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小長井誠 教授、圓川隆夫 教授が紫綬褒章受章

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平成25年秋の褒章において、大学院理工学研究科の小長井誠 教授と大学院社会理工学研究科の圓川隆夫 教授が紫綬褒章を受章しました。
紫綬褒章は、学術研究や芸術文化、技術開発において功績をあげた者に贈られるものです。

小長井教授は太陽電池の先駆的な基礎研究と実用化に貢献するとともに、学術面・産業面での牽引役としての太陽電池コミュニティーの発展に大きく貢献しました。
平成20年には応用物理学会フェロー表彰、平成21年には文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞しています。

圓川教授は経営工学分野において、品質管理、SCM、そして生産管理という経営工学が対象とする幅広いオペレーションズマネジメントの領域で顕著な研究業績を挙げ、同分野の進化・発展に功績を上げるとともに、その業績・見識に基づく産官での活動を通して日本ならびに世界の品質向上や効率化に大きく貢献しました。
 平成21年には日本経営工学会賞、平成22年にはデミング賞本賞を受賞しています。

今回の受章をうけ、両教授は次のようにコメントしています。

小長井教授のコメント

「40年にもわたる太陽電池研究の功績が認められたことは、非常に名誉なことであり、たいへん嬉しく思っております。研究環境を与えてくれた東工大、一丸となって、ともに研究を行ってきた研究室の仲間、300名以上にも及ぶ卒業生、そして、積極的に産学連携に加わっていただいた産業界の方々と、喜びを分かち合いたいと思います。すっかりライフワークになってしまった太陽電池研究、これからも、太陽光発電システムのテラワット導入に向けて貢献してまいります。」

小長井誠 教授

圓川教授のコメント

「実務に近い管理技術である経営工学という学問分野で思いかけず受章できたこと、大変うれしく思っています。研究という面では、学界と産業界との価値観の違いに悩んできましたが、今後とも少しでもその距離を縮めるべく、経営工学の発展に寄与したいと考えています。」

圓川隆夫 教授


木村孟 元学長、小尾欣一 名誉教授に叙勲

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平成25年秋の叙勲において、木村孟 元学長 (現栄誉教授)が瑞宝重光章を、小尾欣一 名誉教授が瑞宝中綬章を受章しました。

木村栄誉教授は、地盤工学分野の主導者としてその発展に大きく貢献しました。平成5年から平成9年までは東京工業大学長を務め、その後、大学評価・学位授与機構長や文部科学省の中央教育審議会副会長などの要職を歴任し、平成24年には日本学士院賞を受賞しています。

小尾名誉教授は、東京工業大学教授として、物理化学の中でも、光化学とレーザー化学の分野で世界をリードする高い水準の研究を続け、その発展に多大な貢献をしました。
平成13年には紫綬褒章を受章しています。

  • 木村孟 元学長

  • 小尾欣一 名誉教授

産学連携推進本部 林ゆう子コーディネータがJST「イノベーションコーディネータ賞・特別賞」を受賞

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産学連携推進本部の林ゆう子産学連携コーディネータが科学技術振興機構(JST)より、平成25年度「イノベーションコーディネータ表彰」で「イノベーションコーディネータ賞・特別賞」を受賞しました。

この表彰は、産学官連携に関わるコーディネータの活動・実績に対して、その成果を客観的視点から表彰することにより、コーディネータのモチベーションを高めるとともに、コーディネート活動の重要性を社会にアピールすることで、コーディネータのより一層のステータス向上を目指し、平成21年度に創設されました。

受賞理由

産業界、アカデミアでの経験を活かし、産官学連携コーディネート、資金獲得、知財マネジメントなど多くの実績を上げた。特に大学周辺の大田区、川崎市などの財団と密な連携を図り、10年間で100件を超えるシーズ・ニーズのマッチング成功事例を上げたことは特筆に価する。

今回の受賞を受けて、林コーディネータは下記のようにコメントしています。

今回、私が表彰いただきましたが、これは、私個人の受賞というよりは、本学産学連携推進本部全体の功績についての表彰であり、私が代表で頂戴するにすぎないと思っております。産学連携推進本部には、長い企業経験を有するコーディネーターが専門分野別に居り、企業の研究者と先生方との橋渡しをしています。今後も、東工大発の知見や技術が実社会で活用されるよう、努力してまいります。

なお表彰式は、11月26日に滋賀県大津市で開催されに「全国イノベーションコーディネータフォーラム2013」での中で行われます。

お問い合わせ先
広報センター (プレス担当)
電話 03-5734-2975
E-mail media@jim.titech.ac.jp

二酸化炭素の化学変換:銅ジホスフィン錯体を触媒とするヒドロシリル化反応

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二酸化炭素は地球上に無尽蔵に存在する炭素資源であり、二酸化炭素の有用物質への化学変換は持続可能な社会の構築のために必要な技術の一つである。しかしながら、二酸化炭素は安定な分子であるため、他の物質への変換は容易ではない。

化学環境学専攻の本倉健講師、馬場俊秀教授らの研究グループは、銅ジホスフィン錯体が二酸化炭素のヒドロシリル化反応に高い活性を示す触媒となることを見出した。ヒドロシリル化反応の生成物であるシリルホルメートは、様々なカルボニル化合物へ変換することができる。

ジホスフィン配位子として1,2-bis(diisopropylphosphino)benzeneを用いると、1気圧の二酸化炭素を用いる反応において、触媒回転数 (turnover number; TON) と触媒回転頻度 (turnover frequency; TOF) は、それぞれ最高で70000および10300 h-1に達した。これらの値は、これまでに報告されている二酸化炭素のヒドロシリル化反応の触媒と比較して、一ケタ以上高い。新たな触媒の発見によって、二酸化炭素を有用物質へ効率よく変換するための新たなプロセスの実現を目指す。

