東京工業大学 物質・情報卓越教育院(TAC-MI)は、12月5日~7日まで2022年度国際フォーラムを東京ベイ幕張ホール(千葉県千葉市)で開催しました。社会サービスの実装を見据え、地球規模の視野を持った、産業界が期待する卓越した人材を育成するTAC-MIでは、国際コミュニケーション力の向上を図ることを目的として、学生が海外プログラム担当者(海外アドバイザー教員)や企業関係者、本学プログラム担当教員を前に、司会進行や質疑応答、研究発表すべてを英語で行う国際フォーラムを毎年1回開催しています。
2022年度は、TAC-MIの博士後期課程1年22人と博士後期課程2年17人に加え、TAC-MIの海外アドバイザー教員が指導する博士後期課程学生8人が海外から参加し、プレゼンテーションを行いました。3日間のフォーラムは、対面とZoomのハイブリッド形式で開催し、本プログラムの連携企業関係者や本学プログラム担当教員、TAC-MI学生など約120人が参加しました。
博士後期課程1年の学生による研究発表
12月5~6日の午前には、博士後期課程1年の学生22人が研究発表を行い、司会進行、タイムキーピングは博士後期課程2年生が担当しました。発表後には活発な質疑応答が行われました。
この研究発表は、本教育院登録学生の関門の1つである「博士論文研究基礎力審査(Qualifying Examination)」の一部を兼ねています。
博士後期課程2年の学⽣による研究発表
12月6日の午後に10人と7日の午前に7人の博士後期課程2年の学生合計17人が、TAC-MIで得た学修成果を活用して、専門分野の枠を超え、自らの博士論文研究とは異なる課題を自主的に設定する⾃主設定論⽂の研究の進捗状況を発表しました。自身の専門とは異なる研究室に2週間程度滞在し研究を行う「物質情報異分野研究スキル」や海外インターンシップなどを活用して論文を作成し、6月の成果発表会もしくは12月の国際フォーラムにて、研究の進捗状況を発表した上で、博士後期課程修了時までに研究結果を報告します。今回は6月に報告を行った学生を除く17人が進捗発表を行い、出席者からのフィードバックを受けました。
海外アドバイザー教員による講演
12月6~7日、学生の研究発表が始まる前に、本プログラムの海外アドバイザー教員5人が講演を行いました。
ピーター・グルッター教授
マギル大学(カナダ)
「AFM(原子間力顕微鏡)の使用における欠陥から何を学ぶか」(What can you learn about defects using AFM? )
クリストファー・ケンパー・オーバー教授
コーネル大学(アメリカ)
「π共役チオフェン液晶に基づく混合イオン/電子伝導体(MIECs)」(Mixed Ionic/Electronic Conductors (MIECs)Based on π-Conjugated Thiophene Liquid Crystals)
マイケル・グロミハ教授
インド工科大学マドラス校(インド)
「タンパク質の構造と機能に対する突然変異の影響:疾患への影響」(Mutational effects on protein structure and function: implications to diseases)
セルゲイ・カザリアン教授
インペリアル・カレッジ・ロンドン(イギリス)
「ポリマーおよび生体材料への分光イメージングの最近の応用」(Recent applications of spectroscopic imaging to polymers and biomaterials)
ナット・リーラワット准教授
チュラーロンコーン大学(タイ)
「データと情報システムが災害管理において重要な役割を果たすのはなぜか」(Why do data and information systems play vital roles in disaster management? )
学生たちは自身の強みや弱みを把握することを目的として、⾃主設定論⽂研究の進捗状況発表後に、この講演を行った海外アドバイザー教員たちと面談しました。時差などの関係で参加できなかった海外アドバイザー教員は後日に発表の様子を録画で見て、オンラインで学生との面談を行いました。
授賞式
博士後期課程1年の学生の研究発表および海外から参加した学生の研究発表に対し、すべての発表を聞いた参加者による投票を行い、最も票の多かった学生にベストプレゼンテーション賞が、続いて票が多かった学生にグッドプレゼンテーション賞が7日の授賞式で贈られました。
博士後期課程1年 研究発表・受賞者
ベストプレゼンテーション賞
- 安納爽響さん(情報理工学院 情報工学系 博士後期課程1年)
- 巽由奈さん(物質理工学院 応用化学系 博士後期課程1年)
グッドプレゼンテーション賞
- ⾙沼凌さん(理学院 物理学系 博士後期課程1年)
- ⼭本拓実さん(物質理⼯学院 応⽤化学系 博士後期課程1年)
海外学生 研究発表・受賞者
ベストプレゼンテーション賞
チェンユン・ユアンさん(コーネル大学 アメリカ)
グッドプレゼンテーション賞
メーガン・カーウィさん(マギル大学 カナダ)
企業メンターとの面談
TAC-MIでは1人の学生に対して1人の企業メンターがつき、教育院登録当初から修了まで継続的に見守る制度があり、研究発表後に学生たちは企業メンターとも面談し、研究や発表、キャリアパスなどさまざまなアドバイスを受けました。
海外や企業の方々との交流を深める
本フォーラムの3日間でTAC-MIの学生は食事の時間やフリータイムの時間を使い、海外学生や参加した本学教員、海外アドバイザー教員、企業関係者などと交流を深めました。
「物質×情報=複素人材」を育成する卓越した博士教育
物質・情報卓越教育院(TAC-MI)は、本学から申請した2018年度卓越大学院プログラム『「物質×情報=複素人材」育成を通じた持続可能社会の創造』が文部科学省に採択されたことにより、2019年1月に設立されました。
本教育院では、複眼的・俯瞰的視点から発想し、新社会サービスを見据え、情報科学を駆使して独創的な物質・情報研究を進める「複素人材」を産業界とともに育成します。
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