セコム株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:中山泰男)と国立大学法人東京工業大学(所在地: 東京都目黒区、学長:益 一哉)の阪口啓研究室(工学院電気電子系)は、長距離通信を可能とするミリ波無線通信装置を共同開発し、上空のドローンからリアルタイムで4K非圧縮映像を伝送することに成功しました。
セコムは、無線通信技術を活用して、ドローンで広域施設を警備するサービスの実現に取り組んでいますが、ドローンで広域を監視するには、広範囲の映像を迅速かつ正確に把握・分析するために高精細な映像をリアルタイムに配信する必要があり、それを実現するための無線通信技術が求められています。
一方、東京工業大学は、5G-MiEdgeプロジェクト※1でミリ波無線通信の研究開発に取り組んでおり、その研究成果に基づき映像伝送を対象としたミリ波無線システムの設計およびハードウェアの開発などを行ってきました。
今回着目したミリ波無線通信は、高速通信ができることから、今後5Gなどでの活用が期待されていますが、電波の減衰が大きいため通信距離が制限されるといった課題があります。
セコムと東京工業大学は、この課題を解決するためにSOFTechコンソーシアム※2の枠組みで2018年から共同での研究開発を進め、Intel社の協力の下、Intel社が開発したレンズアンテナを用いた、映像の長距離伝送が可能なミリ波無線通信装置の開発に取り組みました。
レンズアンテナは、電波を発射する角度を絞ることで到達距離を延ばすことができることから、映像の長距離伝送に適した性能を持つ一方、サイズや重量の問題からこれまでドローンへの搭載が進んでいませんでした。今回、セコムと東京工業大学は、Intel社のレンズアンテナの小型・軽量という特徴を活かし、ドローンに搭載可能なミリ波無線通信装置を用いた映像伝送システムの構築に取り組み、4K非圧縮映像のリアルタイム伝送を実現しました。従来の圧縮伝送に比べて遅延を飛躍的に短縮化することができました。
この構築した映像伝送システムの有効性を確認するために、ミリ波無線通信装置を搭載したドローンを用いて実証実験を共同で実施し、上空100 mのドローンに搭載した4Kカメラでの撮影映像を地上のアクセスポイントにリアルタイムで伝送することに成功しました。
本技術を活用することで、ドローンでの高精細映像によるスタジアム警備やインフラのモニタリングの実現など、さまざまな分野での「安全・安心」なサービスの提供が可能になります。本成果の実用に向けて、引き続き、検討を進めてまいります。
- ※1
- 5G-MiEdgeプロジェクト:総務省(戦略的情報通信研究開発事業)と欧州連合(Horizon 2020)から助成を受ける日欧連携プロジェクト(東京工業大学が研究代表機関)
- ※2
- SOFTechコンソーシアム:JST・産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)のプロジェクトである社会活動継続技術共創コンソーシアム(東京工業大学が研究代表機関)
各組織の役割
セコム : ドローンでの広域監視を想定した映像伝送アプリケーションの開発、および実証実験による通信品質の検証
東京工業大学 : レンズアンテナを用いたミリ波無線通信装置の設計、およびハードウェアの実装
無線通信システムの概要
100 m上空のドローンに搭載した4Kカメラでの撮影映像を、小型で軽量のレンズアンテナを用いたミリ波無線通信装置を通じ、地上のアクセスポイントにリアルタイムで4K非圧縮映像を伝送する。
- プレスリリース セコムと東京工業大学、上空100 mのドローンからミリ波を用いた4K非圧縮映像のリアルタイム伝送に成功
- 阪口研究室 ―研究室紹介 #5―│電気電子系 News
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