銅ジホスフィン錯体を触媒とする二酸化炭素と
ヒドロシランからのシリルホルメートの生成

論文情報
  • 著者:本倉健、柏女大樹、高橋直樹、宮地輝光、馬場俊秀
  • 論文タイトル: Highly active and selective catalysis of copper diphosphine complexes for the transformation of carbon dioxide into silyl formate.
  • 掲載雑誌:Chemistry - A European Journal 19, 10030 (2013).
  • Digital Object Identifier (DOI):10.1002/chem.201300935 outer
  • 所属:総合理工学研究科化学環境学専攻

メダカ飛行士、再び宇宙へ

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11月7日、ロシアの宇宙船ソユーズで、宇宙飛行士の若田光一さんらが国際宇宙ステーションでの長期滞在ミッションへ出発しました。約6か月間宇宙ステーションに滞在する間、若田さん達は様々な科学実験に取り組みます。その一つが、本学 大学院生命理工学研究科 工藤明教授らのチームによるメダカを用いた骨代謝実験、 "Medaka Osteoclast II" です。

宇宙ステーションのような非常に重力の小さな環境で長期間生活すると、宇宙飛行士の骨量は減少してしまい、将来長期間の宇宙探査を行う際の大きな問題となります。これは骨をつくる「骨芽細胞」のはたらきと、骨を吸収する「破骨細胞」のはたらきとがバランスしなくなるためだと考えられています。工藤教授らはこのメカニズムの解明に挑んでおり、本実験は2012年に国際宇宙ステーションで行ったメダカの骨代謝実験 "Medaka Osteoclast" に続くものです。
前回の実験では、蛍光タンパク質で骨芽細胞と破骨細胞を識別できるようにした「トランスジェニックメダカ」を用い、微小重力下で長期間飼育したメダカのサンプルを得ました。今回の実験では、1週間にわたって、生きたトランスジェニックメダカをリアルタイムで観察し、骨の細胞のはたらきに迫る計画です。これが明らかになれば、宇宙飛行士の活動期間の延長だけではなく、骨粗しょう症の原因究明にもつながる可能性があります。

メダカ飛行士たちは、若田宇宙飛行士らに一足遅れて来年の2月に宇宙へ向かう予定です。実験の詳細は関連リンクをご覧ください。

骨の細胞が蛍光で光って見えるメダカ。赤は骨を作る細胞、緑は骨を吸収する細胞


  • 宇宙ステーションでのメダカ飼育の様子
    提供:宇宙航空研究開発機構 (JAXA)


  • 実験運用管制室で実施の様子を見守る工藤明教授
    提供:宇宙航空研究開発機構 (JAXA)

タンパク質中の還元型チオール基の定量を可能にするDNAマレイミドの開発

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要点

  • DNAを利用した新規タンパク質チオール基定量用マレイミド試薬の合成
  • 電気泳動において、タンパク質の種類や泳動条件に依らない一様な移動度変化を与え、フリーのチオール基の逆算が可能になる。

概要

我々は、タンパク質中のチオール基の酸化還元状態を検出するために、DNAにマレイミド基を導入した新規マレイミド試薬(DNAマレイミド)を合成した。これは、従来用いられてきた複数のマレイミド試薬の欠点を克服するもので、幅広い種類のタンパク質に適用可能である。DNAマレイミドを用いることにより、酸化還元状態の検出のみならず、還元状態であるチオール基の数を直接決定することが可能になった。

研究の背景と経緯

タンパク質は、細胞内の状況に応じて様々な翻訳後修飾を受けている。翻訳後修飾の代表的なものの1つが、システインのチオール基の酸化である。チオール基の酸化でもっとも一般的なのはジスルフィド結合形成であるが、その他にもスルフェン化、グルタチオン化、ニトロソ化などが知られている。チオール基の酸化還元(酸化還元制御)によってタンパク質の機能が制御されていることや、チオールによる制御が生理的に重要な意味を持つことは広く知られている。チオール基の翻訳後修飾によるタンパク質の機能制御を理解するためには、個々のチオール基の酸化還元状態を検出することが必須である。

この検出には、これまで4-acetamido-4- maleimidyl-stilbene-2,2-disulfonate(AMS)やPEGマレイミドというチオール基修飾試薬が一般に用いられてきた。これらのチオール基のみに特異的に結合するマレイミド試薬を用いることで、対象タンパク質のシステインの酸化還元状態、すなわち、チオール基の数に対応した分子量の増加をもたらし、この分子量の増加は電気泳動法上の移動度変化として容易に検出できる。しかし、AMSは分子量が500程度と小さいため、大きなタンパク質(50,000~)では、移動度変化が有意にあらわれない。一方、PEGマレイミドの分子量は5,000程度ではあるが、電気泳動法で検出される移動度変化はチオール基の数と正確には一致しない。さらに、PEGマレイミドは重合反応によって合成された化合物であり、分子量分布が広いため、電気泳動法によって現れるタンパク質のバンドがブロードになる。このため、正確なチオール基数の定量が出来ない。このような点から、従来のマレイミド試薬は、チオール基が酸化型なのか還元型なのかを区別することはできても、酸化還元に関わるチオール基の数を決定することは困難だった。

研究成果

今回、我々が新規に開発したDNAマレイミドは、これらの欠点を克服し、タンパク質中のチオール基の数を直接定量することを可能にした。DNAマレイミドは、24塩基の一本鎖DNAの5'末端にリンカーを介してマレイミド基が導入された構造をもっている。DNAマレイミドは、その分子量が大きいため、AMSに比べて極めて大きな移動度変化をもたらす(Fig.1)。また、PEGマレイミドは、電気泳動条件により、得られる移動度変化が異なってしまうが、DNAマレイミドの場合は、電気泳動条件に依らない一様な移動度変化を与える(Fig.2)。DNAマレイミドの付加によって起こる移動度の変化は、タンパク質の種類や電気泳動条件に依存せず一律に9 kDa相当分であった。そのため、電気泳動上で観察される分子量のみから、還元型チオール基の数を決定することが可能になった。

