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東工大教員8名が平成28年度科学技術分野の文部科学大臣表彰で「若手科学者賞」を受賞

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このたび、東工大教員8名が、平成28年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において「若手科学者賞」を受賞しました。

「若手科学者賞」は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者を対象としています。

科学技術分野の文部科学大臣表彰には、「若手科学者賞」の他に、特に優れた成果をあげた者を対象とする「科学技術特別賞」、顕著な功績をあげた者を対象とした「科学技術賞」等があり、「科学技術賞」でも本学から4名の教員が受賞しました。

「若手科学者賞」を受賞した東工大関係者は以下のとおりです。

青野真士 地球生命研究所 特任准教授

受賞業績:粘菌アメーバに着想を得た革新的コンピュータの研究

青野真士 特任准教授
青野真士 特任准教授

現在のデジタル計算機は、安定な素子を用い高速で正確な演算を行う情報処理系であり、プログラムや事前知識が与えられない状況には対応できません。それとは異なる方式で情報を処理する生物や自然現象に学んだ革新的計算原理が求められていました。私は、単細胞アメーバ生物・粘菌の時空間ダイナミクスを利用して組合せ最適化計算を行う実験系を開発し、これをモデル化した解探索アルゴリズムを定式化しました。さらに、このモデルを物理的相互作用や確率的揺らぎを生じるナノデバイスを利用して実装できる事を示しました。本研究成果は、膨大な候補の中から条件を満たす解を効率的に発見したり、自然現象の大規模シミュレーションを実行できる小型・低消費エネルギーの計算機の開発と、社会生活や学術研究に影響を与える革新的計算パラダイムの開拓に寄与することが期待されています。

今回の受賞は、私と私を支えて下さった共同研究者の皆様にとって、大きな意味を持っていると考えます。これまでは、粘菌アメーバとコンピュータという一見関連のなさそうな概念をつなげようとする研究に対し、面白そうだけれども実現性に関しては疑問符を感じるという捉えられ方をすることがよくありました。しかし、ソフトウェアだけではなく、ソフトウェアと連携して革新的なハードウェアを開発する、という方向性を真剣に追求するには、粘菌アメーバのような比較的単純なアーキテクチャの生物から学んだ計算原理を探ることが理に適っていると信じ、研究を進めて参りました。そうした研究をこのたび文部科学省から正当に評価していただけたことを大変うれしく思います。これを機に、これまでとは違った期待を受けることを喜び、日本から革新的ハードウェアによるイノベーションを生み出すため、さらに邁進していきたいという思いを新たにしております。

雨宮智宏 科学技術創成研究院 助教

受賞業績:メタマテリアルを用いた新機能発現とそのデバイス応用の研究

雨宮智宏 助教
雨宮智宏 助教

工学的に重要な分野において、メタマテリアルの導入を行うことに取り組んでまいりました。

特に、光通信で一般的に使用されている光集積回路にメタマテリアルを応用することを目指して、小型光変調器などをはじめとした各種デバイスの研究を推進しております。

この度は、本活動に対しこのような栄誉ある賞を賜ることができ身に余る光栄に存じます。

これもひとえに学内外関係者の方々のご支援によるものであり、この場をお借りして心より御礼申し上げます。

稲木信介 物質理工学院 准教授

受賞業績:電極電子移動を基軸とする高分子材料開発に関する研究

稲木信介 准教授
稲木信介 准教授

次世代の電子材料候補として、軽く、柔軟な有機材料の需要が高まっており、特に高分子の新規分子設計、機能化方法の開発が望まれています。東工大に着任して以来、「電子を試薬とする電極反応」に魅せられ、電極電子移動に基づく導電性高分子の機能化に関する研究を推進してまいりました。

また、電極電位分布を自在に制御し、高分子膜に転写する画期的な手法を開発し、傾斜機能表面などの創出にも成功しています。

今回、このような栄誉ある賞を受賞することができ、大変光栄に存じます。研究室学生を含む共同研究者、学内外関係者の方々のご支援に厚く御礼申し上げます。

また、本研究業績は、「東工大挑戦的研究賞」ならびに「研究の種発掘」支援により得られたものであり、この場をお借りして感謝申し上げます。

鷹谷絢 理学院 准教授

受賞業績:高周期14族元素配位子を用いた効率的分子変換反応の研究

鷹谷絢 准教授
鷹谷絢 准教授

新しい分子の創製は、化学研究の醍醐味の一つです。我々は、ケイ素やゲルマニウムなどの高周期14族元素を配位子として持つ新しい遷移金属錯体を設計・合成し、これらを触媒として利用することで、これまで困難だった分子変換を可能にする新しい合成反応の開発を目標に研究を行ってきました。

その結果、二酸化炭素や不飽和炭化水素分子を有用有機化合物へと効率的に変換できる新しい合成反応を種々実現するとともに、従来の金属触媒とは一線を画するユニークな触媒機能を解明することができました。

