東京工業大学大学院社会理工学研究科主催のイベント「文理融合の大学院 学び方・働き方・生き方」が、12月13日に開催されました。この日はまさに快晴で、学内外から23名の参加がありました。
第1部では、本学学生支援センターの小川憲治特任教授、水墨画家としてご活躍中でWeb 制作フリーランスでもある酒井陽祐氏、独立行政法人の研究員として研究に携わっている深町珠由氏、そして、ソフトウェア開発会社代表取締役社長兼CEOとして経営の最前線にいる米川孝宏氏に講演いただきました。酒井氏、深町氏、米川氏は大学院社会理工学研究科の修了生です。
小川特任教授は、自身のIT業界での転職や大学院社会人入試の受験、そして、臨床心理士の経験を踏まえて、人生における経済的、社会的、精神的な仕事の目的(位置づけ)を再確認しました。さらに、ライフステージごとに一般職、技術職、研究職、教職、管理職、経営者、転職、起業、大学院社会人入学、プロフェッショナル(専門職)、天職など、多様な職種とそのあり方があることに言及し、物事に本気で取り組むことの大切さについて語りました。
酒井氏は、インターネットベンチャーからWeb制作フリーランスへ、そして、水墨画の世界へと進んだ経緯を紹介し、自分を助けてくれる人との出会いや、目の前のことを大切にすることも重要だとお話しくださいました。
深町氏は、ご自身の大学院修了後の研究者としてのキャリアを振り返りながら、研究者の仕事の特徴をお話しくださいました。そして、現在の若者の雇用は「就職活動の時期が一生のうちに何度も訪れる状況である」との研究成果をご披露くださいました。
米川氏は、「東工大発ベンチャー」制度を利用して起業なさった経緯や、ご自身の会社で現在取り組んでいらっしゃる事業をご紹介くださいました。大学院での研究成果が、ソフトウェア開発の最先端、そして、ビジネスや社会の中で活用されている様子がよくわかりました。
第1部での4件の講演の後、休憩をはさんで、第2部のディスカッションにうつりました。ディスカッションは、フロアからの質問に4人の講演者がこたえるパネルディスカッション形式で行われました。学外の参加者からの質問が多く、「東工大の大学院の魅力は?」という質問には「研究環境」とのこたえがありました。また、「文理融合の大学院の強みは?」との質問には、「専門用語に頼らないコミュニケーション能力が鍛えられる」、「多分野の知り合いができる」といった回答でした。休憩時間にも講演者と参加者の間で会話が続くなど、有意義なディスカッションになりました。
第3部は、講演者の一人、酒井陽祐氏による水墨画のライブ・ドローイング・パフォーマンスでした。異なる濃さの筆が入るたびに全体の印象が大きく変わることが会場に驚きを与えていました。酒井氏の多数の作品と参加者が見守る中、約1時間で新しい作品が完成しましたパフォーマンスの終了後、酒井氏の新しい作品の前で記念撮影をし、イベントは無事、終了しました。
参加者アンケートの回答には、
- 「社会に出てからのことを、具体的にイメージすることができた。」
- 「いろいろな進路に進んだ方の話が聞けてよかった。」
- 「いつもはほとんど考えがつかない人生、仕事について皆様のお話を聞くことで他からの視点として見直すことができたことがよかったです。」
- 「最後にディスカッション形式で質問時間を設けてくれた。講演時間の長さがちょうどよかった。」
- 「就職活動が何度もあるような生き方を知ることができた。」
- 「ディスカッションでは非常にためになる意見を聞けた一方で、時間が短めの設定であったように感じた。」
- 「パフォーマンスは滅多に見られるものではなく、大変有意義だった。」
- 「共感できる点が多く、起業のヒントを頂いたような気がする。」
などが感想としてあげられており、参加者がそれぞれ、今回のイベントを意義深く感じたことがわかります。
一方、
- 「もう少し多くの修士修了の方のお話を聞きたかった。」
- 「他大学からの院進学希望者向けイベントを開催して欲しい。」
- 「研究科修了直後の新卒の社会人の方に就職活動についてお聞きしたい。」
- 「ディスカッションにより多くの時間を割いて欲しかった。」
- 「大学院社会理工学研究科価値システム専攻の卒業生らの働き方、生き方を知る場が欲しい。」
- 「産学官連携事例などを紹介するイベントを開催して欲しい」
といった意見・要望もありました。今後のイベントの企画に生かしてまいります。
お問い合わせ先
大学院社会理工学研究科 価値システム専攻 教授 猪原健弘
Email : valdes@valdes.titech.ac.jp
TEL : 03-5734-3366