Fig.1 (左) AMS と DNA マレイミドの比較 / Fig.2 (右) PEG マレイミドの電気泳動条件依存性

今後の展開

本試薬は、DNAの長さ次第で様々な大きさのタンパク質にも適用可能であり、酸化還元制御の分子レベルでの解明に用いられることが期待される。また、タンパク質に結合した後でもDNAとしての機能を損なっていないため、ハイブリダイゼーションなどを利用したさらなるアプリケーションへの応用も可能である。

論文情報
  • 著者:原怜、野島達也、清尾康志、吉田賢右、久堀徹
  • 論文タイトル:DNA-maleimide: An improved maleimide compound for electrophoresis-based titration of reactive thiols in a specific protein
  • 掲載雑誌:Biochimica et Biophysica Acta 1830, 3077 (2013)
  • Digital Object Identifier (DOI):10.1016/j.bbagen.2013.01.012outer
  • 所属:資源化学研究所

波多野教授の研究提案が科学技術振興機構の「戦略的創造研究推進事業(CREST)」に採択

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大学院理工学研究科電子物理工学専攻の波多野睦子教授の提案課題「炭素系ナノエレクトロニクスに基づく革新的生体磁気計測システムの創出 」が(独)科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)に採択されました。
CRESTは、科学技術政策や社会的・経済的ニーズを踏まえ、国が定めた社会的インパクトの大きい戦略目標の達成に向けた、独創的・挑戦的かつ国際的に高水準の発展が見込まれる基礎研究を推進するものです。

(1) 研究の概要

  • 研究領域
    素材・デバイス・システム融合による革新的ナノエレクトロニクスの創成
  • 研究課題名
    炭素系ナノエレクトロニクスに基づく革新的生体磁気計測システムの創出
  • 研究期間
    平成25年10月~平成31年3月

今回採択された研究提案は、ダイヤモンド半導体での特異な物性を用いた2次元高密度磁気センサの要素技術を開発し、生体及び細胞計測への適用可能性検証を目的とするものです。 ダイヤモンド中の窒素-空孔複合体(NVセンタ)は、固体で唯一、常温大気中で単一スピンを操作・検出することが可能であり、高感度で高空間分解能な磁気センサの実現が期待できます。 炭素系ナノ物性理論、新機能材料、薄膜プロセス、ナノデバイス、磁気計測プロトシステム、生体/細胞観測アプリケーションの各レイヤに渡る融合的な研究開発を行います。

(2) 社会的・経済的・科学的課題と本研究による解決策

本研究で開発する要素技術を発展させ、常温動作の高感度・高空間分解能磁気センサが実現すれば、以下三分野の重要課題に貢献することができます。

1. ライフ
生命現象の解明、病気や創薬につながる情報取得、
医療(脳/心磁計、MRI、ハイパーサーミアなどの癌治療)
2. ICT
量子コンピューティング・通信、ストレージ・LSI検査
3. グリーン
高温・高放射環境下計測、環境計測、資源探索
常温化による利便性・経済性に加え、並列チャネル数拡大の新機能が計測の高性能化やユーザー親和性向上に直結します。

火星の水の起源:火星隕石の水素同位体分析からの制約

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火星は約30億年より古い地質体を中心に多くの流水地形が存在し、かつては表層に液体の水が存在しうるほど温暖で湿潤な惑星であったと考えられている。
しかしながら、生命の存在条件に支配的な影響を与える火星の海の水の起源や進化に関しては統一した見解が得られていないというのが現状であった。

そこで、臼井寛裕(本学 地球惑星科学専攻)は、火星の海の水の起源の解明を目的とし、NASAジョンソン宇宙センターおよび米カーネギー研究所の共同研究者らと共に、火星誕生時に火星内部に取り込まれた水(初生的)の高精度水素同位体分析を行った。

分析の結果、火星の初生的水の水素同位体は、地球のそれと同様の値を示し(図1)、地球と火星の水がお互いに似通った太陽系小天体を起源とすることが判明した。
また、火星や地球の水の起源となった太陽系小天体は、従来研究により示唆されてきた太陽系外縁(例えばオールト雲)を起源とする彗星ではなく、火星-木星軌道間に位置する小惑星(炭素質コンドライト母天体)であることも同時に明らかとなった。

図1:地球型惑星の“水”の水素同位体組成図。重水素/水素比(D/H)を地球の標準海水(SMOW)からの千分率(δD)で示してある。火星の大気は5000‰を超える高いD/H比を示すのに対し、マントルに含まれている初生水()は地球と同様の低いD/H比(275‰)を有することが本研究により明らかとなった。地球型惑星の水の起源と考えられている、彗星(~1000‰)および小惑星(炭素質コンドライト母天体、-200から300‰)の水素同位体も合わせてプロットしてある。

論文情報
  • 著者:Usui, T., Alexander, C.M.O'D., Wang J., Simon, J.I. and Jones, J.H.
  • 論文タイトル:Origin of water and mantle-crust interactions on Mars inferred from hydrogen isotopes and volatile element abundances of olivine-hosted melt inclusions of primitive shergottites.
  • 掲載雑誌:Earth and Planetary Science Letters 357-358, 119-129 (2012).
  • Digital Object Identifier (DOI):10.1016/j.epsl.2012.09.008outer
  • 所属:地球惑星科学専攻

平成25年度 防災訓練の実施

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11月13日(水)、大岡山キャンパスとすずかけ台キャンパスにて防災訓練を実施しました。

大岡山キャンパスでは震度6の地震発生を想定した避難訓練、安否確認のほか、大岡山北実験棟5及び西9号館での火災を想定し、自衛防災地区隊による消火活動や消防隊による消火・救助活動などの総合訓練が行われました。総合訓練後は消火器取扱訓練、屋内消火栓取扱訓練、応急手当講習会、煙体験ハウス、地震体験車などの個別訓練も行われました。

