理学院 地球惑星科学系の高橋栄一教授が、7月26日付で米国地球物理学連合(以下、AGU)フェローに選ばれました。
高橋教授は、現在の地球惑星科学系担当教員では、長井嗣信教授と廣瀬敬教授に次ぐ3人目のAGUフェローとなります。
地球惑星科学の分野では栄誉ある受賞となります。
受賞理由「高温高圧実験に基づく火成岩岩石学に関する重要でかつ根本的な貢献」
高橋教授は、マルチアンビル装置、内熱式ガス圧装置など高温高圧実験装置と実験手法を開発し、深さ3キロメートルの地殻内マグマ溜りの再現から、深さ1,000キロメートルを超す下部マントルの物質構成の解明まで広い圧力領域を研究し得る実験ラボ「マグマファクトリー(Magma Factory)」を東工大に建設しました。「マグマファクトリー」は、神戸製鋼と共同開発した8,600気圧垂直落下急冷型内熱式ガス圧装置で、富士火山や阿蘇火山の深いマグマ溜りの再現実験に使用されました。「マグマファクトリー」は東工大内外の多くの研究者に利用され、火山岩石学研究者および地球深部ダイナミクス研究者を多数輩出しました。
今回の受賞理由となった研究は以下の4つです。
- (1)日本列島の岩石学構造と火山深部プロセスの研究
- (2)高圧実験に基づく玄武岩マグマの発生過程の研究
- (3)高圧実験に基づく地球初期のマグマオーシャンの研究
- (4)日米合同チームを組織したハワイ諸島の火山の海底部分に関する研究
なお、「マグマファクトリー」の一部は来年3月の高橋教授の定年退職に伴い、東工大から中国科学院広州地球化学研究所に寄贈され2016年秋に移設される予定です。
高橋教授のコメント
東工大で28年間研究生活を送らせていただき感謝しています。
私の研究対象は日本列島の火山をはじめハワイなど世界各地の火山活動の起源となるマグマの発生過程でした。日本は巨大地震の影響で今後数10年をかけて火山活動が活発化する恐れがあり、この方面の研究は特に重要であると思います。
私自身は来年から中国科学院の研究所に異動して研究活動を続ける予定です。
東工大の皆さんのご活躍を国外から応援させていただきます。