東京工業大学は「科学・技術の力で世界に貢献する人材」を育成する教育カリキュラム「グローバル理工人育成コース」を2013年度に開設し、世界に羽ばたく学生を育成しています。このコースに所属しさまざまな留学を経験した学生が、自らの体験を後輩の学生に伝えるシンポジウム「理工人の未来設計―コース所属生たちのグローバルな活躍」を1月15日、大岡山キャンパス70周年記念講堂で開催しました。
コース所属生と修了生計3名が、グローバル理工人育成コースでの履修や海外での経験が、どのように将来計画に繋がっているのか、また現在の活躍にどう活かされたのか、を発表しました。
学士課程1年次の学生を中心に、200名以上が参加しました。パネルディスカッションでも、学生から質問が活発に行われ、盛況なシンポジウムとなりました。
3名の留学経験
福田萌斐さん(情報理工学院 数理・計算科学系 修士課程1年)
夢以上の未来へ 海外経験や国際交流が与えてくれたもの
シンガポール・マレーシアやインドへの超短期海外派遣に参加後、学内国際交流やアメリカ・ライス大学での研究インターンなどを経験。
中畑育歩さん(物質理工学院 材料系 修士課程2年)
意識低い系の僕がMITに留学するまで ~一歩踏み出した先に広がる世界~
フィリピン超短期派遣に参加した後、学士課程を早期卒業し、マサチューセッツ工科大学で長期研究留学を経験。
徳永唯希さん (理学院 化学系 2018年卒業・現在、アマゾンジャパン合同会社 勤務)
学生特権を使い倒そう!
東工大入学後に初めて留学を経験。理学院地球惑星科学系が学士課程学生を主な対象として実施しているハワイでの海外地質観察旅行「地惑巡検」、語学留学、アメリカ超短期派遣、アジアやスウェーデンでのサマースクールを体験し、グローバル企業に就職。
「英語を」ではなく「英語で」勉強する意識
3名の発表に先立ち、髙田潤一副学長(国際連携担当)がグローバル理工人育成コースについて、次のように紹介しました。
「グローバル理工人育成コースには、学士課程、修士課程学生を合わせて現在約2200名が所属しており、今年度入学の学士課程1年次の学生においては学年全体の約4割にあたる430名程が所属しています。これは、東工大に入学する多くの学生が、国際的な経験をしてグローバルで活躍できる能力を身につけたいという意欲の表れであると感じます。いま1年目の皆さんは、国際経験がどういうものなのか、そして「国際化」や「グローバル化」の中で何をすべきか、現時点で具体的な目標がなくとも、本コースの活動や他の所属生、留学生との交流を通じて、少しずつ将来計画やいま取り組むべきことが明確になることを期待しています。」
また、閉会の挨拶をした須佐匡裕グローバル人材育成推進支援室長は、「先輩たちの話に圧倒されずに、地道に頑張ってほしい」と激励しました。さらに、「留学に関することも含め情報収集に努めてほしい。『英語を』勉強するのではなく、『英語で』勉強する意識、つまり自分の将来に役立つことを英語で勉強する姿勢が大切です。将来、自分が何をやりたいのかを考えた上でグローバルな環境で活躍するイメージをつかんでほしい」と呼びかけました。
参加者の声 行動が大事
シンポジウム後のアンケートでは、以下のような感想が寄せられました。
- 留学をするメリットより、留学をしないデメリットの方が大きいとわかりました。
- 語学力だけでなく専門科目の力も鍛えないといけないと思いました。
- 自分の英語力を思うと、なかなか一歩が踏み出せないとためらいがちでしたが、大事なことは行動であるとわかりました。
- 留学は、準備が多く大変なイメージだったが、それ以上に得られるものが多くあると実感できました。
- 東工大は留学支援が豊富なので、そのような支援をより有効に活用していこうと考えました。
- 発表を聞くと「英語を勉強する」というよりは、「自分の専門分野を世界で勉強する」ことに魅力を感じ、そこに向けて英語力を鍛えてきたように感じました。
グローバル理工人育成コースとは
グローバル理工人育成コースは、東京工業大学の学士課程・修士課程において「国際基礎力」、「国際実践力」、「国際協働力」を段階的に発展させる国際性涵養に特化した教育カリキュラムです。専門性を基礎としたアイデンティティー・知識・経験・技術力を基軸とし、多様性を理解し、倫理観を持って、グローバル社会の未知な課題に対応できる「科学・技術の力で世界に貢献する人材」を育成することを目的とします。
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