今回参加できなかった学生並びに教職員の皆さまは総合安全管理センター(防災関係)のホームページouterを各自ご確認ください。


  • 大岡山東・南地区避難場所(スロープ)


  • 田園調布消防署消防隊による消火・救助活動(西9号館前)


  • 消火器取扱訓練


  • 地震体験車

田町キャンパスCIC棟で防災訓練を実施

11月8日、田町キャンパスのキャンパス・イノベーションセンター棟(CIC棟)においても、東京消防庁芝消防署芝浦出張所の協力を得て、防災訓練を実施しました。CIC棟には全国の大学の東京サテライトオフィスなどが多数入居しています。各サテライトオフィスのスタッフも訓練に参加し、約70名で実施しました。

訓練は、地震発生後の避難訓練、消防署への通報訓練等を行い、その後個別訓練として、消火器による消火訓練、AED取扱い訓練を行い、防災への意識、取り組みの重要性を再確認しました。

スポーツ講座2013「舞の海 本音トーク」詳細報告

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10月22日(火)の17:30から19:00まで、すずかけ台キャンパスすずかけホール3階多目的ホールにおいて、「可能性への挑戦」というテーマのもと、今年度二回目となるスポーツ講座が開催されました。

今回は大相撲で「技のデパート(本店)」の異名を持たれる舞の海秀平さんとジャーナル編集者の清家輝文さんをお招きしました。大変盛り上がった当日の様子をお伝えいたします。

現在、NHK相撲解説者、スポーツコメンテーターとして活躍されている舞の海秀平さんですが、一度目の大相撲新弟子検査で基準身長に足りず不合格となり、頭にシリコンを入れ壮絶な1ヶ月を過ごし、二度目の検査で合格されたことは有名です。各界最小の身体ながら、数々の技を繰り出し、"技のデパート(本店)"の異名をとり、引退までに技能賞を5回受賞されています。

清家輝文さんは学生時代からベースボールマガジン社の「スポーツマガジン」の編集に関わられ、野球・ラグビー・相撲・アメリカンフットボールなど幅広い競技の取材編集を経験され、スポーツ医科学分野を専門にジャーナル編集人として活動されています。

悪ガキだった少年時代

話題はまず、やんちゃで悪ガキだった舞の海さんの少年時代についてから始まりました。ガキ大将だった舞の海さんは、小学校のころは毎日野球や釣りに明け暮れていたそうです。友人をいじめたことでホームルームで説教をされ、職員室に連れて行かれてさらに説教をされたことが、とても嫌だったとのこと。相撲については、小学校の頃は夏休みに神社などで大会があり、そのときだけ取り組んでいたそうですが、その頃から学校で一番強かったそうです。

相撲部を辞めたかった中学校・高校時代

中学校へ進学し、相撲と野球でどちらの部活に入ろうか悩んだそうですが、青森は当時、野球が弱かったそうで、相撲であれば全国大会で活躍できると考えたため、相撲部への入部を決意したとのことです。そこから相撲に対して、初めて本格的に取り組むようになったそうです。しかし、体が小柄であり、次第に小学校の時には負けたことのなかった相手に負けるようになると、人に追い越されるのが嫌いな舞の海さんは、美術部に転部しようと考えました。そこで顧問の先生に何度も退部を申し出たそうですが、受け入れてもらえなかったそうです。その後、県立高校に進学したときも、やはり相撲は好きで、結局相撲部に入部します。

価値観が大きく変わった大学時代

相撲の強豪校として有名な日本大学に入学したあとは、純粋に相撲の道を究めたいと考えたそうです。「体重が90キロ超えたらレギュラーにする」との相撲部の監督の一言で、死に物狂いで食べに食べて、体重90キロ超えを達成でき、レギュラーの座を手にしたそうです。大学卒業後は山形県の高校教師に内定していたそうですが、将来を有望視されていた相撲部の後輩が急死したことを機に、大相撲を目指すことを決意したそうです。ここで大きく価値観が変わり、失敗を恐れていたそれまでのネガティブな考え方から、思い切ってここでやるしかないというポジティブな考え方に切り替わったそうです。

貪欲に相撲道を究めた大相撲時代

大相撲入りを決意して、頭にシリコンを入れた新弟子検査を経て入門した相撲部屋で、それまでの相撲部の環境との大きな違いにはとても感動したそうです。部屋が綺麗であることや、早朝の稽古で力士の身体から湯気が立っている姿を見て、初めて「修行は美しい」という気持ちになったそうです。また、当時の親方は「型にはまらない人」だったそうで、その親方の考え方で「考えてもいいが悩むな。悩むなら考えるな。」というのは今でも覚えておられるそうです。

小柄な体格であるということもあり、大きな力士と取り組む際にはとくに、綿密に勝てる戦略を立てていたそうです。取り組みの前日は翌日の勝ち姿だけを決めて酒を飲んで寝て、朝起きてから稽古を行っている間に決め技を2つに絞り、大銀杏を結い上げていくときに、徐々に戦略を絞っていくといった、勝負に対してどう立ち回るかというお話をしていただけました。最終的には、取り組みの直前の立ち合いのとき、相手の目を見て意思決定をしていたそうで、勝負師としての勘がとても鋭い方だという印象を受けました。加えて、ここで少しでも不安定な心理状況にあると、判断が1テンポ遅れてしまうと考え、常に強気で行くことを心掛けていたとのことです。

また、長く相撲に取り組んでいるあまり頭が凝り固まってしまっていては新しい発想が出ないと考えた舞の海さんは、なるべく素人の意見にも耳を傾けることを現役時代から心掛けていたそうです。ちなみにかの有名な八艘跳びは、大学時代の友人からの意見がきっかけだったそうです。

