3月15日東京工業大学地球生命研究所(ELSI)のELSIホールにて、「映画『オデッセイ』監修 NASAジム・グリーン氏 一般講演会」を開催いたしました。本講演会は参加申込み開始から、わずか4日間で定員の120名に達するお申し込みがありました。
アメリカ航空宇宙局(NASA)の惑星科学部門ディレクターであり、現在上映中の映画「オデッセイ」の科学監修を務めたジム・グリーン氏は「The Martian: Science Fiction & Science Fact (訳:「オデッセイ」の科学における空想と現実) というタイトルで講演を行いました。
グリーン氏は、映画で描かれていたが現実には起こらないこととして「人が吹き飛ぶような砂嵐」「ソーラーパネルの砂埃を払うという日課」「水の調達に対する苦労」「オレンジ色の夕焼け空」などを取り上げ、なぜ火星で起こらないのかを1つ1つ科学的に解説しました。
映画のシーンを例に挙げ、火星の環境について解説する講演は一般の方にもとても分かりやすかったようで講演後に行ったアンケートでも、約90%の方に「分かりやすかった。面白かった」とご回答いただけました。
そして話題はNASAのこれからの火星ミッションに移りました。2045年の火星への有人着陸を目指し、現在NASAでは広大な大地を持つ火星の中でたった1つの着陸地点を決めるために、世界中の科学者が知恵を寄せ合っていることや、日本が行っている火星衛星のフォボスとダイモスの探査計画がとても重要であることを語りました。
講演後の質疑応答時間では「先生はどのような植物を火星に持って行きたいですか?」という質問に、グリーン氏は「火星の土壌は、アルカリ性が強い場所と酸性が強い場所があります。アルカリ性が強い場所では豆類やアスパラガスの栽培が適していて、酸性が強い場所では、イモが適しています。そして、NASAは事前に着陸地点の土壌を十分に分析し、地球上でその土壌を再現し、何度も植物を育てる実験をするでしょう。」と答えました。その後、「でも僕はアスパラガスがあまり好きではないから、ジャガイモがいいな」と付け加え、会場を沸かせました。
ELSIでは、今回のイベントのようにたくさんの方々に興味を持っていただける講演会などを今後も開催していく予定です。