電池の研究開発で世界をリードする東京工業大学 科学技術創成研究院の菅野了次教授が統括する「全固体電池技術共創コンソーシアム」が活動を開始し、1月23日、創立シンポジウムを東工大大岡山キャンパス蔵前会館で開きました。
同コンソーシアムは2019年9月、国立研究開発法人・科学技術振興機構(JST)の産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)に研究領域「目的指向型材料科学による全固体電池技術の創出」プロジェクトとして採択されました。東工大が幹事機関となり、民間企業6社が参画機関として加わり、全固体電池の実用化を促進する研究を行います。
コンソーシアムのキックオフとなる創立シンポジウムは、本学と共同研究を行う企業研究者を中心に100名近くが参加しました。
益一哉学長の開催挨拶に続いて、来賓の真先正人文部科学省大臣官房文部科学戦略官と白木澤佳子JST理事が、祝辞とともに本プロジェクトの意義とプロジェクトへの大きな期待を述べました。
続いて、領域統括の菅野教授がコンソーシアムで取り組む課題について説明しました。全固体電池の実用化に向けてのさまざまな課題と、それを解決するためのコンソーシアムとしての取り組みを紹介しました。
さらに、科学技術創成研究院 全固体電池研究ユニットの研究者4名が、超イオン導電体であるLGPS結晶構造を探索する取り組みや、全固体電池の実用化に求められる要素性能を定量的に把握する基盤技術の構築といった最先端の技術を紹介しました。
物質理工学院 応用化学系 鈴木耕太助教
研究課題「革新的材料研究」科学技術創成研究院 堀智特任助教
研究課題「次世代型への飛躍研究」物質理工学院 応用化学系 平山雅章准教授
研究課題「用途多様化研究」科学技術創成研究院 池松正樹特任教授
研究課題「社会実装のための技術課題検討」
最後に渡辺治理事・副学長(研究担当)が、登壇者と参加者に謝辞を述べ、閉会しました。
終了後は交流会も行われ、研究者の意見交換が盛んに行われました。益学長も参加し、本学のプロジェクトへの支援を力強く語りました。
研究領域「目的指向型材料科学による全固体電池技術の創出」の概要
情報化社会が進展してスマートフォンやタブレットなどの携帯情報端末が日常生活に不可欠なものになり、また電気自動車(EV)へのパラダイムシフトがグローバルに加速している。これらには現在、液体の電解質を持つリチウムイオン電池などが利用されているが、さらに安全性が高く、コンパクトで高性能な電池の開発が期待されている。菅野教授らが創り出した超イオン導電体(固体電解質)は、固体中を高速でイオンが選択的に動き回り、かつ低温から高温まで幅広い温度領域で作動する新しい材料であり、液漏れもなく安全性や安定性にも優れ、重量あたりのエネルギー密度も高い、全固体電池のキーテクノロジーである。本共同研究では、超イオン導電体の開発を世界的にリードしている技術優位性を活用し、全固体電池の実用化を促進するための研究を行う。 (JSTサイトによる)
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- 菅野・平山研究室
- 研究者詳細情報(STAR Search) - 菅野了次 Ryoji Kanno
- 研究者詳細情報(STAR Search) - 平山雅章 Masaaki Hirayama
- 研究者詳細情報(STAR Search) - 鈴木耕太 Kota Suzuki
- 研究者詳細情報(STAR Search) - 池松正樹 Masaki Ikematsu
- 研究者詳細情報(STAR Search) - 堀智 Satoshi Hori
- 研究ユニット|組織構成|科学技術創成研究院
- 物質理工学院 応用化学系
- オープンイノベーション機構連携型|研究領域|産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム
- プログラム概要|産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム
- 産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)について|科学技術振興機構