12月4日、東工大蔵前会館にて第27回大岡山蔵前ゼミが開催されました。
大岡山蔵前ゼミは、東工大の全学同窓会である蔵前工業会の東京支部が主催する、卒業生と現役学生の交流の場です。日本社会や経済をリードしている先輩を講師に迎え、これから社会に出る大学生・大学院生に、講演会と懇親会をとおして、様々な情報提供、意見交換を行っています。
今回は「自動車(トラック)メーカーの現状と今後の課題及び成長戦略」と題し、株式会社アイメタルテクノロジー代表取締役社長(元 いすゞ自動車株式会社 常務取締役生産部門統括) 水谷春樹氏(本学卒業生)を迎え、ご講演いただきました。学生97名、社会人44名(教職員8名、一般3名を含む)、計141名が参加し、盛会となりました。
講演内容は、日本の自動車(トラック)産業の現状をメーカーの視点で解説し、世界のトラックメーカーとの違い及びグローバル経済圏の動向、商品ニーズをベースとして今後の方向性を探るものでした。また、トラックに求められる製品技術の改革及び生産技術改革、仕組みの改革を中心として、今後の課題、及び成長戦略を考え過去の経験よりグローバル化対応についての事例を紹介しました。
水谷氏は、いすゞ自動車時代の経験を基に講演しました。
経験のひとつ目は、1997年、ポーランドでのジーゼルエンジンの現地生産法人、いすゞモーターポルカの創立です。当地は特有の色がなく、教育水準も高く、日本的経営の導入が容易だったとうです。
もうひとつは、アメリカの自動車メーカー ゼネラルモーターズ(GM)出資比率50%の会社 ディーマックス リミテッド社長としての、アメリカ赴任の経験です。世界のGMが、急速に業績を悪化させ、崩壊する様子を話しました。業績悪化の原因は、高価な大型車中心の生産を続け、中・小型車に移行した市場変化に対応できなかった上に、従業員の給与の高さにある、と水谷氏は述べました。「変化に対応できる会社のみが生き残る」とし、「企業は幅広い教養を持ち、独創的な人材を望んでいる。皆さんにもそのようになってほしい」と話を結びました。
講演会後の懇親会では、卒業生と現役学生との交流が行われました。水谷氏は、食事もできないほど大勢の学生に質問攻めに合っていました。