ものつくりセンターすずかけ台分館では、大学院生命理工学研究科と共同で、2011年に試験醸造のためのビール製造免許を取得しました。免許を取得してから毎年開催している「ビールづくり体験講座」は、学内の学生を対象として公募し、分野を問わず多くの学生が参加しています。ビールについて学びながら発酵過程と「ものづくり」の面白さを体験できる機会として、毎回参加者の好評を得ています。より多くの方々にビールづくりについて知ってもらうため、これまでの講座内容を紹介します。
こめた気持ちが味になる。それがビール。
原料は「麦芽、ホップ、水」だけ。ビールは基本的にシンプルなスタートからできあがります。ものつくりセンターで製造できる「すずかけビール」も、その3つの原料からつくっています。麦芽を細かく砕くところから作業が始まり、鍋を使って温めていきます。そこから一日中、温度と時間の管理を徹底しなければなりません。ビールをつくるためには相当な手間と時間がかかります。それを体験することでビールの奥深さ、ものづくりの面白さを実感してもらいます。気持ちをこめてつくった分、それだけビールの質も高くなります。普段、何気なく口にしているビールも、たくさんの人が気持ちをこめてつくっているからこそ、高い品質を保っているのです。
五感でビールを堪能してもらいたい。
講座では、製造過程で得られる「一番搾り麦汁」や、原料として使う「ホップ」を実際に味見してもらいます。「これがビールになるの?」と驚くような味や香りを体感することで、完成するのがますます楽しみになります。また、実際に手を動かしながら工程を進める中で、作業の役割やビールに関する豆知識を伝え、少しでも楽しい時間を過ごしてもらえるよう工夫しています。
ビールって“生もの”なんですよ。
ようやく仕込みが終わった「ビールの素」は、酵母によって発酵させることで、アルコールと炭酸ガスを生み出します。酵母は生き物です。そのため、温度と時間の管理が欠かせません。同じ条件でも全く異なる風味になることもあり、その管理の難しさが、ものづくりの醍醐味をより一層引き立たせてくれます。ドライな“のどごし”にするためには、もっとコクのある“味わい”にするためにはどうすればいいのだろうか。そう考えながら、さらに美味しいビールを追及するため、参加者自身が完成したビールを評価し、また次のビールづくりへとその経験を受け継いでいきます。
知ればもっと楽しくなる。
今後も引き続きビールづくりを続けて、より多くの学生にビールの奥深さ、発酵の面白さ、ものづくりの魅力を伝えていきます。さまざまな意見を取り入れることができれば、さらにものづくりの魅力が増し、洗練されたビールがつくれます。ぜひ学生には、気軽に講座に参加して、自らの気持ちをこめた「新しい」ビールづくりに挑戦してほしいです。
なお、このレポートはものつくり教育研究支援センターRAの遠藤 諭さん(生命理工学研究科 生物プロセス専攻 修士課程2年)が作成しました。
遠藤さんに、本講座を終えての感想を聞きました。
自身の専攻を超えてビールづくり講座の講師を担当してきて、普段は学ぶことができないビールの奥深さやものづくりの楽しさを学ぶことができました。
今後もより多くの東工大生にビールづくりの魅力を感じてもらいたいです。
お問い合わせ先
ものつくり教育研究支援センター すずかけ台分館
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