東京工業大学 工学院電気電子系の李恒(り・こう)さん(博士後期課程3年)が「第35回独創性を拓(ひら)く先端技術大賞」の学生部門では最高賞である「文部科学大臣賞」を受賞しました。「独創性を拓く先端技術大賞」は1986年に理工系学生の独創性と創造性をはぐくみ、研究への意欲を高めることを目的に創設されました。7月14日の授賞式は高円宮妃久子さまが臨席し、東京・元赤坂の明治記念館で行われました。
授賞式で、審査委員長の阿部博之東北大学名誉教授は「特定の学問領域に当てはめることができない複合的な研究がますます増えている」と講評し、「学生部門では、学生らしい斬新な発想、ユニークな着想の研究が目立った」と述べました。
李恒さんは、「電気・水道など社会インフラの内部状態を先端素材を用いて場所や構造を問わずに精密に観察することを可能にする技術の研究に取り組んだ」ことを評価され、賞状を文部科学省高等教育局の増子宏局長より手渡されました。
受賞概要
受賞論文
しなやかな環境親和性を持つ非破壊撮像プラットフォーム
~世紀の発見から30年:カーボンナノチューブが織り成す匠の眼~
研究概要
約30年前に日本で発見され今や世界へ誇る先端電子材料であるカーボンナノチューブ(CNT)の潜在能力を多方向から最大限に引き出すことで、多機能画像計測デバイス・システムへと展開。将来的には老朽インフラ設備の簡便な非破壊検査に資する要素技術としての応用に期待。
指導教員
科学技術創成研究院 河野行雄特定教授
工学院 電気電子系 小寺哲夫准教授
受賞コメント
この度は大変名誉ある第35回独創性を拓く先端技術大賞「文部科学大臣賞」を頂戴し、身に余る光栄に存じますと共に、心より嬉しく思います。この栄誉は私1人の力ではなく、指導教員や共同研究者、研究室メンバーをはじめとする皆様の日頃からのお力添え無しには成し得ませんでした。この場をお借りしまして心より感謝申し上げます。加えて昨今の難しい社会情勢の中ご選考いただきました審査委員の先生方や産経新聞社のご担当者様方をはじめ、運営関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。本賞の趣旨・目的としては、「理工系学生の独創性と創造性をはぐくみ、研究への意欲を高める」とあります。私自身、本賞を目指す過程において研究意欲・姿勢を大きく刺激された学生の1人であります。私自身の研究を遂行し、本賞への応募論文を執筆するという過程のみならず、過去の受賞者の皆様方の論文を拝読することからも非常に多くの学びに繋がりました。受賞が決まりホッと安心したというところが本音ではございますが、若手研究者としての更なる成長に向けて今一度エンジンをかけ直すと共に、微力ではありますが後進の学生の皆様に刺激を与えられる存在になれればと思います。改めましてこの度は誠にありがとうございました。
- 独創性を拓く 先端技術大賞
- 岸本史直さんが第31回独創性を拓く先端技術大賞「ニッポン放送賞」を受賞|東工大ニュース
- 鈴木大地さんが「先端技術大賞」ニッポン放送賞を受賞|東工大ニュース
- 中濱正統さんが「第28回独創性を拓く 先端技術大賞」文部科学大臣賞を受賞|東工大ニュース