制度の導入やコンプライアンス室の設置等の体制整備など、研究費の不正使用の防止に向けて様々な取り組みを進めてきました。
しかしながら、平成25年度に発覚した元教授による不正使用(いわゆる「預け金」)が昨年末に関係者の逮捕にまで至ったことは痛恨の極みであり、これまでの取り組みが十分でなかったことを深く反省するところであります。
本事案を踏まえ、これまでの対策を早急に見直し、今後不正を生まない厳正な研究活動環境を構築するために、現在、全学を挙げて次に掲げる取り組みに着手しているところです。
研究費の適正な管理のための規則・体制整備
- 懲戒処分の基準に関する規則等を改正し、不正使用を行い懲戒処分を受けた者の氏名等の公表を明文化
- 研究費の不正使用の可能性を早期に察知すべく、公益通報制度の見直しや、モニタリングを強化
教職員の不正防止に対する意識のさらなる徹底
- 教職員に研修会・講習会等への参加を義務づけ、不参加者は研究費の申請資格を停止
- すべての教職員に対して規則の遵守等にかかる誓約書の提出を義務付け
- 研究費の不正使用を行った者等へのペナルティを厳格化・明確化。悪質な不正行為の場合には、大学は刑事告発や民事訴訟を行うことを研修の機会を通じて周知
物品納入等の経理面の改革(参照:経理面での研究費不正使用防止の取組(2014.12.25掲載))
- 検収センターの検収体制を強化
- 発注理由等についての説明責任を明確化
- 物品等の適正な管理を実施
- 取引業者が不正に加担することを未然に防止するために誓約書の提出を義務付け
人事管理・業務体制の改革
- 研究室ごとに行っている縦割り型の会計事務処理を改め、複数の担当者等によるチーム編成型の事務処理体制に変更
平成26年11月に設置した外部の有識者のみで構成された委員会による研究費管理体制等についての点検・助言
また、現在、本学で精力的に進めている教育改革、研究改革、ガバナンス改革の3本の改革の柱に加え、「不正使用をしない」ことを本学の文化とすることを目指したコンプライアンス改革も大学改革の重要な柱として位置づけ、研究者(研究室)と業者の癒着防止や教職員同士の相互牽制の効く取り組みなど、抜本的な「不正防止計画」を策定し、年度末までの出来るだけ早い機会に公表する所存です。
東京工業大学長 三島良直