東京工業大学生命理工学院生命理工学系の三原久和教授が、2021年度日本ペプチド学会賞を受賞しました。授賞式は、10月21日に2021年度日本ペプチド学会総会においてオンラインで行われました。
賞について
日本ペプチド学会賞は、日本におけるペプチド研究の進歩、発展に貢献した会員の功績を顕彰するため制定されました。2年に1回、ペプチド研究において卓抜な功績を挙げた研究者に授与されます。
受賞テーマ
「デノボデザインを基軸とする機能性ペプチドの創製」
受賞理由
ペプチド・タンパク質は、特異的な立体構造を形成し、その構造上のアミノ酸の官能基配置に基づく分子認識や機能を発揮します。この立体構造を自在に設計し操作できれば、種々の機能性ペプチドを創出できます。三原久和氏は、αヘリックスやβシートなどの二次構造やその組み合わせの立体構造ペプチドを種々設計・合成し、さらにアミノ酸を置換したライブラリを作成することにより、高機能のペプチドを探索する研究を展開しています。このようなαヘリックスやβシート構造をアミノ酸配列から設計・合成するペプチドのデノボデザイン研究に1980年代の初期の段階から参画し、ペプチドバイオチップの創製とタンパク質や細胞の新規解析システムの構築、自己集合化ペプチドの創製とアミロイド病関連ペプチド及び細胞工学用マトリクス展開、立体構造制御したペプチドライブラリ及び低分子複合化ライブラリの構築等の新規の機能性ペプチドシステムを開拓し、国内外の当該分野の研究をリードしてきています。三原久和氏のこれらの卓越した研究業績と日本のペプチド科学の発展に貢献した業績に対して、日本ペプチド学会賞を授与します。
受賞コメント
この度、日本ペプチド学会賞を「デノボデザインを基軸とする機能性ペプチドの創製」の研究題目で受賞することができ、約40年間ペプチド科学に携っているものとして大変光栄です。今回の受賞は、九州大学理学部、九州工業大学工学部、長崎大学工学部、東京工業大学生命理工学研究科および生命理工学院の学生・卒業生・スタッフ全体の成果であり、また研究を支えていただいた先生方、先輩、同僚の方々のご協力とご支援の賜物であり、厚く御礼申し上げます。現在では当たり前の手法となっているペプチドのデザインというコンセプトは、その後のペプチドライブラリの技術とあいまって、従来のアミノ酸置換によるペプチドの構造活性相関研究の方法を大きく転換させる研究手法となっています。加えて、ペプチド・タンパク質の構造解析技術、相互作用分析技術や分子生物学手法、細胞生物学手法を取り入れて、ケミカルバイオロジーや合成生物学、またバイオマテリアル科学の発展に大きく貢献してきています。今後もペプチド科学の発展に貢献できるように努力していきたいと思っています。
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