本学 理学院 化学系の前田和彦准教授による太陽光をエネルギー変換する光触媒の最先端研究プレスセミナーを6月11日、大岡山キャンパス東工大蔵前会館にて開催しました。
石油や石炭などのエネルギー資源の枯渇や、CO2排出などの地球温暖化問題の観点から、太陽光による人工光合成は水素生成やCO2削減を実現するクリーンかつ再生可能エネルギーとして期待されています。本セミナーは、東工大が強みを持つ最先端研究をプレス向けにご紹介するプレスセミナーの一環として開催されました。
セミナーでは、前田准教授から、エネルギー源としての太陽光の可能性や人工光合成の基本原理を解説しました。高効率に駆動する光触媒を開発してそれを利用すれば、2050年に人類全体で必要とされるエネルギーの3分の1を太陽光エネルギーで賄えるという試算も示されました。また、前田准教授の最新の成果としてフッ素と酸素を構成物質とする光触媒についての紹介がありました。この成果は、フッ素が光触媒化合物としては有効ではないというこれまでの定説を覆し、紫外線のみならず、可視光に応答し、かつ、安定した組成の新触媒であることを示したものです。前田准教授は、光触媒設計の改善に新たな指針を示し、より汎用性のある安価な光触媒を開発していくことに言及しました。
前田准教授のコメント
地球の表面にとどく太陽のエネルギーは約100兆キロワットに達する膨大なものです。この0.01%を活用できれば人類社会を支えるために必要なエネルギーを供給できます。
光触媒による人工光合成はエネルギー問題に大きな貢献ができると確信しています。