今後について

江戸時代から何一つ変わっていないスポーツであり、伝統芸能であり、神事でもある大相撲の奥深さについて、お茶の間で観戦している人が感動できるような解説をしていきたい、そしてご自身の体験を踏まえ、これまでにない新しい解説に全精力を費やしていきたいという意気込みがうかがえました。

質疑応答

Q:
どうやって現在のような、落ち着いた、論理的な話し方ができるようになられたのでしょうか?
A:
相撲を通じて、自分を自覚することができ、アイデンティティが確立されていった。先輩後輩の関係や師匠弟子の関係などはとくに自分自身の性格や人間性に与えた影響力は大きかったと思う。
Q:
相撲番組で解説をする際に気を付けられていることは何ですか?
A:
お茶の間で見ている人に相撲の奥深さを伝えるような解説をいつも心がけている。映像と語りを合わせて、独りよがりの解説にならないよう気を付けている。

開催後記

テレビなどでよくお見かけする舞の海さんですが、ひょうひょうとした語り口である一方、とても気さくな方であるという印象を受けました。他の選手より小柄で体格では劣ってしまう分、必死に頭で考え、また自分の強みであるスピードを生かすことで自分の土俵で勝負するといった考え方は、どんな分野にも共通して取り込めるのではないでしょうか。また、公式の場では語れないここだけの話が多くあり、とても奥深くて面白い講演会でした。

第1回大学連携スマートキャンパスシンポジウム -大学と地域が連携したこれからの大学のエネルギーシステムを考える-

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大学は多数の施設を持ち、多くのエネルギーを消費しておりますので、省エネは喫緊の課題です。

同時に、地域の防災拠点として災害に強いエネルギーシステムを持つことも求められています。

そこで、東京工業大学、東京大学、信州大学、名古屋大学、三重大学、京都大学、大阪大学は、共同で、大学におけるエネルギー自立・省エネ・地域との連携と防災拠点化について考えるシンポジウムを開催いたします。

大学連携スマートキャンパスシンポジウム

お問い合わせ先
研究推進部 研究企画課
電話番号 03-5734-3802

すずかけ台キャンパスにて第9回料理教室開催

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11月7日(木)、すずかけ台キャンパスの食堂にて料理教室が開催されました。
この料理教室は東工大生協・季の実ガーデン・保健管理センターすずかけ台分室の共催で行われ、今回で9回目を迎えます。
今回は山梨の郷土料理「ほうとう」と「簡単スウィートポテト、アイス添え」を作りました。ほうとうは麺からの手作りでした。留学生の参加も多く、日本の郷土料理を楽しく作りました。


1. ほうとうの生地を伸ばします


2. 伸ばした生地はたたんで包丁で切ります


3. 大きな鍋で麺、野菜を煮込みます


4. 山梨の郷土料理「ほうとう」の完成です


5. 「簡単スウィートポテト、アイス添え」


6. 大勢で食べるとより一層おいしいです


今回も多くの学生のご参加、ありがとうございました!

本学学生チームがiGEM世界大会で最優秀部門賞を連続獲得

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iGEM(The International Genetically Engineered Machine Competition)は国際的な合成生物学の大会で、学部生主体のチームがBioBrickと呼ばれる規格化された遺伝子パーツを組み合わせることにより、新しい生命システムの設計・構築 を行い、その成果をプレゼンテーションして審査されます。本年度は10月4〜6日にアジア地区大会、11月1〜4日に世界大会が開催され、マサチューセッツ工科大学、インペリアルカレッジ・ロンドン、清華大学など世界各国から204チームが参加し、8つの部門に分かれ競い合いました。

本年度の東工大チームは、バイオクリエーティブデザインIIの講義を受講する生命理工学部の学生13名、工学部の学生1名で構成されました。合成生物学の重要性を社会に発信するために、忍者を題材にした遺伝子ネットワークのプログラミングと、植物ホルモンの生産を目標とし、シミュレーションでの検証も行いました。この結果、本学チームは香港中文大学にて行われたアジア地区大会を金メダルの獲得とともに見事突破しました。さらにマサチューセッツ工科大学で行われた世界大会では、8つの部門のひとつであるInformation Processing部門において最優秀賞 を昨年に続いて獲得しました。

東工大チームがInformation Processing部門の最優秀賞を獲得したのは、2010年大会以来3度目です。日本で最優秀部門賞を受賞している大学は昨年以前も含め他になく、本学学生の総合力の高さが世界に評価された結果であると考えられます。また、東工大は金賞連続受賞の世界記録を7年に延長しています。この連続記録を持つチームは全204チーム中、東工大、カルフォルニア大バークレー校、エジンバラ大、フライブルグ大の4校のみです。最優秀賞を3回以上、金賞連続受賞世界記録を併せ持つ大学は東工大のみです。

参加学生

  • 鈴木 真也
    (生命理工学部・生命工学科・生命情報コース・3年)
  • 齋藤 健
    (生命理工学部・生命工学科・生体分子コース・3年)
  • 渡来 直生
    (生命理工学部・生命科学科・生命情報コース・3年)
  • 畑中 恵茉
    (生命理工学部・生命科学科・生命情報コース・3年)
  • 若林 優太
    (生命理工学部・生命工学科・生命情報コース・3年)
  • 川端 政則
    (早稲田大学・先進理工学部・電気情報生命工学科・3年)
  • 礒崎 達大
    (生命理工学部・生命工学科・2年)
  • 藤原 亮太
    (生命理工学部・生命科学科・2年)
  • 鈴木 駿太
    (生命理工学部・生命工学科・生物工学コース・3年)
  • 戸松 彩理
    (生命理工学部・生命工学科・生物工学コース・3年)
  • 小林 竜也
    (生命理工学部・生命工学科・生物工学コース・3年)
  • 藤元 紘
    (生命理工学部・生命工学科・生物工学コース・3年)
  • 荻野 紗良
    (生命理工学部・生命工学科・生物工学コース・3年)
  • 史 恒宇
    (生命理工学部・生命工学科・生命情報コース・3年)
  • 席与築
    (工学部・制御システム工学科・4年)

