10月3日、STSフォーラム(科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム)※2016「学長ランチミーティング」が京都国際会館で開催されました。
本ミーティングは、STSフォーラムのプログラムのひとつで、世界各国の高等教育機関の代表者が、科学技術と教育に関するトピックスについて意見交換を行い、各機関が持つ課題の理解を深めることを目的としています。
2016年度は本学が主催し、三島良直学長がトロント大学のメリック・S・ガートラー学長とともに議長を、佐藤勲副学長が司会を務めました。
まずは、STSフォーラムの創設者であり理事長でもある尾身幸次氏(元衆議院議員)の挨拶で始まりました。尾身氏は、同フォーラムは、世界の教育、ビジネス、政策等、各界のリーダー間の国際的なネットワーク作りを推進することを目的として開催されており、高等教育機関の代表者が一堂に会する本ミーティングで築かれたネットワークが、各機関、ひいては世界の発展につながることを期待していると話しました。
続いて、出席した世界の高等教育機関50名の代表者が、事前に選択したトピックスについて活発な議論を交わしました。
今年のミーティングで議論されたトピックスは以下の3つです。
- 理工系の知識や技術の重要性が高まる社会における、リベラルアーツおよび人文科学の役割について
- 技術革新を生み出すために、大学、研究所、産業間の知識や研究成果、人材の国内、地域、国際的な流動性をどのように推進すべきか
- 学生の海外への流動性を推進していくうえでの課題と方策について
各国の大学代表者たちは、短い時間ながら、熱心に議論を交わし、高等教育機関としての役割や課題について確認するとともに、お互いの経験や問題意識を共有しました。
ミーティング後半には各グループから議論の内容について報告が行われ、ガートラー学長および三島学長が総括として、それぞれ感想を述べました。
ガートラー学長は、リベラルアーツや人文科学の教育が理工系分野を含む他の専門分野において、その教育や研究活動の向上のために重要であること、また、(専門分野の枠を超えた)学際的な教育や研究活動も必要であることについて、参加者全員が共通理解を持つことができたと述べました。また、3つのトピックスを議論する上で、国際的なつながり(global connections)が重要な論点となっており、国内だけでなく、国や地域を超えた大学間、産学間の連携が、学生の流動性を高め、海外教育機関との共同研究、学術交流の推進につながると結びました。
三島学長は、今回議論したトピックスが日本政府の第5期科学技術基本計画やEU-日本科学政策フォーラム等でも重要課題として取り上げられていることに触れ、広い視野や柔軟性、創造性を備え、専門技術を技術革新へ活用することができる研究者育成のために、リベラルアーツや社会科学教育の良いカリキュラム作りが必要だと述べました。また、学生や若手研究者の流動性を推進し、彼らの経験を豊かにするために、研究予算の提供が必要であると強調しました。
最後に、両議長が共に出席者に感謝の意を伝え、今後も同様のミーティングを継続的に開催、参加していきたいと話し、本ミーティングは閉幕しました。
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- STSフォーラム(科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム)
科学技術と社会に関する問題を人類に共通なものとして議論を行う国際フォーラムで、2004年から毎年秋に京都で開催されている。2016年は、100近くの国、地域、国際機関から1,200名を超える科学技術、政策、ビジネス、メディア各界の世界的なリーダーが参加した。