理学部 地球惑星科学科の土山絢子さん(学士課程4年)が、公益財団法人 国際科学技術財団による選考を経て、「ストックホルム国際青年科学セミナー(以下、SIYSS)」の日本代表として、2018年ノーベル賞授賞式等に参加しました。
土山さんは12月4日に日本を出発し、12月12日に帰国するまで様々なプログラムに参加しました。
若手科学者向けのプログラムとして、ストックホルムの高校生約300名を聴衆とするSIYSSセミナーが開催され、土山さんは地震学の研究について発表し、高校生との活発な質疑応答が行われました。
また、翌日に行われた倫理セミナーでは、科学倫理に関する課題が与えられ、ディスカッションやディベートの機会が設けられました。
プログラムのハイライトであるノーベル賞関連イベントでは、ノーベル賞受賞者によるノーベルレクチャー、レセプション、授賞式等に出席し、ノーベル賞受賞者と直接交流ができる貴重な経験となりました。
土山さんは、2017年夏、東工大・アジア理工系学生派遣交流プログラム(Tokyo Tech-AYSEAS)への参加をきっかけに留学に興味を持ち、翌年春にはグローバル理工人育成コースの一環であるジョージア工科大学リーダーシッププログラムへ参加、そして今回のSIYSSに挑戦しました。
いずれも10日間前後の短期のプログラムでしたが、これらの経験を糧に2019年秋、派遣交換留学に出発予定です。
土山さんのコメント
今回の派遣を通して一番印象に残っているのは、SIYSSセミナーです。自分の研究分野である地震学を、専門知識がなく、また地震を経験したことのないスウェーデンの高校生にどのようにわかりやすく伝えるか、ということが課題でした。
プレゼンテーションでは、「世界のどこで地震が発生しているか」「深発地震とは何か」など基本的な話題を中心に説明し、その後のポスター発表で自身の研究発表等を行いました。プレゼンテーション後の質疑応答では多くの質問を受け、英語で回答することに苦労しながらも、会場を盛り上げることができました。
普段参加しているセミナーや学会とは全く異なる視点からの質問が多く、より多くの人に研究を理解してもらうことの難しさを感じると同時に、理解してもらえた時の達成感も得ることができました。
ノーベル賞関連行事では、ノーベル生理学・医学賞を受賞された京都大学の本庶佑先生のノーベルレクチャーが印象に残りました。長年の基礎研究の成果を発信し、世界を舞台に賞賛を受ける先生の姿に、同じ日本人としての誇りを感じ、研究者としての憧れを抱きました。
SIYSSに参加する上で一番大切なことは、「自身の研究に誇りを持って取り組むこと」だと思います。世界中から若手科学者が集う場所では、研究への熱意と専門性が武器となります。専門性がはっきりしていれば、他の分野との共通点も見つけやすく、ノーベル賞受賞者や世界中の若手科学者との交流がより充実することは間違いありません。
これまで数多くの著名な研究者を輩出してきた専門性の高い東工大の学生として、このSIYSSに応募・参加する意義があると私は思います。
SIYSSとは
SIYSSは、スウェーデン青年科学者連盟が毎年ノーベル賞週間に合わせてストックホルムで開催するセミナーで、世界各国から派遣された若手科学者がノーベル賞授賞式などの諸行事に参加するほか、自身の研究発表を行います。若手科学者の国際交流の場として、参加者の科学に対するモラルの向上や熱意の高揚につながっています。
今回は19ヶ国から25名が参加しました。
国際科学技術財団から毎年2名の学生(大学生・大学院生)が日本代表としてSIYSSに派遣され、2018年は本学の土山さんがそのうちの1名に選出されました。1987年以降、本学からの派遣学生は計9名となりました。