理学院 化学系の木口学教授が、第14回日本学術振興会賞を受賞しました。
日本学術振興会賞とは
同賞は、独立行政法人日本学術振興会が、優れた研究を進めている若手研究者を見い出し、早い段階から顕彰してその研究意欲を高め、独創的、先駆的な研究を支援することにより、我が国の学術研究の水準を世界のトップレベルにおいて発展させることを目的に2004年に創設されたものです。
受賞対象者は、人文・社会科学及び自然科学の全分野において、45歳未満で博士又は博士と同等以上の学術研究能力を有する者のうち、論文等の研究業績により学術上特に優れた成果をあげている研究者となっています。 受賞者には賞状、賞牌及び副賞として研究奨励金110万円が贈呈されます。
記念受賞式は2018年2月7日(水)に日本学士院にて開催される予定です。
木口学教授
受賞研究業績
「単分子接合の計測手法と新規物性・機能の開発」
木口教授は、将来の分子エレクトロニクスの実現で中心的な役割をになう、金属電極に単分子を架橋させた単分子素子の開発において、その性能に決定的な影響をおよぼす単分子接合の原子構造、電子状態を決定する独自の手法を開発しました。また、界面相互作用を積極的に利用して、単分子接合の新たな物性や機能を開拓しました。
木口教授は光増強場を利用した単分子接合の振動スペクトル測定に初めて成功し、接合界面における分子構造を決定するとともに、その電気的特性を複合計測するシステムを構築しました。この計測手法は、接合界面における単分子の構造を界面の電子状態や相互作用まで含めて解明することを可能にし、現在では単分子接合の研究に不可欠な手法として広く使われるようになっています。
このように、木口教授の単分子接合に関する研究は独創的であり、単分子エレクトロニクス分野のみならず、材料科学、電子工学などの周辺分野に大きく貢献しています。
受賞コメント
日本学術振興会賞を受賞することができ、大変光栄に思います。受賞対象となった単分子接合に関する研究では、分子の合成、計測、理論解析の3本の柱が揃って初めて、研究を進めることが出来ます。私達は主に計測法の開発を行ってきましたが、合成、理論の方々との共同研究なしでは、研究を行うことができません。私、そして私達の最大の財産は恵まれた共同研究者だと思っています。心から共同研究者の方々に感謝申し上げます。
私は、研究に対する姿勢を東京大学(当時)の太田俊明先生、横山利彦先生から、研究の進め方を東京大学の斉木幸一朗先生から教えて頂きました。そして、本研究のテーマは北海道大学の村越敬先生から頂いたものです。これらの先生方、そして本学のサポートのおかげで現在も研究を続けることが出来ています。
なお全ての研究は研究室のスタッフ、学生と一緒に行ったもので、私だけが受賞したことを申し訳なく思っています。今後、自分も勉強を続けると共に、私以上の能力をもつ研究室の若いスタッフ、学生が、私以上の活躍をすることを支えていきたいと思っています。このたびは誠にありがとうございました。