国際大学院プログラム"Sustainable Engineering Program(SEP)"の授業の一環である、"Sustainable Engineering Technology (SET)"が、今年度も開講されました。この授業は、講義とサテライトセミナーを通じて、持続可能な開発に関する幅広い知識を持った国際的エンジニアを養成する授業で、7回目である今回は、「エネルギーと材料」というテーマのもと、13の専攻から57名の学生が参加しました。全6回の講義では、(財)電力中央研究所の4名の非常勤講師の方から電力事情や新旧様々な発電技術などを、また、太平洋セメント(株)の2名の非常勤講師の方からセメントの基礎や環境に配慮したセメントの製造に関する技術などを学びました。これらの講義を踏まえ、2月25、26日のサテライトセミナーでは、太平洋セメント(株)熊谷工場の見学と、テーマに則した発表を行いました。
Arturo E. Ceron-Lopezさん(大学院理工学研究科機械宇宙システム専攻 博士2年)、長谷川由佳さん(大学院理工学研究科材料工学専攻 修士1年)、宮澤貴廣さん(大学院理工学研究科 械制御システム専攻 修士1年)によるレポートを紹介します。
セメントは、インフラや建築物などに使われることから経済成長に欠かせない材料として知られています。加えて、廃タイヤや廃プラスチックなどを燃料として、またごみを燃焼した際に発生する焼却残さを原料として利用できることから、セメント製造はごみの最終処分場の延命化にも貢献しています。今回の工場見学では、リサイクル原料の一部であるばいじんの洗浄工程に加え、基本的な製造工程(原料工程、焼成工程、仕上工程、品質管理そして出荷)のうち、焼成工程のサスペンションプレヒータの最上部、ロータリーキルン(回転窯)、品質管理の成分分析装置、そして全体の管制室を、各工程や設備の説明とともに案内していただきました。特に、約1450℃の高温で粉体原料の焼成を行うロータリーキルンは大迫力で印象的でした。
焼成工程のサスペンションプレヒータの最上部
ロータリーキルン(回転窯)
発表に向けて夜遅くまで及んだ練習風景
工場内部を見学後、ディスカッションや質問を通じて、工場の防災対策や管理、またリサイクル材料を利用することによる製品の品質や環境、そして経済への影響などをより深く学ぶことができました。
工場見学後、秩父にあるナチュラルファームシティ農園ホテルに移動、夕食時には学生による全13か国の母国紹介が行われました。夕食後、各グループとも翌日の発表に向けて練習や修正を行ったり、温泉を楽しんだりとそれぞれの時間を堪能しました。
翌日は朝9時から「エネルギーと材料」に関連した各グループの発表が行われました。それぞれの工夫を凝らしたプレゼンを通じて、テーマに関連する最新の研究および技術の紹介およびその技術の導入に関する提案がなされ、それに対して、他のグループの学生から様々な角度からの質問や提言があがりました。その中から、独自性などを基準に、ベストプレゼンテーションとベストディスカッサー4名が選ばれました。
ベストプレゼンテーションを受賞したTeam 2
集合写真