4月1日付で就任した学院長、科学技術創成研究院長からの挨拶をご紹介します。
工学院長 植松友彦
工学は、ものづくりによって文明に貢献する学問です。ものづくりといっても、小さなトランジスタから、大規模集積回路、携帯電話、自動車、ロボット、製造機械、そして航空機や宇宙船まで、更にはネットワーク管理や生産管理などのマネジメントも工学院の範疇です。自由な発想によって頭の中に浮かんだアイデアを実現することがものづくりの本質であり、アイデアを実現するための方法論である技術を体系化し、次世代に教授することが工学院の目指すところです。工学院は、世の中を便利にし、資源を有効に活用し、人々のくらしや社会を豊かにする技術を探求することで、持続可能な社会に貢献していきます。
物質理工学院長 須佐匡裕
物質理工学院では、化学変化を操り、物質や材料にさまざまな新たな機能を与える原理や手法について研究しています。本学院には、材料系および応用化学系という2つの系があり、多様な研究分野において、世界を先導する研究を行っています。そのような研究を通して、将来の物質・材料開発を主導できる研究者・技術者の育成を目指しています。
人類はこれまで、実に多くの物質や材料をつくってきました。その中には、毒ガス兵器としても使われる悪もありました。私たちはそういうものをつくってはいけません。また、ある物質は有用な材料として開発されましたが、後に人々や自然界にとって非常に有害であることが分かったものもあります。PCBやフロンガスなどはその例です。私たちは同じ過ちを繰り返してはなりません。
物質理工学院では、新しい物質と材料とそれらの製造プロセスを創りだす研究を行っていますが、高い倫理観をもって臨まなければなりません。私たちは、地球環境と調和する、新しい物質文明の創造を目指します。
生命理工学院長 近藤科江
生命理工学院では、130人に及ぶ教授、准教授、講師、助教の教員陣が生命理工学に関連した約70の研究分野を構築し、フロンティア研究を展開しています。本学院では、ライフサイエンスとテクノロジーに関する幅広い専門的知識を学び、世界最高レベルの研究や開発を推進し、新たな科学技術を創造する能力を発揮できる生命系理工学人材の育成を目指します。
科学技術創成研究院長 久堀徹
今、東工大と言わず、世界に新型コロナウイルスによるパンデミックという大波が押し寄せています。この先、世界は、日本はどうなるのか、という大きな心配を抱えてしまった年に、科学技術創成研究院長を拝命致しました。まさに身の引き締まる思いです。
今回の新型コロナウイルスは、順調に成長してきたグローバル社会の在り方を一変させ、これから、経済や社会全体にこれまで私たちが経験したことのない大きな変革をもたらすものと思います。そのような極めて困難な時代に直面している私たちは、新規の研究分野の開拓や融合分野研究の促進が極めて重要なミッションと謳われている科学技術創成研究院において、今後変革していく社会にどんな貢献ができるかを真剣に考えなくてはなりません。
それは、病気の治癒を目的とした医学研究ではなくて、今後も必ず我々人類を攻撃してくるであろう新たなウイルスの脅威への対抗措置であったり、簡便な検査技術の開発であったり、あるいは、感染拡大を防ぐ様々なシステムの開発かもしれません。科学技術創成研究院には、基礎科学研究から応用研究まで、幅広い分野で活躍する人材が集まっています。難しい時だからこそ、我々は必ず多方面に大きな力を発揮できるものと思います。どうぞご期待ください。
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- 4月15日 17:00 本文を一部訂正しました。