今後も、独自の分子触媒で切り拓く新しい合成化学を目指し、研究に励んで行きたいと思います。

本研究は、本学岩澤伸治教授のご指導の下、多くの本学学生・博士研究員の方々と行ってきたものです。

素晴らしい共同研究者達に恵まれたおかげで、お互い切磋琢磨しながら、研究を楽しむことができたと感じています。この場を借りて改めて感謝いたします。 

田原麻梨江 科学技術創成研究院 准教授

受賞業績:弾性波動を利用した生体組織の非侵襲的硬さ計測に関する研究

田原麻梨江 准教授
田原麻梨江 准教授

生体組織に対して外部加振によって振動を励起し、発生した振動特性を計測すると硬さを推定することができます。硬さから病変組織を診断する新規手法について、定量性を向上する手法の確立、新規手法を生体組織に適用する際の安全性の確立、また、内視鏡へ適用するための小型化に関する基礎技術を確立してきました。

この度は、このような名誉ある賞を受賞することができ光栄に思います。受賞することができましたのも学生時代からこれまで指導して下さった方々があってのことです。この場を借りてお礼申し上げます。

まだまだ勉強不足ではありますが、これを励みに世の中に役立つ成果がでるよう、研究活動を続けてまいりますので今後ともご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。

前田和彦 理学院 准教授

受賞業績:太陽光と水から水素を製造する半導体光触媒の研究

前田和彦 准教授
前田和彦 准教授

受賞対象となった私の研究は、太陽光エネルギーを吸収して水を分解し水素を製造する、「光触媒」と呼ばれる魔法の粉を開発するというものです。水素はクリーンエネルギーキャリアとして近年その重要性が増しており、地球上に豊富な水と無尽蔵な太陽光エネルギーから作り出すことができれば大変魅力的です。特に粉末状の光触媒が使えれば、太陽光が降り注ぐ広大な面積にも展開できる可能性があり、将来的な実用化への道筋も見えてきます。

私は、これまでに報告されていない、すなわち地球上に存在しない人工化合物に着目して研究を進め、オキシナイトライドとよばれる材料群が太陽光水分解に有効な光触媒となることを明らかにしました。さらには、光触媒上で起こる表面反応促進に着目することで、最終的には、緑色植物の光合成に匹敵する太陽光エネルギー変換効率を人工系ではじめて実現することに成功しました。

水の可視光分解を目指した半導体光触媒および助触媒材料の開発
水の可視光分解を目指した半導体光触媒および助触媒材料の開発

受賞にあたり、関係者の皆様には厚く御礼を申し上げます。特に、学生時代に指導してくださった堂免一成先生(東京大学教授)、原亨和先生(本学教授)、難しい局面で一緒に頭を悩ませ議論してくださった共同研究者の皆様、そして日々支えてくれた家族・友人らに感謝いたします。今回の受賞を励みとして、今後も研究・教育活動に励んで参ります。

松石聡 元素戦略研究センター 准教授

受賞業績:機能性電子化物および酸水素化物の研究

松石聡 准教授
松石聡 准教授

近年、希少金属の代替を目指した「元素戦略」の研究が多く行われています。本研究の狙いはさらに一歩進んで、資源的に豊富で環境負荷の小さな元素のみを 使って、これまでにない新しい機能物質を設計することです。

そこで、着目したのは結晶中の原子ではなく、それらの間の空隙でした。カルシウム、アルミニウムおよび酸素という地球上に豊富にあり、ごくありふれた元素から成る金属酸化物結晶(セメント原料、電気を通さない絶縁体)の中の隙間に電子を包接させることで金属伝導性と電子を放出しやすい、低仕事関数という新機能を付与することに成功しました。また、宇宙で最もありふれた元素である水素を陰イオンとして取り込ませることで酸化物に高濃度の電子を注入し、その電子伝導性を制御できることを実証しました。

本受賞は、共同研究者である本学のスタッフや学生、および学内外の関係者のご支援、協力によるものです。この場をお借りして心より感謝申し上げます。今後は、本研究で示された物質設計指針を実際に役に立つ材料の実現につなげていきたいと考えております。

村岡貴博 生命理工学院 助教

受賞業績:生体から着想した刺激応答性機能性分子開発に関する研究

村岡貴博 助教
村岡貴博 助教

タンパク質などの自然界に存在する生体分子は、多様かつ高度な構造と機能に満ちており、生物学者に限らず、有機合成化学者にとっても魅力的なものであります。私は、こうした生体分子に見られる構造や機能から着想した全く新しい機能性分子を開発してまいりました。

機械的運動を行うタンパク質から着想した分子機械や、細胞膜で物質透過を担う膜タンパク質の立体構造を模倣した超分子イオンチャネルなどが代表例です。今後も「自然から着想した機能性分子開発」というコンセプトのもと、一層、研究に邁進してまいりたいと思います。

最後に、本受賞はひとえに学内外の関係者、学生、共同研究者の方々のご協力によるものでございます。この場をお借りして心より感謝申し上げます。

「分子で分子を動かす」ことに合成分子で初めて成功した「キラル分子ハサミ」

図1:
「分子で分子を動かす」ことに合成分子で初めて成功した「キラル分子ハサミ」

光に応答したアゾベンゼン部分で生じる伸縮運動が、軸回転、開閉運動へと変換され、非共有結合で連結されたビイソキノリンの軸回転を引き起こす。タンパク質分子機械に見られる「分子間での動きの連動」を合成分子で初めて実現した。

図2:膜タンパク質の立体構造を模倣した超分子イオンチャネル

図2:
膜タンパク質の立体構造を模倣した超分子イオンチャネル

親水部(青部)と疎水部(赤部)の繰り返し構造を持つ分子が脂質二分子膜中で複数回膜貫通型構造を形成し、その四量化により超分子イオンチャネルが形成される。

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広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975


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