東工大のものつくりサークル「マイスター(Meister)」のエコノムーブ部門は、10月8日に堺カートランドで行われたエコノムーブ関西大会2017のワールド・エコノ・ムーブ・グランプリ(W.E.M.GP)クラス(オープンクラス)に出場し、総合3位、技術賞を受賞しました。
W.E.M.GPは、バイクのバッテリー等に用いられる鉛蓄電池を2~4個使用し、1.5時間~2時間内の走行距離を競う大会です。大会本部より支給される電池を用いて、時間内の距離、すなわち速さと燃費で勝負します。電池の個数や時間は大会ごとに異なり、今回の関西大会では電池2個(72 Wh)で1.5時間、すなわち48 Wで競いました。大会は今年度に5戦あり、11月に成田大会、12月に沖縄大会に参戦予定です。
今大会は、6台と参加台数こそ少ないものの、古参の強豪、株式会社ホンダアクセスの「チームエンドレス(Team ENDLESS)」や、各チームが使用するモーターの提供元である株式会社ミツバの「チーム“ヨイショット!”ミツバ」、今年度優勝候補筆頭と言われている株式会社東郷製作所の「東郷アヒルエコパレーシング」などが参加するレベルの高い大会となりました。
マイスターの「アリア(Aria)」は予選前まで、カーブを曲がり切れる、切れないの問題で本戦棄権を検討しており、一時は大会本部に棄権の旨を伝えるまでに至りました。しかし、アリアを何度も確認したところ、舵角が取れなかった原因がブレーキの油圧ホース周りの干渉にあることが判明したため、その課題を解決して何とか出場できることになりました。予選はW.E.M.GPでは珍しい1台ずつのタイムアタックとなり、1分28秒672でアリアは4位に入ることができました。
グリッド4番目からスタートした本戦では、1つ前のチームエンドレスを追う展開となりました。チームエンドレスがペースアップし、じりじりと離されていく中、マイスターは大会開始15分後に左前輪のバーストに見舞われました。およそ5分強で修理を完了しコースに戻ったものの、トップチームには4~7周ほど離された状態からの再開となりました。大会1時間過ぎには、チームエンドレスに異変が発生し、電池切れを起こしました。その間にマイスターはプッシュを開始して抜き去ることに成功し、4位に浮上しました。その後、トップを快走していた東郷アヒルエコパレーシングとチーム“ヨイショット!”ミツバにもトラブルが発生します。前者はドライバーのオーバーヒート、後者は電池切れの様子でした。その隙に、チーム“ヨイショット!”ミツバをかわしてプッシュするものの、残り3周に迫ったあたりで東郷アヒルエコパレーシングが復活し、有り余る電池を見せつけるかのように快走を始めました。アリアはその時点で12 Vの電池を4 Vまで使い切り省エネ走行を余儀なくされましたが、順位を守りきり、3位に入賞しました。
アリアは土壇場で電気関係が壊れたり、舵角不足というトラブルに見舞われましたが、それを本戦までに修理した努力と技術力を評され、マイスターには3位の表彰だけでなく、技術賞も授与されました。
今枝裕登さん(代表兼ドライバー、工学部 機械宇宙学科 3年)のコメント
今大会はさまざまなトラブルが発生しましたが、まず走り切れるセットアップをしてくれたチーム、陰ながら応援してくださった顧問の井上先生、大学、OB・OGの皆さまにこの場を借りてお礼申し上げます。ミツバさんやエンドレスさんにバッテリー切れという形で正式に勝ったのは、おそらく長いマイスターの歴史でもほとんどないことだと思います。そういう意味で我々の車体がある程度のポテンシャルがあるといういい証明になったと思っています。あと2戦、気を抜かずにW.E.M.GP通しての入賞を狙いたいと思います。引き続きご支援よろしくお願いします。