5月14日、東京工業大学すずかけホールにて、「オリンピックを語る」と題して、スポーツ講座2016を開催しました。スポーツ講座は、日本を代表するスポーツ選手を招いて講演いただくイベントで、2005年から毎年開催しています。東工大を含む日本の多くの大学が、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会と連携しており、このスポーツ講座も同組織委員会との連携イベントのひとつとして実施しています。
19回目となる今回は、2000年のシドニーオリンピック水泳400メートルメドレーリレーで銅メダルを獲得した田中雅美氏をゲストスピーカーとして、フリーアナウンサーの吉田填一郎氏が聞き手となって、約1時間半お話を伺いました。
田中雅美氏のご講演内容を紹介します。
「私は北海道遠軽の出身で自宅から通えるスイミングクラブで水泳を始めました。高校のとき同じ系列のスイミングクラブに誘われて上京しました。その時期は1年で記録が4秒伸び、日本一になりました。高校3年生で迎えたアトランタオリンピックは世界とはまだ戦えないレベルで、日本全体でもメダルがないという残念な大会でした。大学4年生で迎えたシドニーオリンピックの予選では記録が伸び、周囲から金メダルも期待されました。しかし不安が大きく、それも人には言えないので苦しみました。2000年のシドニーオリンピックでもなかなかメダルが取れなかったのですが、リレーの前に先輩から「4人なら絶対にメダルがとれるから」と言われ、1人ではないと考えたら気が楽になりました。その結果、ライバルのドイツチームに勝つことができ、銅メダルを獲得することができました。
2001年にアメリカに留学しました。それまでは他の人が敷いたレールの上を走っているようでしたが、自分でレールを敷くことが必要だと感じていたからでした。その時のコーチが、記録ではなく毎日100%の力を出せたかが重要だ、ということを教えてくれました。今も仕事する時にはそのことを考えています。2002年のソルトレークシティ冬季オリンピックでは選手としてではなく伝える側でしたが、上村愛子さん、葛西紀明さんが競技に対する愛情を語ってくれたので自分自身の水泳に対する気持ちが変わり、もう一度オリンピックに挑戦しようと思い立ち、2004年のアテネオリンピックに挑みました。」
この他、オリンピックでは北島康介選手が水泳チームを引っ張ってくれ感謝していること、池江璃花子選手にはリオオリンピックで経験を積んで欲しいこと、萩野公介選手はきっとリオオリンピックにピークを持っていけると期待していること等、多くのことをお話してくださいました。また、東工大の学生達には挑戦する気持ちが大事というメッセージが送られました。
講演の途中には、ストレッチの指導があり、参加者と一緒にストレッチを行う等、とても有意義な講演となりました。