指導陣

  • 木賀 大介
    (大学院総合理工学研究科・知能システム科学専攻 兼 複合創造領域 合成生物学コアユニット・准教授)(主指導)
  • 山村 雅幸
    (大学院総合理工学研究科・知能システム科学専攻 兼 複合創造領域 合成生物学コアユニット・教授)
  • 小長谷 明彦
    (大学院総合理工学研究科・知能システム科学専攻・教授)
  • 太田 啓之
    (バイオ研究基盤支援総合センター・大学院生命理工学研究科・生体システム専攻・教授)
  • 三原 久和
    (大学院生命理工学研究科・生物プロセス専攻・教授)
  • 大谷 弘之
    (大学院生命理工学研究科・生体分子専攻・准教授)
  • 徳永 万喜洋
    (大学院生命理工学研究科・生命情報専攻・教授)
  • 相澤 康則
    (バイオ研究基盤支援総合センター・大学院生命理工学研究科・分子生命科学専攻・講師)
  • 増田 真二
    (バイオ研究基盤支援総合センター・大学院生命理工学研究科・生体システム専攻・准教授)
  • 鮎川 翔太郎
    (情報生命博士教育院・特任助教)
  • 関根 亮二
    (大学院総合理工学研究科・研究員)
  • 網蔵 和晃
    (大学院総合理工学研究科・知能システム科学専攻 兼 複合創造領域 合成生物学コアユニット・D3)

本大会への参加に際して、以下の方々からご支援いただきました

株式会社医学生物学研究所(MBL)- Integrated DNA Technologies(IDT)
株式会社池田理化
コスモ・バイオ
プロメガ株式会社-株式会社リバネス
グローバル人材育成推進事業
東京工業大学基金
相澤基金
バイオ創造設計室
本房文雄氏
小野功氏
(順不同)

プレゼンテーション指導

  • 生命理工学研究科:
    有坂文雄、岩崎博史、占部弘和、田口英樹、丹治保典、中村聡、和地正明、秦猛志、
    廣田順二、福居俊昭、Robert Whittier
  • 総合理工学研究科:
    瀧ノ上正浩、Daniel Berrar


受賞後の東京工業大学チーム・11月4日・マサチューセッツ工科大学にて

グローバル人材育成推進事業シンポジウム

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平成24年に採択された文部科学省「グローバル人材育成推進事業」の一環として、適正技術をテーマとしたシンポジウムを開催します。高校・大学生がグローバル社会において自分の将来の夢を描き、選択肢を考える上で大切なヒントを提供します。

【理工人の未来設計】世界をつなぐ日本の技術

日時
11月30日(土) 14:00~18:40
場所
大岡山キャンパス 東工大蔵前会館「くらまえホール」(目黒線・大井町線 大岡山駅)
東工大蔵前会館 交通アクセスouter
対象
高校生/大学生/教育・企業関係者/適正技術の分野に興味ある方
主催
東京工業大学 グローバル人材育成推進支援室

リーフレットをダウンロード (1.4MB)PDF

お問い合わせ先
グローバル人材育成推進支援室
E-mail ghrd.info@jim.titech.ac.jp

フジテレビ「ニュースジャパン」に中本高道教授が出演

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中本高道教授

精密工学研究所 中本高道教授の研究室の活動が、11月4日のフジテレビ「ニュースジャパン」で放送されました。

光が3原色から全ての色彩を表せる一方、中本教授は、12種類の香りのもとで4,096通りの香りを再現する研究に取り組んでおり、番組内で紹介されました。匂いを記憶し、場所や時間を超えて送信する技術です。

なお、中本教授が取り上げられたコーナーの動画は、以下のフジニュースネットワークのサイトでご覧いただけます。


遠隔匂い再現システム


サイエンスカフェ 2013 Vol.1 「計算の限界って?」開催報告

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東京工業大学博物館・百年記念館主催のサイエンスカフェが、11月12日 東京工業大学博物館・百年記念館3階 フェライト記念会議室にて、高校生を中心に38名が集まり、開催されました。
今回のサイエンスカフェ シリーズ Vol.1のテーマは「計算」、文科省新学術領域「計算限界解明プロジェクト」(領域代表: 渡辺治 情報理工学研究科)との共催で行われました。


入口でメニューを見てテーブルを選ぶ参加者

コンピュータが私たちの生活に不可欠なものとなっている現在、「計算」はつねに我々の身近に存在します。実際、肌身はなさず持っているスマホは、休むときなく「計算」して、必要な情報を私たちに伝えてくれます。では、そうした「計算」とはいったい何なのか?となると、実はわかっているようで、まだまだわからないことが沢山あります。

たとえば、21世紀の7大未解決問題の1つの「P≠NP予想」は、計算をどこまで効率化できるのか?という根本的な問いですが、今のところ答えるすべがありません。こうしミステリアスな「計算」が今回のサイエンスカフェのテーマです。

こうした数理科学的な研究では、カフェはとても重要です。もちろん、通常は、研究に疲れた頭をリラックスさせるための息抜きの場です。ですが、ときには、そうしたリラックスの時間の中で新たな着想がうまれたり、カフェでの議論の中から新たな定理の発見が得られる場合も少なくありません。

今回のサイエンスカフェは、そうした研究者の雑談かつ活動の場であるカフェの雰囲気の中で、参加者の皆さんに「計算」に接してもらおう、と考えました。講演など一切無しです!各テーブルごとにホスト役の講師を中心に、お茶を飲みながら、カフェでの雑談の雰囲気の中で、「計算」の様々な側面にふれて頂こう、という企画です。

