東工大学生ボランティアグループ(以下、東工大VG)が9月26日、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン主催(ビッグローブ株式会社協賛)の「未来ドラフト2021」で準グランプリBIGLOBE賞を受賞しました。
未来ドラフトは、若い世代とともに難民問題に取組む日本初のアイデア・コンペティションとして2018年から毎年開催されています。2021年の課題テーマは「みんなが安心して学校に通い続けられるように、異なる境遇で育った子ども同士が互いに分かり合えるアイデア」でした。100チームの応募があり、書類審査を通過した9チームが決勝大会に進出しました。決勝大会はWeb会議サービスZoomを用いてオンラインで開催され、事前に作成したプレゼンテーションビデオの上映とそれについての質疑応答をもとに審査が行われました。
東工大VGのメンバー3名を中心に「描こう未来!互いを記(知る)す交換ノート」というタイトルで、シリア難民の子どもたちと、シリア難民の受け入れ国となっているヨルダン人の子どもたちが、交換ノートのやり取りを通じて互いの心の距離を近づけていくアイデアを提案しました。
子どもたち同士だけでなく、親への影響も考慮した企画内容とし、文章でのやり取りだけでなく写真を共有してつながりあうというオンラインでの実施、最終的には子どもたち同士が実際に会う機会を設けるといった今後の展望も織り込みました。現地の状況に配慮した有効的なアイデアだったことに加え、これまでの被災地支援やこども食堂での活動から学んだことを活かしたアイデアだったこと、低コストで実現性が高いことなどが評価されました。
「継続して活動に取り組むことに意味があるのではないか」「お互いの生活を紹介しあって共通のことを知ることで親近感が得られる、あるいはお互いの生活の差異が見えて、子どもたちにとって大事な学びとなるのではないか」といったコメントがありました。
東工大VGメンバーのコメント
松村慶さん(環境・社会理工学院 土木・環境工学系 学士課程3年)
3人で考えたアイデアがこのようなかたちで評価を頂けたことをうれしく思います。2年前に東日本大震災の被災地である南三陸町を訪れた際に貴重な体験をさせていただきましたが、その後のコロナ禍により被災地復興支援の経験を活かせる場が限られてしまいました。アイデアとしてこれまでの経験を活かせる機会を提供してくださったことを大変ありがたく思っています。私が専攻している土木では災害や環境といったグローバルな問題にどう対応するか、というのが一つの議論になります。未来ドラフトという場で考えたことは、人々の生活に寄り添いながら考えることの難しさや楽しさを知るきっかけとなりました。広い視野をもって考えるという教訓を今後の学業に活かしていきたいです。大河原さん、市村さんはもちろん、先生方や先輩方、ワールド・ビジョン・ジャパンの方々に大変お世話になりました。心より感謝申し上げます。
市村知輝さん(環境・社会理工学院 建築学系 修士課程2年)
未来ドラフトには、2018年第1回大会に個人で出場しました。当時は決勝大会まで進んだものの入賞することはできず、決勝大会では「他人ではなく、なぜ自分がそのプロジェクトを行うのかという想いを伝えてほしい」という厳しいコメントをいただいたことが印象に残っています。それから東工大VGメンバーとして福島スタディツアーの開催や南三陸町スタディツアーへの参加など、東北での被災地復興支援ボランティア活動に従事してきました。今回はその実体験をもとに、メンバーとアイデアを発想することができたと感じています。またコロナ禍におけるオンラインのみの活動という制約がある中でも、それぞれが役割意識をもって臨むことができたからこその成果だと思います。「これまでの経験から、自分には何ができるのか」と考える視点は、日々の研究の方向性を決めるうえでも役立ったと感じています。今回の活動が東工大VGの新たな活動につながることを願っています。これまで東工大VGの活動を支えてくださった先生方や先輩方、大会関係者の方々、そしてメンバーの2人に感謝申し上げます。
大河原早紀さん(環境・社会理工学院 土木・環境工学系 学士課程2年)
未来ドラフトは、私が東工大VGメンバーとして臨んだ初めての対外的な活動であり、そこで準グランプリという評価をいただけたことを非常に嬉しく思います。また、様々な規制の下でも私たちがベストを尽くせるよう、先輩方や先生方など多くの方にご支援いただいたこと、そのような環境に身を置けていることのありがたさを改めて実感しました。一方、自分ができることに全力で取り組んだからこそ、グランプリとしてアイデアを実現させたかったという悔しさも残っています。今後はこの経験をバネに、「国際」という引き出しも加わった東工大VGの活動をさらに活発化させるとともに、自らの関心や学業の幅も広げていきたいと感じています。
東工大VGとは
学生支援センター未来人材育成部門の支援を受け、学内外でのボランティア活動の企画・運営を行っています。2011年3月11日の東日本大震災の復興支援のために被災地に赴いて活動していた学生有志を中心に、同じ志を持つ者同士が声を掛け合い、東工大VGの種が芽生えました。その後、同年9月から始まった「東京工業大学写真洗浄プロジェクト」への参加を通じてキャンパス内におけるボランティアの機運が高まり、様々な活動を企画・実施する今日の姿へと結実しました。「誰かのために、社会のために東工大生としてできることはないか?」「新しいことに挑戦したい」などの思いを抱く学生が活動しています。
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