3月15日、東工大大岡山キャンパスにて、目黒区教育委員会、大学院生命理工学研究科、東京工業大学博物館の共催で、東工大-目黒区連携講座「もっと身近にサイエンス!バイオを学ぼう!」を実施しました。この連携講座は、2010年から始まり、今回で4回目の開催です。本学と目黒区は本年3月5日に連携・協力に関する基本協定を締結しました。はからずも本企画が正式な協定のもとでの記念すべき最初のイベントとなりました。
実験風景
蛍光色素で浮びあがらせたDNAのバンド。
電気泳動の向きは右(陰極)から左(+陽極)。
“もっと身近にサイエンス!”とはいえ、「中学生に遺伝子工学の実験は無理なのでは?」などの意見もありましたが、生命理工学部3年生の学生実験に組み込まれている高度な実験にトライしてもらいました。
環状DNA(プラスミド)を特殊な酵素で1ヵ所及び2ヵ所切断し、生成する断片を電気泳動によって大きさにもとづいて分離し、蛍光色素によってDNA断片を光らせようという実験です。暗箱の中で紫外線を照射すると、蛍光のスポット(帯、band)が浮びあがるというクライマックスシーンは、幻想的かつ感動的なものでした。
将来、理系に進むか否かを問わず、遺伝子の本体であるDNAをこの目で見たという経験は、参加者の人生にとって貴重な財産となることでしょう。「次はDNAの形を電子顕微鏡などの特殊な装置で見てみたい」という中学生もいましたので、理系人材の育成という面でも効果はあったといえます。
実験の実施や事前準備は生命理工学部の学生に手伝ってもらいました。生命理工学部にはBio Creative Staff (BCS)やiGEMチームという学生サークルがあり、小中高校生対象にした教材開発や出前授業の活動をしています。彼らを中心に中学生向けの実験の手順を考え、研究室で試験をし、中学生向けの詳細かつイラストや写真満載の実験書を作り上げました。学生たちにとっても、参加者以上に得るものが多い機会となったことでしょう。
マイクロピペット & ゲルと格闘する参加者