カフェではテーブルを6つ用意しました。その各々のテーブルのホストは、計算限界解明プロジェクトで世界をリードする研究者です。各々が得意とする話題(以下の表)がそのテーブルの御馳走です。参加者(約40名)は、入口で、メニューから好みの話題(テーブル)を選び、そこで雑談を楽しんでもらいました。

ホスト役の研究者たちは、口八丁手八丁、小道具、クイズ、そしてPCなどを使いながら、自分のテーブルを選んでくださったお客さんたち 6 〜 7 名を「計算」の世界に引き込んでいったのでした。

こうした企画ははじめてだったので、2時間も話が持つのかなぁ、と主催者側としては少々不安でしたが、皆さん、時間のたつのも忘れてカフェの雰囲気とホストとの話を楽しんで下さったようです。

「研究者と気軽に話ができて良かった」
「P≠NP問題の概略について聞いて、日常生活にも数学の概念が潜んでいることに感激しました」
「正十二面体の展開図が4万通りくらいあるということに驚き」
「もっと長い時間や月1回のような回数であったら、様々なことを学ぶことのできる良い機会になると思います」

アンケートには、このような感想をいただき、言葉は知っているもののイメージを掴みにくい「P≠NP予想」を身近な具体的事例を通じて知っていただけた様に思います。これは、研究者とゆっくりと気軽に話をできるサイエンスカフェならではの効果ではないでしょうか。 最後にまとめの話をして、区切りをつけましたが、名残惜しそうな方も多く、カフェの雰囲気は十分出せたのではないかと嬉しく思った次第です。

サイエンスカフェ企画担当
情報理工学研究科 数理・計算科学専攻
渡辺 治

各テーブルの話題とホスト


テーブル1 ゲームとパズルで知る計算複雑さ
上原隆平(北陸先端科学技術大学院大学)


テーブル2 積み木で形を作ること
岡本吉央(電気通信大学)


テーブル3 PとNP
河村彰星(東京大学)


テーブル4 展開図のフシギ
堀山貴史(埼玉大学)


テーブル5 あみだくじゲーム
山中克久(岩手大学)


テーブル6 量子力学と計算
河内亮周(東京工業大学)

お問い合わせ先
東京工業大学博物館
電話 03-5734-3340
E-mail centcafe@jim.titech.ac.jp

英文ニュースレター「Tokyo Tech International WINTER 2013 Vol. 18」刊行

東工大スパコンTSUBAMEシリーズが省エネ性能スパコンランキング2冠を獲得!

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  • 次世代TSUBAME 3.0のテストシステム、オイルによる冷却システムを備えた「TSUBAME-KFC(用語1)」がGreen500(省エネ)において圧倒的な性能で日本のスパコンとして初めて世界1位を達成。同時にGreenGraph500(省エネのビッグデータ処理)においても1位を獲得し、省エネに関するランキングで2冠を獲得。
  • 東工大のスパコン「TSUBAME 2.5」がGreen 500(省エネ)世界6位。TOP500(処理速度)世界11位、国内2位に。高い総合力を示す。

東京工業大学学術国際情報センター (GSIC) が、日本電気株式会社(NEC)、米国NVIDIA社など内外各社の協力で開発し、2013年10月に稼動を開始したスーパーコンピュータ「TSUBAME-KFC」が世界最高の省電力スパコンとして認定されました。The Green 500 List (用語2)の2013年11月版において1ワットあたり4,503.17メガフロップスという2位以下を大きく引き離す値を記録し、世界一位になったことが、米国Denver市で開かれたスパコンの国際会議 "SC13--Supercomputing 2013"で米国時間11月20日に発表されました。The Green 500 Listで日本のスパコンが一位になったのは初めてであり、低炭素社会の実現に向けた日米合同の技術リーダーシップを示したといえます。

同時にビッグデータ処理の省エネルギー性を競うために今年から始まったThe Green Graph 500 List (用語3)のビッグデータ部門においても世界1位となりました。これは前回(2013年5月)のThe Green Graph 500Listにおいて1位となったビッグデータ処理・グラフ処理で高い能力を持つIBM のスーパーコンピュータBlue Gene/Qを押さえての受賞となり、The Green 500Listと合わせて省エネに関するランキングで2冠となりました。

また、今年9月にアップグレードされた同センターのスパコン「TSUBAME2.5」も1ワットあたり3,068.71メガフロップスを記録し、The Green500 Listにおいて世界6位にランキングされました。「TSUBAME2.5」は、The TOP500 Listにおいても世界11位に返り咲き、日本国内ではスーパーコンピュータ「京」に次ぐ第2位となりました。

TSUBAME-KFC
TSUBAME-KFC

TSUBAME2.5
TSUBAME2.5

TSUBAME-KFCはTSUBAME2.0の後継となるTSUBAME3.0及びそれ以降のためのテストベッドシステムとして、同センターが推進する文部科学省概算要求「スパコン・クラウド情報基盤におけるウルトラグリーン化技術の研究推進」プロジェクトによって設計・開発されたものです。同プロジェクトではスーパーコンピュータの消費電力とそれに係る冷却電力の双方の削減を目標としており、TSUBAME-KFCでは計算ノードを循環する油性冷却溶媒液の中に計算機システムを浸して冷却する油浸冷却技術及び冷却塔による大気冷却の組み合わせによって非常に少ない消費電力で冷却できるように設計しています。

TSUBAME-KFCシステムは40台の計算ノードとそれらを接続するFDR InfiniBandネットワークで構成されています。各計算ノードは1UサイズのサーバにIntel Xeon E5-2620 v2プロセッサ(Ivy Bridge EP)を2基、NVIDIA Tesla K20X GPUを4基搭載しており非常に高密度になっています。40ノードを1つの油浸ラックに収容されるコンパクトな設計になっています。システム全体の理論ピーク演算性能は217テラフロップス(倍精度)になります。

また「TSUBAME2.5」は、2010年11月版のThe TOP500 Listにおいて世界四位、The Green 500 Listにおいて世界二位、またGreenest Production Supercomputer in the World賞を受賞したスパコン「TSUBAME2.0」を今年9月にGPU(用語4)をNVIDIA Tesla M2050から最新のNVIDIA Tesla K20Xへアップグレードしたものです。これにより演算性能が倍精度で5.7ペタフロップス(用語5)、単精度で17ペタフロップスへと大幅に増強されました。また電力効率においても3倍以上向上しており今回のThe Green 500 Listにて再び世界トップクラスの電力効率であることが認定されました。

今回の結果は、東工大学術国際情報センターにおいて省電力化を目指して行われてきた種々の研究成果が結実したものと言えます。ウルトラグリーン化プロジェクトだけでなく、同センターにおける科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業(JST-CREST)における「ULPHPC(超低消費電力高性能計算)」などの基礎研究プロジェクト、また米国NVIDIA社との数年来の共同研究プロジェクトにおいて、最新技術であるGPUのスパコンにおける大幅活用やHPCシステムの省電力化の研究などが続けられてきました。それらの成果をもとに、NECと米国NVIDIA社を中心に、米国Green Revolution Cooling社、米国Supermicro社、米国インテル社、Mellanox社などが加わった企業と共同開発が行なわれました。

シンポジウム 「スーパーコンピュータTSUBAMEの進化と未来」
 ―TSUBAMEがどう進化し、どのように使われるのかー

上記の成果を含めて、12/10(火)13時より、「スーパーコンピュータTSUBAMEの進化と未来」 ―TSUBAMEがどう進化し、どのように使われるのかーと題した記念シンポジウムを開催します。TSUBAME2.5のアップグレードと3.0に向けた研究開発から、超大規模アプリケーションの応用、また、産業界での利用に関してまで幅広い講演が行われる予定です。

用語1 TSUBAME-KFC

TSUBAME Kepler Fluid Coolingが語源。TSUBAME2.5と同様にNVIDIA社のKepler世代GPUを搭載していますが、TSUBAME-KFCでは計算ノードを液体に浸けて冷却している特長から名づけられています。

用語2 The Green 500 List

スパコンのベンチマーク速度性能を半年ごとに世界一位から500位までランキングするThe TOP 500 Listに対して、近年のグリーン化の潮流を受けTOP500のスパコンの電力性能(速度性能値 / 消費電力)を半年ごとにランキングしているリスト。
http://www.green500.orgouter

用語3 The Green Graph 500 List

The Green Graph 500 List : The Green 500 Listのように、ビッグデータ解析性能を競うGraph 500のスパコンの電力性能(解析性能値 / 消費電力)を半年ごとにランキングしている今年の5月から始められたリスト。
http://green.graph500.org/outer

用語4 GPU (Graphics Processing Unit)

本来はコンピュータグラフィックス専門のプロセッサだったが、グラフィックス処理が複雑化するにつれ性能および汎用性を増し、現在では実質的にはHPC用の汎用ベクトル演算プロセッサに進化している

用語5 ペタフロップス(Peta flops)、テラフロップス(Tera flops)

フロップスは1秒間で何回浮動小数点の演算ができるかという性能指標。ギガ(10の9乗)、テラ(10の12乗)、ペタ(10の15乗)など。

≪TSUBAMEに関する問い合わせ先≫

■ 東京工業大学学術国際情報センター
TEL: 03-5734-2087
FAX: 03-5734-3198
E-mail: kib.som@jim.titech.ac.jp
http://www.gsic.titech.ac.jpouter

■ 日本電気株式会社(NEC)
コーポレートコミュニケーション部 江澤
TEL:03-3798-6511
E-mail:j-ezawa@az.jp.nec.com

■ エヌビディア
マーケティング本部 広報/マーケティング・コミュニケーションズ
中村 かおり
Tel: 03-6743-8712
Fax: 03-6743-8799
E-mail: knakamura@nvidia.com

資史料館リーフレット刊行のお知らせ

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資史料館では、今まで築き上げてきた本学の歴史を学生に知ってもらい、今後の勉学、研究にいそしむ心の育成のため、リーフレットを発行しております。
現在、以下の3タイトルを配布中です。Webでも公開しておりますので、下のリンクからご覧ください。

資史料館 とっておき メモ帳1

「すこぶる重大なる事件」リケジョ(理工系で仕事をする女性)のパイオニアたち

シリーズ「発掘!東工大の研究と社会貢献」第1回

東工大は抗ウイルス薬アラセナの発祥の地です

シリーズ「発掘!東工大の研究と社会貢献」第2回

絶対零度への挑戦

お問い合わせ先
東京工業大学博物館資史料館部門
電話(内線) 3340
E-mail: centshiryou@jim.titech.ac.jp

ジャグてっく「Japan Juggling Festival」男子個人部門優勝

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東工大ジャグリングサークル「ジャグてっく」が、「Japan Juggling Festival 2013」に出場し、部員の隈本哲人さん(大学院生命理工学研究科1年)が男子個人部門で優勝しました。


表彰式(前列左が隈本さん)


練習中の様子

Japan Juggling Festivalとは、全国から腕自慢のジャグラーが集まり、技術力、オリジナリティー、パフォーマンス性などを審査する、国内屈指のジャグリング競技会です。その中でも男子個人部門は、特に出場人数が多く、注目度が高い部門です。

今回の優勝について、隈本哲人さんは以下のようにコメントしています。

「決勝進出だけでも万々歳だったので、優勝出来たことに非常に驚いています。「ジャグてっく」のみんなと面白おかしくやってきたおかげで、この結果が残せたのだと思います。」

Japan Juggling Festival 2013 in Shizuoka

日程:2013年10月12日(土)~10月14日(月・祝)
会場:三島市民文化会館大ホール
主催:日本ジャグリング協会

Japan Juggling Festival 2013 in Shizuoka での隈本さんのパフォーマンス

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